ウルトラマンブレーザー
第22話「ソンポヒーロー」、これは、なかなかに観ている者の心を切なさで締め付けてくるストーリー展開になってました。
今回の主役は、「SKaRD」のメンバーって訳じゃなく、とある保険会社で、毎日、クタクタになるまで働いている、どこにでもいそうな冴えないサラリーマン・テツオ。容姿はパッとせず、営業成績も奮わず、上司からは叱責され、同僚からは陰口を叩かれ、後輩からは愚弄される。鬱々とした気分で働きながらも、食っていくためには仕方ない、と心を殺し、毎日、薄っぺらい笑顔を貼り付け、足が棒になるまで飛び込み営業をかけていた。
いつものように営業が空振り続きで心が折れそうになっていた日、テツオは、一人暮らしの老女・ミチコさんの家に営業をかけ、彼女の家の雑事を手伝ったお礼に、美味しい手料理を振る舞われる。普通の和食ではあったが、毎日、半額になったコンビニ弁当ばかりを食べていたテツオにとっては、久しぶりに食べる、人の温かみが籠った料理だった。美味しいものを食べれば、自然と、心は緩み、口からは現状と自分に対する嫌悪感が漏れてしまう。そんなテツオの苦しみに対し、ミチコさんは「小さな目標を達成する幸せ」を説く。そして、彼女は契約書にサインをしてくれるのだった。
そんな温かい交流が交わされた後日、ミチコさんが住む地域に、冷凍怪獣・ギガスが出現。他の社員がバタバタする中、テツオはミチコの身を案じ、彼女の家へと急ぐ。とっくに逃げてくれている事を願っていたが、ミチコさんもミチコさんで、旦那がいない寂しい日々に限界を感じていたのか、我が家で最期を迎えようとしていた。疲れてしまっている彼女の気持ちは痛いほど理解できたが、テツオはここで、自分のエゴを貫く。何故って、ここで、ミチコさんが死んでしまったら、彼女お手製のハンバーグを食べられないからだ。ちっぽけな、でも、譲れない願いを胸に秘めて、老女をおんぶして、怪獣が暴れる街を激走するテツオ、漢じゃないか。
ブレーザー&アースガロンvsレッドキング&ギガスの戦いも、実に昂りましたね。レッドキング、ギガスともに、どちらも肉弾戦を得意とする脳筋タイプ。小細工をしてこない分、一撃は重いし、タフネス。しかも、レッドキングは岩が無いから投げて来ないとは言え、ギガスの方は冷凍ブレスを吐いてきやがった。もろに冷凍ガスを浴びてしまい、ブレーザー、アースガロンともに動きを封じられ、ピンチになっちまったが、凍らされたなら炎で溶かせばいい、とファードランを召喚し、危機を脱すとこは、さすがです。そして、チルソファード炎竜射とアースファイヤーの合体技で、オタオタする二匹を撃破するシーンにスカッとした事に合わせ、ラストで、テツオが地道な仕事を上司から評価され、彼を小馬鹿にしていた後輩が、顧客からクレームが入っている事を叱責されるシーンは実にざまぁでしたね。やっぱり、人間、小さな事からコツコツと進めていけば、デカいものを手に入れられるんだな。
王様戦隊キングオージャー
第47話「神を黙らせろ」は、何とも溜飲が下がるストーリー展開でした。なおかつ、改めて、ダグデドに対する不快感が、えげつないレベルで増しました。
前回、ジェラミーが受け継いでいた王の証の力によって、自分の能力で復活させた状態になっていた死体に命を宿らされたグローディ。ジェラミーを2000年も不老の状態で活かしていた代物だけあって、その力は凄まじく、もはや、「覚醒」と言ってもいいレベルでパワーアップしてしまったグローディは、17年前、チキューを絶望のどん底に突き落とした、大人災「神の怒り」を再び、発動させる。死なないグローディを倒すためだったとは言え、やらかしてしまった感はあるよな。
このタイミングで明らかになったのが、ダグデドの悪行。私はてっきり、ダグデドがチキューにいた人間を適当に選んで、シュゴッドソウルを強引に食わせ、グローディに変貌させたのかと思ってたんですが、違いました。グローディはダグデドが作り出した疑似的な生命体だったようです。つまり、ギラと、ある意味、同種!? しかも、グローディを作った理由ってのが、バグナラクが住んでいた星を「お掃除」させるためだったとは。恐らく、バグナラクも戦ったんだろうが、グローディの強さと能力に歯が立たず、逃走を選んだんでしょう。そして、行きついたのが、チキューだった。どっちが先だったのか、そこは判らんが、地球からやってきた人間も、そこにいて、最初は友好的な関係を築いていたんだろうけど、カメジムが争いの火種を放り込んだ事で、両者は憎しみ合ってしまった・・・つまり、ダグデドが何もかも悪い!!
