結局母は施設で年越しをすることになった。
31日に面会できるから土産に岩合光昭氏の本を持って行こうと、今日はみなとみらい線日本大通り駅から放送ライブラリーで開催中の「岩合光昭の世界ネコ歩き2」展へ。


母が好きそうなトラ猫がいっぱい写っている岩合氏の写真集を一冊買って、象の鼻から山下公園経由で神奈川県民ホールギャラリーへ。






「ミヤマケイ×華雪 ことばのかたち かたちのことば」展。
会期は2021年12月20日~2022年1月29日。
降ってわいたような天災に翻弄される中で、人は多かれ少なかれ「本当に大切なことって何だろう」と心のどこかで自問自答するようになる。
この展覧会は、「ことば」の力と「ことば」にならない「かたち」をさぐりながら「本当に大切なことって何だろう」の問いに答える試みという。

ミヤマケイは、サイト・スペシフィックアートを各地で展開する美術家。
サイト・スペシフィックとは、その場所に帰属する作品や置かれ
る場所の特性活かした作品、あるいはその性質や方法を指す。
ミヤマケイの場合は伝統的な日本の美意識や工芸的手法を現代に繋ぎ、書画というフォーマットに則り表現する。
今回の展覧会は、神奈川県民ホールの立地から舟や水を使ったインスタレーションを展開。




フロアには舟。



三艘の舟が浮かぶ。

鑑賞者は舟に乗る。
それぞれの舟にはそれぞれの音がする。波の音だったりさざめきだったり。
柱や壁に浮かんでは消え消えては浮かぶ。
最初はへえーという感じだけど、いつの間にか自分がどこに座っているのか忘れて己の内へ深く入っていくのだった。






いつまでも乗っていたくなる。でも鑑賞者は私だけではない。
舟から降りて隣りのフロアへ。

華雪は、古代の人間が生み出した漢字の成り立ちから自然と人間の関係性をすくい出し漢字一文字で表現する書家。
今回は、東日本大震災から物語をつむぐ。












その隣のフロアは再びミヤマケイ。




このフロアでは、鑑賞者が光を当て虫眼鏡で見る。
懐中電灯の光にことばが浮かび上がる。



虫眼鏡の向こうにことばが見える。


本当に大切なことって何だろう・・・
華雪が書を描いたタリエシンの詩集を手に会場を後にした。
今宵の夢は伝説の吟遊詩人にゆだねて眠るのだ。
