9.ヒロ…お願い!
キラシャとケンは、気を失った時の爆発音で、耳がキーンとしたまま、頭もモウロウとした状態で、無理やり立たされ、銃でこづかれ、先頭を歩かされていた。
言葉もわからない大人達が、自分の後ろでわめきながら、銃をこちらに向けていることは、音と雰囲気で何となくわかった。
遠くに、少年が何人か見えたが、みな銃を構えて、こっちをにらんでいるみたいだ。
タケルがどこにいるのか、強い風で砂ぼこりが舞い、見つけることができない。
頭もフラフラして、少年達の姿も砂ぼこりとともに、消えてゆく気がした。
「これって、夢の世界なのかな?
タケルに会いたいと思い過ぎて、おかしな夢を見てるみたい… 」
ただ、そばにいるケンは、しっかりとキラシャの手を握りしめていた。
たぶん、ケンがそうしないと、キラシャは立つことも、歩くことも、できなかっただろう。
「どうして、こんなとこで、タケルに会うってなったンだろう…
タケル、どこに隠れてるの?
あたしたち、なンのためにここにいるンだろう…
ケンだって、かわいそうだよ…
あたしのせいで、こんな目に遭って…
お願いだから、ケンを助けて…
神様! あたしの命、差し上げますから…
どうか、ケンだけでも…
お願いだから、パールとマイクのいる所に、転送してください!
ヒロ… お願い!
神様… 」
キラシャは、天を仰いで神に祈った。
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