東京オペラシティアートギャラリーへ。


Sit,Down.
Sit,Down Please,
Sphinx.
Izumi Taro/泉太郎
会期は1月18日~3月26日。


展覧会のタイトルも謎なら入場も謎めいている。
まずは、コインロッカーのドアを開けて中にある包みを取り出し、そこにスマホやカメラ以外の荷物やコートを入れる。百円は取り出す時に返ってくる。

コインロッカーの中にあった包みには巨大な布が入っている。
鑑賞者はこの布をまとって入るのだ。
重くて動きにくくて暑い。


スマホでORコードを読む。

スマホから流れてくるのは指示。

みょうちきりんな布を被るのは、どうやら壁と同化しろということらしい。

けっして威圧的な指示ではないけど、どこか従わなきゃならないような心持ちになりながら反発も覚える。
のだけど、まるでこちらの心を代弁するかのように、指示に対してつぶやくような本音のツッコミが絶妙なタイミングで入る。
そのカップは鑑賞者かいな。苦笑しながら見入る。


後ろに回れという。
朽ちかけた鏡。


カビたミカン?

この壁に書かれた指示は鑑賞者ではなく館員への指示。



日焼け止めを忘れた日。

夏と冬の間。


蛸か宇宙人か。


古墳かそれとも宇宙船の残骸か。
これは、目の前にあるのに、この展示室からは入れない。
近付いて注意される。



引き返す。


壁の指示に従って行く。


布を脱いで壁の黒い杖と一緒に次の展示室へ持って行く。

ここには地面が広がる。
テントをたてろという。
墓をたてろという。


私も墓をたてる。




さて。
さっきの古墳というか宇宙船の残骸のようなのの定員は1名。
一人一人時間をかけて体験するVR作品という。
好きなテラコッタの番号札を壁からとって受付する。


墓の中でしばらく過ごしてみる。

なかなか順番が来ない。
受付の順番を見ても全然動いてない。
会場をいったん出ますと受付に言って、他の展示へ。

それでも少しも動いてない。
体験時間の目安は一人最大15分くらい。
15分と順番待ちの人数を掛け算してみたら、二時間はかかりそう。
そういえば閉館時間まで待っても順番が来ない場合もあるとのことだった。
若い人は憑かれたかのように待ち続けるけど、私は色々とそこまで付き合えない。
帰ろう。

それにしても、ずっと待ち続けて結局体験できなかったらどうなんだろ?チケットは等しく買っているはずなのに。
そもそも壁になれっつーのもなんだわな。
そもそもなんで生き物は死ななきゃならんのだ。
・・・
ん・・・
理不尽だ。
不条理だ。
実に理不尽で不条理なのだ。
なんじゃらほいなのだ。
でもどういうわけだ生きることそのものなのだとも思うのだった。