ダグデドもグローディも許しておけないが、今は、何よりも、民たちを救わねばならない。ギラたちは、自分達の持っている力を活かすと同時に、協力する事で、誰も死なせない、と誓い合う。もちろん、その作戦には、ラクレスも力を貸すってのが熱い。ダグデドを倒すためだったとは言え、ラクレスは17年前、失敗してしまった。だからこそ、今、自分たちとは違い、仲間と協力できる関係を築いたギラたちの役に立つべく、奮闘する。かつて、ラクレスに仕えており、真意は見抜けていなかったにしろ、彼の優しさを知っていたドゥーガさんは、ラクレスと共に事に当たれる今に、思うトコがあったかもしれませんね。17年前、自分の失敗で家族を喪い、体も不自由となってしまい、今、生きる気力を失っていた女性に対し、真剣に謝罪するラクレスの姿に、グッと胸が熱くなったのは、皆さんも同じですよね。
民を、狭間の国「バグナラク」へ避難させ、安全が確保できたのなら、最後にすべきは、危険の直接的かつ物理的な排除。ギラ、ヤンマ、ヒメノ、カグラギ、リタ、ジェラミー、そして、ラクレスの七人の戦士で召喚したゴッドキングオージャーで暴走し、世界を壊すセミシュゴッドを一掃するや、巨大化したグローディとの戦闘に突入。如何にグローディが命を得て力を強くなっていても、ゴッドキングオージャーの敵ではない。しかも、今、ギラたちは全員、怒り心頭なんだから、攻撃力も倍増しって寸法よ。死にたがっていたグローディは倒された事で、永遠の静寂を堪能できる、と楽しみにしていたようだけど、そうは問屋が卸さない。これから、グローディは、本当に死ねない体で、永遠に、怨霊らの呪詛に苦しんでいくんだろうな。まぁ、正直、同情の余地は、これっぽちもないが。
仮面ライダーガッチャード
第21話「マッドウォーリアー!!黒炎のヴァルバラド!!」は、見事な晴らしで、心が熱くなりました。
前回、両親を目の前でグリオンに殺される記憶を思い出してしまい、復讐鬼、ウィールマルガムに堕ちたスパナ。自分の記憶を消し、10年の間、世話をしてくれた師匠の鏡花にも決別を告げたスパナは、グリオンへの復讐を果たすべく、まずは、自分の両親の命を弄んだエンジェルマルガムに怒りの矛先を向ける。怒りのままに暴走するからこそ、またしても、復活させられた両親を人質に取られてしまい、スパナの動きは鈍ってしまう。悲しみと怒りから変わり果ててしまい、それでも、優しさを捨てきれないゆえにボロボロとなる息子の姿に、何かを決心する両親。ここで、まさか、死者が使えないはずの錬金術を発動させて、両親が自決するとは誰が予想しましたよ。
懲りずに、スパナの両親を復活させようとするエンジェルマルガムだが、何故か、その能力が効果を発揮しない。動揺しながらも、この状況で戦うのは不利だ、と判断し、撤退するあたりは、なかなかに小憎たらしい。怒りをぶつける相手に逃げられ、ますます、荒れ狂うウィールマルガム。このままにしておけない、とガッチャードは力技で止めにかかる。ムーンマルガムを遥か先まで吹っ飛ばした時の威力を考えると、確かに、意識を奪える最低限のレベルまで絞り込んだんだろうな。使い過ぎると熱暴走を起こしてしまうガッチャーイグナイターを、宝太郎、使いこなしてる。ただ、目を覚ましたスパナの怒りは冷めていないようで、これは自分一人の戦いだ、と心配する宝太郎を激しく突き放す。まぁ、そこで匙を投げないのが、宝太郎の良い所で、それは仲間にも伝播する。彼らの協力を得て、ついに完成したヴァルバラドライバー。
