原子力エネルギー問題に関する情報

杜撰で不経済極まりない原子力政策が、生存権を脅かし環境を汚染し続けていても、原発推進派の議員を選挙で選びますか?

こんなにひどい!原発の監視・通報体制

2010年08月10日 | こんな国と事業者に原発を任せられない!
長いですが、2011年5月1日に追記したので、福島原発震災後の赤文字部分もご参照願いたい!

かつて、科学技術庁で質問したことがある。
「放射線防護に関わる省庁がたくさんありますが、日本でチェルノブイリのような事故が発生した場合、どの省庁が責任を持って対処するのですか」

そのときの官僚の返答に、思わず我が耳を疑った→「お恥ずかしい話ですが、我々にもわからないのです

原発事故が起きた場合にどの省庁が所轄するのかを、官僚自身が知らないというのだ。

その年の阪神大震災後の九十分をテレビを眺めながら空費した村山首相や、どうしたらよいかわからず追って連絡があるまで息子の弁当を作った玉沢防衛庁長官。

この両者の例を挙げて筑紫哲也氏は、総理大臣も閣僚も、知事や市長も、官僚機構のロボットか操り人形に過ぎないと書いていた。

しかし、その操る側の官僚機構がしたことはといえば、スイスからの救急探索犬やフランスからの救援医師の足止めである。政官ともにこれほど無責任であれば、日本の危機管理体制は無きに等しい。

Twitterでoita_energyさんの以下のようなつぶやきを読んで、そんな昔のことを思い出した。


①皆さんもチェルノブイリ事故のような大事故が起きたら私たち市民の安全はどう確保されるのか自治体へ問い合わせてください。たくさんもボロが出てきます。大分県は当時(15年ほど前)ヨウ素剤の備蓄量を問うたら、「県立病院に200g瓶1本あります」と回答。私たちは笑いました。
②~原発事故時には大量の放射性ヨウ素が降下するが、子どもにはそのヨウ素を成長のための栄養素と勘違いして取り込んでしまうため、ヨウ素剤をあらかじめ飲んでおく必要がある。原発立地自治体では大量に備蓄している。 伊方原発から50kmの大分県には僅か200gしかない!お粗末な話!
③~立地県でない県では原発事故に対して何も対応していません。 もちろんきちんと私たちが要求して行けば、重い腰も上げるでしょう。原発はリスクが大きくて、こんなものはゴメンだという意識を国民が持つためにも放射能防災への取り組みを自治体へ要求しましょう。その最大のものが安全協定です。
④~安全協定を結ぶように各自治体へ要求する運動は、放射能防災や安全協定の締結要求や立地県の自治体でなかったら何の恩恵もないのだから迷惑施設として首長に表明させる運動も効果があります。大分県から目と鼻の先の山口県上関原発に対しても同様の闘いを目指しています。行政との共闘が必要!

私たち(故松下竜一代表)は安全協定を伊方原発のある四国電力と大分県は締結をするように申し入れを県にしたことがあります。県の回答は「立地県でないのでできない」の一点張り。国の天下りらしき官僚は木で鼻をくくったと言う対応。【つぶやきここまで】

欧州では、国境を接する国々が協力体制をとっているのに、信じがたい話である。

そもそも、日本の行政の原発に対する監視体制とはどうなっているのか? 

実際に調査された元プラント技術者が、問題点やあるべき監視体制の提言をブログにわかりやすくまとめられているので、エントリ→原子力発電の実情 -「もんじゅ」の事故でも変わらない行政-  から、以下の抜粋部分をお読みいただきたい。そして、あなたの地元の自治体が、原発震災に対してどのような備えをしているか、あるいはしていないかを確認していただきたい。

もし地元に原発があり監視・通報体制が杜撰であるか、あるいは原発はなくても原発立地の隣接県との安全協定を拒否するなら、そんな首長は原発に依存しない持続可能なエネルギー政策を掲げる首長と、次の選挙で入れ替わってもらおう!

