今年に入ってから、私の住むベルギーの小さな自治体から、「室内のラドン濃度測定を行なうので、希望者は申し込みを」という案内があった。
早速、30ユーロ(約3500円)を払って申し込んだら、国の核管理担当当局(法案作成や法の遂行状況を監視する行政機関)からのパンフレットをもらった。
この地域はベルギーの中で、土壌や岩石に含まれるウランから発生する放射性ガス、ラドンの濃度が最も高く、5%以上の住居が許容値を上回るらしい。ラドンがどのような経路で室内に侵入してくるか判りやすい図と説明がある。
ラドンには発ガン性があり、ベルギーの住民が晒される放射線被害の40%の原因になっている。また、国内の肺がん死亡者の10分の1はラドンが原因である。 ここまで言い切るということは、きちんと統計をとって因果関係も調査しているようだ。
自治体から測定用の缶を受け取って、1階の家族の滞在時間が特に長い部屋に3ヶ月間置いたあと、自治体に提出。2ヶ月くらいして、「54Bq/m3なので、特に対策の必要はありません」という結果が届いた。しかし、米国の推定では、非喫煙者の肺がんリスクに相当するラドン濃度だ。とにかく、毎日十分換気するよう心掛けよう。
パンフレットには、べルギーの居住空間における平均値が53Bq/m3とあり、我が家はほぼ全国の平均値だったのだ。これが、この自治体が属するワロン地方の平均になると、82Bq/m3と高くなる(参考までに日本家屋のラドン濃度測定結果)。
新築の際に上回ってはならない基準値が200Bq/m3、400Bq/m3を超えると対策を講じなければならず、800Bq/m3では肺がんの危険度が2倍になると、パンフレットに書いてある。
ちょうど結果をもらったころ、Twitterで、「人形峠のウラン採掘残土で作ったレンガ」に関するつぶやきを多く見かけた。
自然界からの放射線による被曝をできるだけ減らそうという試みの一方で、ウラン残土の処分に困り放射能は微量だからという理由でレンガを作り、公衆の被曝量を増やすような試み・・・。
残念ながら、「人形峠製レンガの安全性」というサイトにあるレンガから発生するラドンの値を、ベルギーの室内のラドン基準値などと単純に比較することはできない。
だが、いずれにしても気になるのが「低線量被曝」だ。
Twitterでmugla77さん(http://twitter.com/mugla77)が、つぶやいていた。
★微量放射線の影響★緊急被ばく医療研修のホームページより「この線量までは被ばくによる発がんの確率の上昇はないとする線量(しきい値という)はなしとする立場です。」推進側の資料でも低線量被曝の有害性は明確に認められています。
このホームページは、文部科学省の委託事業として、(財)原子力安全研究協会が運営しているという。すなわち原子力政策推進派というわけだ。
同様に、京都大学原子炉実験所の小出裕章氏も、「ウラン残土レンガと放射能の基礎知識」という講演で、米国科学アカデミーの委員会による「被曝のリスクは低線量にいたるまで直線的に存在し続け、しきい値はない。最小限の被曝であっても、人類に対して危険を及ぼす可能性がある」との見解を引用。これ以下の線量なら被曝の影響はないという「しきい値」説については、国際放射線防護委員会(ICRP)も「生体防禦機構は、低線量においてさえ、完全には効果的でないようなので、線量反応関係にしきい値を生じることはありそうにない」と述べて、いわゆる「しきい値」説を否定していることを明らかにしている。
いったい日本の原子力政策では、「低線量被曝」を十分に考慮しているのか?
最後におまけで、Twitterで2tarouさんが教えてくれた、テレビで放送された動画。売るなら、ちゃんと「人形峠のウラン残土」という原料名と放射線濃度を表記してくれなければ困る!
「ウラン残土がレンガに化けて販売! 放射能レンガ」P1/2
「ウラン残土がレンガに化けて販売! 放射能レンガ」P2/2
早速、30ユーロ(約3500円)を払って申し込んだら、国の核管理担当当局(法案作成や法の遂行状況を監視する行政機関)からのパンフレットをもらった。
この地域はベルギーの中で、土壌や岩石に含まれるウランから発生する放射性ガス、ラドンの濃度が最も高く、5%以上の住居が許容値を上回るらしい。ラドンがどのような経路で室内に侵入してくるか判りやすい図と説明がある。
ラドンには発ガン性があり、ベルギーの住民が晒される放射線被害の40%の原因になっている。また、国内の肺がん死亡者の10分の1はラドンが原因である。 ここまで言い切るということは、きちんと統計をとって因果関係も調査しているようだ。
自治体から測定用の缶を受け取って、1階の家族の滞在時間が特に長い部屋に3ヶ月間置いたあと、自治体に提出。2ヶ月くらいして、「54Bq/m3なので、特に対策の必要はありません」という結果が届いた。しかし、米国の推定では、非喫煙者の肺がんリスクに相当するラドン濃度だ。とにかく、毎日十分換気するよう心掛けよう。
パンフレットには、べルギーの居住空間における平均値が53Bq/m3とあり、我が家はほぼ全国の平均値だったのだ。これが、この自治体が属するワロン地方の平均になると、82Bq/m3と高くなる(参考までに日本家屋のラドン濃度測定結果)。
新築の際に上回ってはならない基準値が200Bq/m3、400Bq/m3を超えると対策を講じなければならず、800Bq/m3では肺がんの危険度が2倍になると、パンフレットに書いてある。
ちょうど結果をもらったころ、Twitterで、「人形峠のウラン採掘残土で作ったレンガ」に関するつぶやきを多く見かけた。
自然界からの放射線による被曝をできるだけ減らそうという試みの一方で、ウラン残土の処分に困り放射能は微量だからという理由でレンガを作り、公衆の被曝量を増やすような試み・・・。
残念ながら、「人形峠製レンガの安全性」というサイトにあるレンガから発生するラドンの値を、ベルギーの室内のラドン基準値などと単純に比較することはできない。
だが、いずれにしても気になるのが「低線量被曝」だ。
Twitterでmugla77さん(http://twitter.com/mugla77)が、つぶやいていた。
★微量放射線の影響★緊急被ばく医療研修のホームページより「この線量までは被ばくによる発がんの確率の上昇はないとする線量(しきい値という)はなしとする立場です。」推進側の資料でも低線量被曝の有害性は明確に認められています。
このホームページは、文部科学省の委託事業として、(財)原子力安全研究協会が運営しているという。すなわち原子力政策推進派というわけだ。
同様に、京都大学原子炉実験所の小出裕章氏も、「ウラン残土レンガと放射能の基礎知識」という講演で、米国科学アカデミーの委員会による「被曝のリスクは低線量にいたるまで直線的に存在し続け、しきい値はない。最小限の被曝であっても、人類に対して危険を及ぼす可能性がある」との見解を引用。これ以下の線量なら被曝の影響はないという「しきい値」説については、国際放射線防護委員会(ICRP)も「生体防禦機構は、低線量においてさえ、完全には効果的でないようなので、線量反応関係にしきい値を生じることはありそうにない」と述べて、いわゆる「しきい値」説を否定していることを明らかにしている。
いったい日本の原子力政策では、「低線量被曝」を十分に考慮しているのか?
最後におまけで、Twitterで2tarouさんが教えてくれた、テレビで放送された動画。売るなら、ちゃんと「人形峠のウラン残土」という原料名と放射線濃度を表記してくれなければ困る!
「ウラン残土がレンガに化けて販売! 放射能レンガ」P1/2
「ウラン残土がレンガに化けて販売! 放射能レンガ」P2/2