そのタイミングで、鏡花を亡き者にして、スパナの心をより黒く染めようとするグリオンの命令で、エンジェルマルガムと三姉妹がやってくるんだわ。でも、ここまで、グリオンに冷遇されている事もあって、ラケシスは乗り気ではない様子。そんなラケシスが激しくなっている戦いの場から、こっそりと抜けだして向かった廃工場で対峙していたのは、スパナとミナト先生。ヴァルバラドライバーとダイオーニのカードを持っていたミナト先生は、自分がグリオンの命令で鏡花を殺害し、ドライバーを奪った、とスパナに告げる。それを聞かされ、ただでさえ、切羽詰まっているスパナが冷静でいられるはずがない。簡単にプッツンしてしまったスパナはウィールマルガムに変貌し、ドレッドとの戦いに突入。だけど、普段の冷静さを失っている状態で、ドレッドと互角の戦いが出来るはずもない。あっという間に窮地に陥ったスパナだったけど、そこで、彼は自分が両親、そして、鏡花に生かされていた事を自覚する。スパナの心の炎は激しさを保ちながらも、穢れた黒ではなくなり、美しい橙色へと変わる。スパナの気持ちの変化は、彼に憑依していたマッドウィールへ伝わり、マッハウィールへの再練成!! えっと、これは良い事なんだけど、「パイレッツ」とガッチャンコする時、「マッドパイレーツ」じゃなくて、「マッハパイレーツ」になるのかな? まぁ、そこはさておき、スパナはミナト先生に勝利し、ガッツショベル、ゲキオコプター、ダイオーニ、そして、ヴァルバラドライバーを自らの手にした。
そして、スパナはガッチャード、マジェードが、エンジェルマルガム、クロト、アトロポスが戦う場に堂々と参上。ついに、スパナは仮面ライダーヴァルバラドへの変身を果たす!! マッハウィールの内燃機関による変速力とダイオーニのパワフルさが見事に合わさった戦闘スタイルで、エンジェルマルガムを一気に序盤から圧倒する!! そんなスパナの熱に触発されたのが、ジャマタノオロチ。どうやら、ヴァルバラドの場合は、ビーグルケミーと同じナンバーのカードを使って、フォームチェンジっつーより武装化するみたいだな。ガッツショベルとジャマタノオロチが合わさった「オロチショベル」はガッツショベルの強力な掘削、ジャマタノオロチのどこまでも伸び、敵を絞めつける特性を活かしたものらしい。ヴァルバラドクラッシュによって、マルガムから解放されたエンジェリードは、自分を助けてくれたスパナに礼をするように、彼と彼の両親を今一度、再会させてくれた。ほんの少しだけ、心が軽くなったスパナだけど、やっぱり、宝太郎には冷たい。まぁ、何だかんだで、鏡花さんの所に戻ってきてくれたんだから、少しは穏やかになったのかな。にしても、今回、ミナト先生、体を張り過ぎ。鏡花さんも言っていた通り、何らかの思惑があって、グリオン側にいるのか。こりゃ、あるかな、ラケシスと手を組んでグリオンを出し抜こうとする流れ?