なお、原文には、もんじゅの作業ミスに関する専門家としての解説などもあるので、全文を是非ご一読願いたい。


【以下抜粋引用】
関連記事でも書いた原子力発電についてですが、最近の高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開で気になったことがあったので、私なりに調査を行いました
気になる事とは、”誰が原発周辺住民にたいして、事故やトラブルの周知・連絡行動に義務を負っているのか”ということ そして、調べる過程で浮かび上がった、”行政の原発に対する監視体制の不備”(私は怠慢と思っている)について、驚くべき実態を知ることになりました

 原発の安全を担っているのが、以下の三者
事業主体(電力会社や日本原子力研究開発機構など)、原子力安全・保安院(国)、自治体(「もんじゅ」であれば福井県)です
私は、この三者に対して、数日間問い合わせを続け、以下のことを知ることが出来ました

<国(原子力安全・保安院)>
・国は、事故やトラブルの際に行うべき住民への周知・連絡行動に関して、法令上の義務は負っていない(現在、詳細を確認中)
・原子力安全・保安院は、原子力保安検査官事務所を各地に置き、24時間体制で事業主体(「もんじゅ」で言えば、日本原子力研究開発機構)から連絡を受ける体制になっている
・原子力安全・保安院は、毎日原発に立ち入って巡回しているが、原発に24時間常駐してはいない
・テレメトリーによる個々の原発の監視は、一部の監視項目について行っているに留まっており、原子炉の状態をリアルタイムで把握したり、運転停止や警報などのイベントログを行う”データロギング装置”を、原子力安全・保安院は保有していない
・現在までに多発した、事業主体からの”連絡遅れ””連絡漏れ””隠蔽行為”等々の不祥事について、根本的な解決策となる”第三者の目による、原発の24時間監視”については議論したことは無く、現在の”原子力安全協定”の下での体制で良いと考えている
・「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故を含む、機構の一連の不祥事については、機構側に改善指導を行っているので、原子力安全・保安院としては体制に変化はない
・原発事故の際には、”報道機関への連絡”及び”ホームページでの情報提供”、”任意で登録したモバイル保安院の方々へのメール連絡”を行っていますが、住民に対して直接的な周知・連絡活動は行わない(地元自治体の責務)


<自治体(福井県原子力安全対策課)>
・ 自治体側が、積極的に原発の情報収集を行う体制にはなっておらず、テレメトリーによる一部の監視項目について行っているに留まっており、原子炉の状態をリアルタイムで把握したり、運転停止や警報などのイベントログを行う”データロギング装置”を、県は保有していない(参考:もんじゅのサイト)
・自治体側から、24時間監視できる体制を提案したことはない
・自治体が、24時間原発を監視する必要性を感じていない
・「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故を含む、機構の一連の不祥事については、機構側に改善指導を行っているので、自治体としては体制に変化は無く、その議論さえしていない
理由は、全て日本原子力研究開発機構の体制の問題であり、自治体に問題があるわけではないから
・自治体が、原発の事故を知る手段は、原子力安全協定で定められている通り、”原子力安全・保安院”と、事業主体の”日本原子力研究開発機構”からの連絡しかない
・24時間体制で監視出来ない理由は、「その必要性が無い」、「財政的に支出出来ない」(お金が無い)、「法制がない」の3つである
・国(保安院)が、「法令上、国には住民への周知義務が無い」とする見解は間違い(国にも責任があるとの見解)


<日本原子力研究開発機構>
・機構側としては、原子力安全協定に基づいて原子力安全・保安院と自治体へ連絡をする
・機構側としては、事故やトラブルの際、周辺住民への周知・連絡行動は行わない
・機構側から、国や自治体へ24時間体制の監視を要望したことはない



以上が、原子力安全・保安院、福井県原子力安全対策課、日本原子力研究開発機構への問い合わせで確認できたことです
ちょっと整理すると
・原子力安全・保安院及び自治体は、原発を24時間監視してはいない(一部の測定項目のみ)
・原子力安全・保安院及び自治体は、原発事故やトラブルを知る手段が、日本原子力研究開発機構からの連絡しか無い
・原子力安全・保安院及び自治体は、「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故を含む、機構の一連の不祥事の後、何ら体制は変えておらず、変える必要もないと考えている
・原子力安全・保安院及び自治体は、機構側への指導・監督の強化で十分であり、既に機構側の体制が改善されたと考えている
・原子力安全・保安院及び自治体は、24時間体制で原発を監視する必要性を認識していない
・原子力安全・保安院及び自治体、機構の三者は、”性善説”に立った現在の原子力安全協定で十分だと考えている



