目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「おくりびと」 接してはじめて

2009年03月29日 | 映画タイトル あ行
やっとDVDで見ました。

「おくりびと」(日本・2008年)

今さらあらすじ等書くまでもないですが
第81回アカデミー賞外国語映画賞も
受賞した日本映画。

突然職を失ったチェロ奏者(本木雅弘)が
妻とともに故郷の山形県酒田市に戻り、
仕事の内容も知らないまま”納棺師”になる。
亡くなった方の遺体を棺に納める仕事に
はじめこそ戸惑ったが、
”安らかな旅立ちのお手伝い”である
この仕事にやりがいを感じはじめる。
しかし、秘密にしていた仕事を知った妻に
仕事を辞めるように懇願され・・・


主人公は、妻に新しい仕事を聞かれ、
”冠婚葬祭関係”と答え、妻は
結婚式場の仕事、と思い込む。
”葬”は誰もが必ず関わる
人生最後の大事なことなのに
口にしてはいけないことのように
避けて通りたいものかもしれません。

たとえば 結婚式は長い時間をかけて
いろんなことを念入りに準備していくのに、
お葬式といえば、この映画の中でも
”人生最後の買い物(棺)は人任せ”と
言われるように、あれよあれよと言う間に
葬儀会社の人に仕切られてしまう・・・。

妻や友人が彼の仕事をよく思わなかったように
自分や身近な人が元気で”死”なんて
遠いものだと思う時には 
触れたくないものかもしれません。

崇高で優しくあたたかく、心のこもった
最期の旅支度の様子に接して初めて
この仕事の意味を知るのでしょう。
私だって、こんなふうに送り出して欲しいなぁ。

そういえば、14年前父が亡くなった時
大柄な父は棺がきゅうくつで
葬儀会社の人に、無理やりに
押し込まれた時の怒りと悲しみは
今も忘れられません。
NKエージェントに頼めば
あんなことはなかったのにね。

生と死は隣り合わせ。
生があるから死があり、
生き物の死を頂いて人間は生きる。
(ふぐの白子あぶりや、フライドチキン、
美味しそうでした)
初めての仕事(孤独死の老人)を経験した夜、
生をたしかめるように抱きしめた
妻のあたたかく柔らかい肌。
それらが象徴的に描かれていました。

死は終わりではなく、次へとつながるのですね。

ただしんみりするだけでなく、
コミカルなセリフやシーンも織り交ぜられ、
山形の美しい風景や音楽もあいまって
さわやかな気持ちになれた映画でした。
この映画で、”葬”にかかわるお仕事を
少しだけでも知り、死について前向きに
考えることができるといいですね。

笹野さん、ほんとにエエ味出すなぁ。
惜しむらくは、広末○子の演技だけが
なんだか浮いて見えたことか・・・。

ところで私、大学生の時に酒田に
合宿免許で2週間ほどいたんですが、
あんな田舎だったっけ?!
そういえば、路上教習の時は
気を付けるのはトラクターのおじいちゃんや
夜道のタヌキだったなぁ・・・。
そんなとこで取ったもんだから
大阪に帰ってきてからは
怖くて運転できなかった私は
立派なペーパードライバーです。
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4 コメント

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しみじみと。 (sabunori)
2009-04-01 09:36:44
kinoさん、こんにちは。
やはりしみじみと良い映画ですよね。
普段なるべく自分のそばから遠ざけるようにして生活している「死に係わること」ですが、
この作品を観ることによって生と死は向かい合わせだということを改めて思い知りました。
お風呂でよく見かける笹野さん、彼の仕事についてなーんにも考えていなかったのですが、彼もまた生と死に係わるお仕事をしていたんですねぇ。
「自分はこの世とあの世の間の門番」というセリフに自分の仕事への誇りが感じられました。

私も父のお葬式の時にNKエージェントさんに頼みたかったなぁ。
返信する
そうですね! (kino)
2009-04-03 00:44:53
>sabunoriさん
コメントとTBありがとうございます。
ほんとにね。生と死はすぐそばにあるものなんですよね。
笹野さんがああいう役割を持っているとは
泣かされました。
この映画以来、納棺師、湯灌師が注目されているそうですが
大変なお仕事だと思います。
心のこもったお葬式が増えるといいですね。
返信する
おくればせながら・・・ (naomi)
2009-04-08 22:02:50
私もみました。
うちは両親がみたいと前々から言っていたので
運よくアンコール上映している映画館でみました。
アカデミーだからっといってしまえば
それまでですけど
笑って泣けて・・日本らしい映画でしたね。
特にモッくんの完璧主義ぶりに驚くと
同時に<着やせするのね~>と結構いい体格して
いたのにも驚きでした。
kinoしゃんも書いてたけど
この妻役はヒロスエでなければ・・あの甘ったるい
口とんがらせた彼女でなければいけなかったのかい?
と思うと同時に、彼女はオスカーの壇上に上がる
芝居はしてないわん!と思えてしかたなかったです。

私はおかげさまで両親とも健在なのですが
こんな送る日がいつかくるのだな~と
ちょっとメランコリックになってしまったのでした。
むろんその後・・寿司を食べてご機嫌でしたが(笑)

もひとつ!
最初のお仕事で、腐乱系のおうちにでかけたシーンで
映画館にひびきわたる「うぎゃー」と叫んだのは
私です。
返信する
誰にでも (kino)
2009-04-09 00:39:44
>なおみしゃん
お、gooの具合悪かったかな?
重複したの、ひとつ消しておきますね。

ほんと、アカデミー賞効果だよね。
若い人にも観て欲しいけど、どうなんだろ。
30過ぎる頃までは身近な人の死なんて
想像つかない人も多いだろうしなぁ。

親にも、いつまでも元気でいて欲しいけど
いつか誰にでも来る別れです。
みんな、長生きして大往生で 笑顔で
送ってあげられるといいのになぁ。

あー あの初仕事のシーンはハッキリ見せてないけど
強烈だ・・・ってことがよくわかったもんね。
返信する

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