「阪急電車」 有川浩

映画はなかなか観られないけれど、
本ならちょこちょこ読めるので、買ったままの
”積読”本をちょっとずつ読んでます。

「阪急電車」（有川浩　幻冬舎）

ちょっと前に話題になっていた小説です。
といっても、たぶん関西で。

阪急電車って、関西人にはある種の憧れがあります。
アズキ色の車体、シックな内装、そこはかとなく漂う
上品な雰囲気。
その沿線にある大学もオシャレな雰囲気だし
街もどこか上品で　暮らしてみたい沿線かも。

私も、この阪急今津線には大学受験の時に
乗ったり（試験当日、どういうわけか乗り間違い、
終点の宝塚まで行ってしまい、焦った思い出が！！
といっても、片道15分の距離で本当によかった）
西宮北口までよく野球を見に行ったりしてたなー。
阪神競馬場にも行ったことあるけど（笑）

で、この小説。
有名な作家さんみたいですが、私は読んだのは初めて。
”ありかわひろ”さん、女性だそうです。

阪急今津線、という８駅だけの短い路線を走る
私鉄：阪急電車での物語。
宝塚から西宮北口の８つの駅ごとに
章が分かれている短編になってます。
登場人物がリンクしあう面白い作りです。
往復になっているのもしゃれてる。

電車の中で出会う人たち。
毎日の通勤や通学で、言葉は交わしたことなくても
顔見知りの人もいれば、もう二度と会わない人も。

そんな他人同士が、ちょっとしたきっかけで
恋におちたり、乗り合わせたある人の言葉で
人生の決断をしたりするわけです。

まぁ、実際こんなドラマチックなことは
そうそうないでしょうが、
車内のお喋りに思わず聞き耳をたててしまったり
見知らぬ人とひょんなことで話がはずんだり、
ってことくらいなら　経験あるでしょうから
あながち　ファンタジーでもない。
人物描写や設定はけっこうリアルです。

こんなカッコイイ人おるかいな！！
こんな甘甘なカップルおるかいっ！！

と突っ込みたくなるとこもありますが、
大人版コバルト文庫といった趣でしょうか。
こんな出会いがあったらいいなぁ～と
和んでしまいます。
やっぱり”阪急電車”でないと
こういう小説にはならんやろなー。
南海電車、や近鉄電車とは違うわ（笑）

でも、実際この沿線に住んでる人や
縁のない関西圏以外の人が読むと
あんまりハマれないかもしれませんね。