原子力エネルギー問題に関する情報

杜撰で不経済極まりない原子力政策が、生存権を脅かし環境を汚染し続けていても、原発推進派の議員を選挙で選びますか?

日本の「原発被曝者」知られざる実態(2)~国に救済を求める訴えと署名用紙

2011年02月12日 | 労働者被曝問題
【追記】「原発奴隷」という言葉に対してTwitterで、atelier49tebeさんから、「奴隷という言葉は使うべきではないと思います」というご意見をいただいた。「私達が自分の言葉でこの問題について語る時、原子力関連の仕事に関わっておられる方々を追いつめたり辱めるような表現になっていないか、常に自分自身に問い直す必要性は感じます」というご意見には、一理あると思った。  

人権も自由も認められないような人身売買に近いような状態なので、比喩としてそのままブログの見出しに引用していたが、やはり直接使うことは不適切だと思い、atelier49tebeさんのご意見を採用することにした。そして、原発の被曝労働者だけを30年以上追ってきた報道写真家樋口健二氏の言葉から「原発被曝者」と変更することにした。それにしても、Twitterでは本当にいろいろなことが学べてありがたい!【追記了】


前のエントリ第1弾で紹介した、諸島庵さんのTweetとほぼ時を同じくして「脱原発の日」のMLに以下の『訴え』という情報が流れてきた。

この方たちもまた、諸島庵さんのTweetと同じような原発内での被曝労働者の実態を知り、担当大臣に訴えるために署名を集めている。実態を知った人が、このように救済を求める行動を起こさずにはいられなくなるほど、酷い事態であることがわかる。


『訴え』
                   松本詔道 高子渚

 2年ほど前から私達は、原発問題を学習し始めました。
月刊誌「DAYS」で祝い島の闘いを知り、現地を訪問。
原発廃棄物処理問題浮上時、高知県大月町で京大の小出先生のお話を聞いたり、広瀬氏の「東京原発」や著書を読んだりしていました。

 その頃、田辺氏と出会い原発の映画「いきてるうちが花なのよ!死んだらそれまでよ党宣言」の上映を持ちかけられました。
 上映と共にシンポジュウムも計画(窪川原発を止めた農民・島岡氏、、取材の中本氏、原発内労働者を初めて撮影した樋口氏、彼のルポをリアルに映画化した森崎監督の4人の参加)。
 2010年9月4日愛宕劇場で200人余の参加をえて成功、感動を与えました。シンポジュウムでは、樋口氏は40年来被曝労働問題に取り組んでいると強く訴えられました。
著書にも実体化がルポされています。人間の問題だとの訴えに映画上映後、私達にできることは「署名」だと考え、樋口氏、反原発新聞の西尾氏の協力を得て署名を作成しました。

 電力会社と国は「原発が必要」とマスコミやPR館、学校を通して宣伝をしています。しかし、この署名の内容を知ると、「原発は被曝労働者を生み出しているので不要」との答が出てきます。
コンピュータのみで原発は動かないのです。
原発を海外へ売り出し、被曝者を増やさせてはなりません。

署名を拡げてください。お願いします。原発を止めましょう。

署名用紙はこちら


<以下、署名用紙の本文から>

原子力発電所内での知られざる被曝労働者の労働災害を救済する事を国に強く求めます

厚生労働大臣 殿
経済産業大臣 殿

                                原発内労働者の労働災害を救済する会


2010 年現在、日本国内の原発は54基となり14基が建設、計画中です。
原発はクリーンで安全なエネルギーを生み出すと宣伝されていますが、
原発内部はプルトニ ウムが作られる等放射能が存在し、労働時は被曝の危険にさらされているのが現実です。

定期検査、保守点検、異常時に対応する労働力が不可欠なので、
常に被曝労働者(2009年3月末現在、放射線従事者中央登録センターに登録された累計だけでも約44万人)が
生み出されている中で、労災認定を受けた労働者は、生存中1名、死亡後6名のわずか7名のみです。

病名は「慢性骨髄性白血病」「急性リンパ性白血病」「急性単球白血病」「急性骨髄性白血病」
「多発性骨 髄腫」などで他の癌死は認められていません。
癌で死亡した労働者の被曝線量は基準値(年間50ミリシーベルト・日本)以下です。
更に、放射線管理手帳は、 雇用主(原発)が記入して預かり管理するので改竄(改ざん)可能で
実在のケース(29歳労働者の死亡時)も存在します。

又、暴力団がニセの住民票で京都や舞鶴の高校生たちを原発内労働者として使い、
給料のピンハネをして被曝もさせた等の事件も起きています。
労働形態は、原発-元請け(財閥系)-下請け-孫受け-親方 (暴力団含む)-
日雇い労働者(農漁民、元炭鉱マン、大都市寄せ場、都市労働者)であり、
社会的、経済的弱者を徹底的に使役するのが原発なのです。

このように、エネルギーの視点からではなく原発被曝労働者(人間)に焦点を当てる事が、
原発内の闇に中にいる労働者達の労働災害を救済する事になるのです。【転載ここまで】


このように訴え署名を集めている方々の行為に水を差すつもりなど毛頭ないが、
すでに原発推進を明らかにしている内閣の大臣に対して署名を提出しても、国が方針を変える効果は期待できないことは、私自身幾度も署名を集めて思い知らされてきた。被曝労働者の救済にしても、真剣に取り組んでいないことは第3部で紹介する。
署名集めにはできる限り協力するつもりだが、当ブログの「署名活動を考える」にも書いたように、脱原発を公約する政治家を国会議員として多数当選させて彼らを大臣にしなければ、国策の原子力政策は変わらないことを、ここでも強調したいと思う。

原発の利権に絡んだ政治家たちが、国策という形で経済性ばかりを追求しながら推進する以上、安全性が最初に犠牲になることは、日本以外の国々でも同様である。挙句に、当ブログにも書いているように、点検漏れや事故隠し(担当者の命も犠牲になった)、地震大国日本の活断層の真上に原発建設などがまかりとおるようになる。問題は原発そのものではなく、建設し稼動させることを決定する、もしくはそれをやめられない人間にある。だから、その人間を入れ替えるしかない。

ドイツでは脱原発が一旦決まったが、脱原発を公約し決定した政党が政権交代で野党になったとたん、
現政権は脱原発を延期する決定をした(目下、環境保護団体と原発立地の住民が連邦憲法裁判所に違憲訴訟中。野党も同様に準備中という。もっとも、ドイツの今の政党支持率では次回も政権交代が起こる可能性が高く、野党が政権をとれば脱原発延期は撤回される。民放TVが原発事故番組を放送するほど、現政権の原子力政策に対する国民の反対は根強く、昨年は10万人規模のデモが2回もあった)。
また、ベルギーで脱原発を決めた政権のように、エネルギー担当大臣がかつては環境保護団体グリーンピースに勤めていたという、羨ましい例もある。

ことほど左様に、政権内部の政治家が脱原発を公約しているということが、脱原発を実現するためには不可欠なのだ。

国政選挙がしばらくないため、4月の統一地方選挙で脱原発を公約する首長と議員を多数選び、外堀から埋めていくしかない。「今度の選挙で選ぶ県知事が地元の原子力政策を左右する!」というエントリの最後にも書いたのでご覧ください。