目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「小暮写眞館」宮部みゆき

2010年12月16日 | 読書
図書館の順番待ち人数がものすごい数だった本。
やっと回ってきて手にしたら、700ぺージという分厚さに
びびってしまった。
(同じく宮部みゆきさんの「あんじゅう」も分厚かったが・・・)

「小暮写眞館」(宮部みゆき 講談社)

さびれた商店街の古い写真館だった店舗に
引っ越してきた酔狂な花菱一家。
仲がいいけど、ちょっとヘンな両親と
可愛く賢い小学生の弟、
そして高校生の英一(主人公)という幸せそうな一家だが
誰も口に出さない悲しい過去があった。

ちょっとした誤解から、英一のもとに”心霊写真”が持ち込まれ、
行きがかり上、その謎を解明することになるが・・・

読み始めは、”高校生(小学生)がこんなこと言うかぁ??”という
違和感が大きくて、ちょっと引き気味でした。
だって、小賢しくて老成していて、人間が出来すぎてる!
(そのてん、「桐島、部活やめるってよ」はリアルという意味で
評価されて良いのかも、と改めて思いましたが)

主人公の同級生たちもしかり。

読み進めていくうち、”心霊写真”の謎解きは重要ではなく
人間の想いの強さや、誰かが誰かを愛すること、
一つの出来事は幾重にも重なって繋がっていくのだ、
ということが丹念に描かれているのがわかります。

根底は”三島屋シリーズ”(「おそろし」「あんじゅう」)と
同じなのかな、という感じ。
ありえない不思議な世界とのコンタクト、という題材も。

そうはいっても、なんだか体よくお茶を濁された気がする
心霊写真騒動の部分を過ぎれば、普通に人間ドラマとして
読めました。
最後まで読むと、写真というアイテムがうまく生かされていて
表紙の写真にもう一度見入ってしまうんですけどね。

長いけど平易な文章なのであっという間に読めました。
読後、ちょっと切なくて穏やかな気持ちになれました。
(私としては、春休みのような気持ち。説明が難しいけど。
新しい学年になる前のちょっと気が引き締まったような、
でも前の学年が懐かしいような寂しいような気持ち。)

同じようなテーマならリアリティが気にならない
「三島屋シリーズ」の方が私は好きだな。
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