「ザ・フォール 落下の王国」 めくるめく映像美！

ずっと観たかった映画、やっと観ました。

「ザ・フォール　落下の王国」
（The Fall /印・英・米/2006年）

「ザ・セル」が素晴らしかったターセム監督の作品。
あ～映画館で観たかった！

木から落ちて腕を骨折した少女と
大怪我をしたスタントマンが
入院中の病院で出会う。
男は、好奇心旺盛な少女に
不思議で壮大なおとぎ話を語って聞かせる。
それは、少女の気をひいて、
自分が自殺するためのモルヒネを
取ってこさせるため・・・。

いっけん、ストーリーがあってないような
そして、贅沢すぎる映像美は
”子供だまし”の映画かもしれないけれど、
まさに子供だましのお話なんだから
これでいいのです。

現実の世界の人々が空想の世界で
大活躍するのも楽しいですよね。

空想の世界のワクワク感、
それに反する現実の辛さ。
やがてその現実に引きずられて
ダークサイドに堕ちていく物語。
それを救うのは純真な少女の想いなのです。

あれっ？と思うくらい前向きなラストが
救いだと思いました。

構想２６年、撮影４年、世界２４カ国で
撮影されたという謳い文句ですが、
この映像はほんとうに目が覚めるように美しい。
冒頭のモノクロ映像にしても
ブルース・ウェーバーの写真集みたいで
カッコイイ。
自己資金で作り上げたというこの映画。
大いなる自主制作映画といったところか。
CM撮影で外国にロケに行ったついでに
この映画用のシーンの撮影も
やってしまう、というのもすごいな。

絵画のような風景に映える、
石岡瑛子さんデザインの衣装も
印象的で美しい。
前作「ザ・セル」に心を射抜かれた私なので
この「ザ・フォール」が観ることができて
嬉しくて仕方ないのです。
ターセム監督、寡作だよなぁ・・・
２作目だもんなぁ・・・。

空想を映像化できる才能って
素晴らしいと思う。
それを共有することができる
”映画”というものも、
本当に素晴らしいと思う。

この映画に出てくる世界中の
美しい風景を観ているだけでも楽しめます。
（DVDにはロケーションチャプターあり！）

インドで行ったところがいくつか出てきたのですが
こんな大きくてキレイなところだったっけ？？？と
思うくらいでした。
アグラ城とかファティープル・シークリーとか。
（メイキングを観ると、やじ馬がすごくて
撮影が大変そう！）
階段井戸って初めて観たけど
エッシャーのだまし絵みたい！
あんな建造物があるなんて。
もう一度インドに行きたくなりましたよ。

あれ、なんか映像のことばかり言ってますが
それだけではない映画です。
細かいところまで見ていると
セリフやシーンに深い意味がありそうです。
何度も見直したい１本になりました。