初めてクールベの波の作品をみたのは、たぶん国立西洋美術館の松方コレクション。いくつの時だったんだろ?
パナソニック汐留美術館へ。
家を出た時には晴れていたけど、新橋に着いた時には天気予報通り。
パナソニック汐留美術館。
「クールベと海展ーフランス近代 自然へのまなざし」。
会期は4月10日~6月13日。
事前予約。
会場内の撮影は特設撮影スポット一か所を除き禁止。
ギュスターヴ・クールベは、19世紀のフランスを代表するレアリスムの巨匠。
15世紀あたりから始まった近世美術(初期ルネサンス~新古典主義)。
ものすごくざっくりといえば、発注者の要求に忠実にしかも対象によって格付けして、実物や現実より美しく理想化して描くことが絵画であった。
時は流れ19世紀になると、世の中の近代化の流れのなかで美術もまた新しいうねりが出てきた。
クールベはあるがままの現実をひたすらにそのままに写すということをした。
そして、作品を通じて社会的声名を発することもした。
今では当たり前過ぎてピンとこないのだけど、当時の画壇にとってみたら根本がひっくり返るようなアバンギャルドだった。
1855年のパリ万博では、出品しようとした作品が展示を拒否され博覧会場の近くに小屋を建てて自分の作品を公開したという。世界初の個展といわれている。
でもその後は絵画に関しては政治色が無い作品を描くようになった。
左翼活動家としては積極的に動き、パリ・コミューンに参加しヴァンドーム広場の円柱を破壊して投獄され、釈放後にスイスへ行き、そこで生涯を終えた。
レアリスムの画家としては、クールベの他にジャン=フランソワ・ミレーとカミーユ・コローがあげられる。
今回の展覧会は5部構成。
1・クールベと自然ー地方の独立
2・クールベと動物ー抗う野生
3・クールベ以前の海ー畏怖からピクチャレクへ
4・クールベと同時代の海ー身近な存在として
5・クールベの海ー「奇妙なもの」として
ーついに海を見た。地平線のない海を。それはとても奇妙なものであったー
海の無いフランシュ=コンテ地方出身のクールベが初めて見た海はノルマンディーの海。22歳だったという。
画家の鋭い感性はうねりの向こうに何を感じていたのかな。
今では美術史上重要な名画なだけという感じもしないでもないけど、やっぱり今でもクールベの波はどこか特異なんだな。。