棋楽庵の九州将棋ふまわり日記

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■「由太郎ノートNO.018-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第2局解説:級位者編」

2009年11月21日 | ◆由太郎ノート
★「由太郎ノートNO.018-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第2局解説:級位者編」
 ▲早咲誠和 対 △神品和男(平成21年7月12日対局)

                 棋譜解説:平成21年全日本アマチュア将棋名人 山崎由太郎
                 編集責任:棋楽庵


▲県名人 早咲誠和
△挑戦者 神品和男


=第1譜=


(指し手 1~28)
▲2六歩  △3四歩  
▲2五歩  △3三角  
▲7六歩  △4四歩  
▲4八銀  △4二銀  
▲5八金右 △5四歩(第1図)  
▲6八玉  △4三銀  
▲9六歩  △9四歩  
▲1六歩  △1四歩  
▲7八銀  △3二金  
▲7九玉  △8四歩  
▲4六歩  △6二銀  
▲4七銀  △5三銀  
▲5六銀  △5二金  
▲3六歩  △4一玉(第2図)

 一日制の三番勝負で午前にある1局
目の後というのは、どんな気持ちなの
でしょう。僕は二日制の三番勝負しか
経験したことがないので、同じ気持ち
にはなれませんし、三番勝負において
1局目を負けた経験もないので早咲さ
んの気持ちはさらにわからないですね。

 ただ、早咲さんはかなりブルーな気
持ちになってたと思います。ま~面に
は出さないでしょうけど。+に考える
とすれば一番勝負でなくてよかったぐ
らいでしょうか。神品さんは、もう一
番勝たなくてはいけないのかというの
もあるでしょうけど、精神的にはかな
り落ち着いてたのではないでしょうか。

 僕の場合は1局目のあと2局目の抱
負を聞かれるのですが、用意していた
「三番勝負なのでこれからです」とい
う、模範解答を述べますが、内心は
「よかった…」という感じですね。よ
くわからないですけど、こういう心理
というのは、経験を積んだからといっ
てどうこうなるものじゃないと思って
います。

 さて対局スタートです。

 1局目を四間飛車で制した神品さん
ですが、本局は一転して居飛車の駒組
みです。

 神品さんは現代将棋の強者らしいオ
ールラウンドプレイヤーのようです。
戦形は相居飛車となり、神品さんは雁
木囲いに早咲さんは美濃囲いに王様を
囲いました。



=第2譜=


(指し手 29~59)
▲3八飛  △8五歩  
▲7七角  △7四歩  
▲3五歩  △同 歩  
▲同 飛  △3四歩  
▲3六飛  △7二飛  
▲3五歩  △同 歩  
▲同 飛  △7五歩  
▲3四歩  △5一角  
▲6六角  △7六歩  
▲8五飛  △8二歩  
▲4五歩  △3三歩  
▲2四歩  △同 歩  
▲3七桂  △3四歩  
▲4四歩  △同銀右  
▲2二歩  △同 金  
▲4五銀(第3図)

 早咲さんは角頭が急所ということで、
「▲3八飛」。同じく、神品さんも角
頭を狙って「△7四歩~△7二飛」。
二人の手順を見てわかるように「角頭
は急所!」。皆さんご記憶願います。

 △7二飛を見ての、「▲3五歩」は
巧妙。将棋の手は一長一短ということ
です。つまり、角頭を狙った△7二飛
でしたが、飛車が動いたために8五歩
が浮いてしまいました。「▲3五同飛」
の時に、△8二飛は手損の上に▲3四
歩が残り、△7三桂、△9三桂は▲7
五歩、▲9五歩が残ります。

 後手が困ったようですが、神品さん
は、「△7五歩」という好手を用意し
ていました。▲8五飛を受けて、なお
かつ角頭を攻める攻防の一手です。

 最弱の駒である歩で攻防の一手を放
つあたり、神品さんの強さが伺えます。
攻防の一手を放たれて、早咲さんが困っ
たようですが、早咲さんも▲6六角と
いう好手を用意していました。受けて
は角頭を緩和し、攻めては▲7五歩の
取り込み、さらに△7六歩に対し▲8
五飛を用意しています。

 強い人というのはこのように一手に
複数の意味を込めることが出来るもの
です。以下も白熱した応酬が続きます。
手筋のオンパレードですから、是非と
も盤に並べて欲しいですね。



=第3譜=


(指し手 60~86)
      △5五銀  
▲4四歩  △6六銀  
▲同 歩  △3二銀  
▲6一銀  △9三桂  
▲6五飛  △7四飛  
▲3四銀  △6四歩  
▲2三歩  △1二金  
▲3五飛  △3三歩  
▲5二銀成 △同 玉  
▲4三銀不成△同 銀  
▲同歩成  △同 玉  
▲4四銀  △同 玉  
▲4五飛  △5三玉  
▲4一飛成 △8四角(第4図)

 さてさて、1局目と同様に、早咲さ
んが攻めて神品さんが受ける展開になっ
ています。

 しかし、1局目を見てお分かりのよ
うに、将棋は攻めているから良いとい
うものではありません。統計的には攻
めているほうが勝ちやすいゲームでは
あるようですが。

 1局目はそんな統計を無視するかの
ごとく、はじめは守勢だった神品さん
が絶妙なバランス感覚と受けの力で体
勢を入れ替え、カウンターを決めて勝
利しました。今回も△1二金の悪形を
作られたものの、「△8四角」と次の
△6六角という得意のカウンターを狙っ
ています。

 将棋では「4枚の攻めは切れない」
と言いますが、現時点での早咲さんの
攻め駒は4一竜、3七桂、持ち駒の金
の3枚。攻めきれるかどうかギリギリ
です。

 しかし、この一戦には名人位が懸かっ
ています。格言から攻めきれる保証は
ありませんが、攻めきるしかありませ
ん。



=第4譜=


(指し手 87~133)
▲4五桂  △6三玉  
▲6一竜  △7三玉  
▲7二金  △8三玉  
▲6三竜  △7三銀  
▲5三桂成 △4一角  
▲6一竜  △6六角  
▲6三成桂 △8八銀  
▲6八玉  △7七歩成 
▲5九玉  △8四銀  
▲9一竜  △7六飛  
▲7七銀  △同銀成  
▲4一竜  △6七銀  
▲同 金  △同成銀  
▲5六角  △6五銀  
▲6七角  △5七角成 
▲7六角  △同 銀  
▲5八銀  △7五馬  
▲4三竜  △3七角  
▲4八歩  △同角成  
▲同 竜  △同 馬  
▲同 玉  △4三飛  
▲4七角  △5六金  
▲8二金  △同 玉  
▲7二飛(投了図)  
まで、133手で早咲さんの
勝ち

 う~ん すいません。ここは、級位
者編、有段者編では解説しにくいので、
高段者編で書きます。級位者の方には
熱戦の後、早咲さんが勝利をもぎ取り
ました。みたいなまとめ方にしておき
ます。(笑)





 


 


◆関連リンク
「由太郎ノートNO.015-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:級位者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
「由太郎ノートNO.016-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:有段者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
「由太郎ノートNO.017-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:高段者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
「第63期大分合同アマ将棋名人戦三番勝負」結果-NO.1(平成21年7月12日:大分市「割烹 百合」)
「第63期大分合同アマ将棋名人戦三番勝負」結果-NO.2(平成21年7月12日:大分市「割烹 百合」)



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