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「ぼくと1ルピーの神様」ヴィカス・スワラップ

2009年05月28日 | 読書
アカデミー賞を席巻した
「スラムドッグ$ミリオネア」の原作。
映画はなかなか観に行けそうにないので
とりあえず原作を読んでみました。

「ぼくと1ルピーの神様」
(ヴィカス・スワラップ ランダムハウス講談社)
(原題 Q and A Vikas Swarup)

クイズに全問正解すると巨額の賞金を得られる
テレビ番組「十億は誰の手に?」。
学のないスラム出身のウェイターの青年が
難しいクイズに正解し、賞金を獲得することに。
関係者は不正を疑い、
青年は警察に逮捕され拷問を受ける。
そこに女性弁護士が現れ、
彼を助け出し、なぜ彼がクイズに
正解できたのかを問いただす。
彼が話したのは、波乱万丈の物語。

彼が、人生経験から
たまたまクイズの答えを”知っていた”
というのが素晴らしいアイデアですよね。
その悲惨で波乱に満ちた人生は
インドの現実を教えてくれます。
その忘れられない出来事が語られるごとに
問題と答えの検証がなされる構成が
面白かった!

はじめ、翻訳が少し読みにくく
また、クイズ番組の進行を追って
彼の人生を行ったり来たりするので
戸惑いながら読んだのですが、
徐々に引き込まれて、
後半は夢中で読んでしまいました。

映画みたいな(!)悲惨な現実、
多くのつらい別れを経験しても、
主人公、ラム・ムハマンド・トーマスは
正直に誠実にまっすぐに進んでいきます。
時に誘惑に負けそうになったり
くじけそうになったりしても
前向きに這い上がっていく姿、
まさに運命に導かれるように
進んでいく姿には思わず拍手を
おくりたくなるくらい。

暗くて重いエピソードばかりなのに
ハッピーエンドのおかげで
読後感は爽やかです。面白かった!
映画もさぞかし面白いことだろうと
想像がつきます。

私のインド旅行は、観光地ツアーの
キレイな部分しか観ないものだったけど、
それでも深く印象に残る国でした。
バスを降りたとたんに
群がってくる物乞いの子供たちや
移動の車窓から見る、まさか?!
と思うような道端のゴミだらけの
掘っ立て小屋に住む人たちに
少なからず衝撃を受けました。

作品中にも描かれる、タージマハルの
筆舌に尽くしがたい美しさも想像以上。

クイズ番組の「ミリオネア」は
日本版は私はあの司会者が
好きじゃないので観ませんが、
映画「アバウト・ア・ボーイ」でも
出てましたよね。

作者のヴィカス・スワラップさん、
本職は外交官で、この6月には
在大阪インド総領事として赴任されるそうです。
ビザ申請するとこの方のサインが
もらえるのだなぁ(笑)
本作にもタージマハルで日本人観光客が
出てくるシーンがあったけど、
いつか、日本人が関わるような
作品を書いてくれたらいいな。
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2 コメント

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インドに (のら)
2009-06-15 12:19:13
行ったことあるんですね!インドは一度行って
病み付きになる人と拒否反応が出るという人が
いると聞きましたが・・

映画でもタージマハルが出てくるシーンは
感動的でした。原作では日本人も出てくるんですね。
映画ではアメリカ人だけだったと思うんで。

ところで、昨晩テレビに柿沢安耶さん出てたんです。
気づいたの遅くてお知らせできずにごめんなさい
一応記事を書いて以前のkinoさんの記事にTBしたん
だけどうまく行かなかったのでお知らせもあって
コメントさせていただきました。
返信する
インドは深い! (kino)
2009-06-15 23:05:42
>のらさん
ホントに観光ツアーですけどね。
それでも、また行ってみたい、と思う国です。
もし学生時代にバックパッカーで旅したら
それこそ人生変わるかもしれませんね。

タージマハルは本当に素晴らしい!
大理石を裸足で踏みしめた時のひんやり感、忘れられません。

「スラムドッグ$ミリオネア」、DVD出たら絶対観ます!!

柿沢さんの記事、見てきましたー。
紹介してくれてありがとう!TV観たかったな。
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