目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「恋文の技術」 森見登美彦

2009年03月24日 | 読書
ラブレターの書き方、
なんて実用書ではありません。

私がいたく気に入った
「夜は短し歩けよ乙女」
森見登美彦さんの新刊です。

万城目さんも森見さんも、
すっかり私のツボ。
好きな作家ができると作品全部
おっかけて読みたくなります。

男性作家は久しぶりのブームだなぁ。
あまり読まなかったので。
椎名誠・原田宗典・北村薫くらいです。

「恋文の技術」
(森見登美彦 ポプラ社)

全部が手紙で構成された小説。
しかも、往復書簡ではなく
主人公ひとりが書いた手紙。

でも、それだけで物語が成立していて
笑えて泣けるのだ!

京都の大学から、遠く能登の実験所に
飛ばされた守田一郎。

あるのは 暗く重い空と海、
そして鬼軍曹のごとき先輩ひとり。

その寂しさを紛らわすため(?)
文通武者修行と称して
京都の友人、妹、家庭教師をしていた小学生、
知り合いの作家・森見登美彦(!)に
手紙を書きまくる!

手紙とはなんぞや?
なんのために人は手紙を書くのか?
完全無敵の恋文を書く技術を 
果たして習得できるのか?


同じ出来事も、相手によって
微妙にニュアンスが変わっていたり
さまざまな配慮がなされていたり(笑)

この、鬱陶しいまでの主人公のアホっぷり
妄想ぶり、クドクドぶりは
好き嫌いの分かれるところかも
しれませんが、私には「夜は・・・」同様に
面白くて仕方なく、あっという間に読みました。

うーむ どうしたらこんなに
面白い言い回しが書けるんだろう。

文通、今ではすっかり廃れてしまった
素晴らしいコミュニケーション。
文通少女だった私がこの本を
好きにならないはずがありません。

守田くんも言っていますが、
相手の返事を思いながら手紙を書き
ポストまで行って投函し
ワクワクして返事を待ち
封を切り、読む。何度も。
その楽しさ。ときめき。

久しぶりに手紙を書きたい、
そして返事をもらいたい衝動に駆られましたよ。

私が気に入ったのは、
失敗ラブレター(未投函)の数々。
自分のツッコミに笑えます。
そして、少年守田の初恋の思い出。

本作に出てくる、美人で豪快で
極悪非道で悪の権化みたいな
はた迷惑な先輩・オオツカ女史や
「夜は・・・」の豪快で酒豪の羽貫さんって
とても魅力的で私の好きなタイプだけど
森見さんの好みのタイプなのかなぁ。
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