 一番驚いたことは何かというと、”事業主体(日本原子力研究開発機構)に対する性善説で成り立つシステム”であると言うこと
簡単に説明すると、”原子力安全・保安院及び自治体は、原発事故やトラブルを知る手段が、日本原子力研究開発機構からの連絡しか無い”ということ  

そして、何よりも心配なのが、地元住民への直接連絡は自治体のみが担っており、その自治体への連絡遅れや連絡漏れ、隠蔽行為が横行していた過去の実態があること


【2011年5月1日ブログ管理人による追記】
4月26日川内博史衆議院議員のTweet
kawauchihiroshi原子力委員会委員、秋庭さんの証言。「原発周辺市町村の4人の首長の方と話をしてきた。4人とも、政府から一切何の連絡も情報の提供もなかった。避難指示とか計画的避難区域とか、全てニュースで知った」
【追記ここまで】


確かに、些細な事まで全て必要などとは、元プラント技術者として必要性を認めていないが、今までの経緯から学んでいるとすれば、”事業主体に対しての性善説でしか成り立たないシステム”を、未だ続けているはずがありません
それ自体が最大の不安要因であったのですから...

 自治体は住民に成り代わり、24時間リアルタイムで原発の状態を把握している必要がある
なぜなら、事故を住民に知らせることが出来るのは、自治体だけだから
単純なことです
誰に責任があろうと関係無く、自治体は知らねばならないポジションにいる

 原子力安全・保安院の職員でも自治体の職員でもいいから、原発の稼動状態を監視出来るスキルの有る人間を、24時間常駐させることが必要です
また、事業者が介在しなくても、国と自治体へ連絡が出来る、もしくは住民に直接警報を発することが出来る権限が必要です

 その上で、自治体や保安院に、原発の稼動状態をリアルタイムで監視出来るモニターやロギング装置、警報装置を設置するだけの話です
何百億円も必要はありません
日本中に何十基とある原発の稼働状況を、各地の保安院事務所へと集め、そこから保安院の本部へ繋ぐ
自衛隊のバッジシステムの様に、原発で何が起こっているのか常に把握して、素早い判断と行動、住民への周知活動を行う

 その際には、風向や風速などによる気象状況と監視データから、リアルタイムで放射性物質の拡散が予測できるシステムがなければなりません
参考:緊急時環境線量情報予測システム(SPEEDI)

【2011年5月1日ブログ管理人による追記】

3月23日私@ecoyokoのTweet
「財団法人福島県原子力広報協会」のサイトhttp://bit.ly/hXIwYu に、福島県では「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(大量の放射性物質放出の事態に、住民避難などの防護対策検討のため使用)を昭和60年から運用開始とある。これ今実際に使われているの?

3月24日私@ecoyokoのQT
使わなければ意味がない! QT @tamamidamon 21日付朝日新聞 SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)「原子力安全委員会事務局は「放射性物質の種類や量、放出時間などの推定が粗いので、避難などの判断材料としては使っていない。その状況なので軽々しく公表できない」

3月24日河野太郎衆議院議員のTweet
@konotarogomame: 緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の情報を開示するように事故当初から求めるも開示なし。今朝から官邸、文部科学省、原子力安全委員会にそれぞれ開示を求めると、誰が公開する権限を持っているかすら、三者とも理解していない。政治主導で公開してくれと要請。

4月14日川内博史衆議院議員のTweet
@kawauchihiroshi: 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、略称スピーディを視察してきた。原発事故発生以来様々な想定で、2000枚余の予測図を出力したそうだ。しかし今日まで公開されたのは、そのうちのたったの2枚。システムの開発には150億ぐらいの税金が投入されている。
【追記ここまで】


参考:原子力防災に関する業務(財団法人 原子力安全技術センター)
参考:チェルノブイル事故放射能の拡散計算例
参考:ESPER緊急時放射能影響予測システム(伊藤忠テクノソリューションズ株式会)

 それを住民がネットなり、TVなり、携帯電話なりで見られることが重要です
事故が起こっていない日常であっても、住民が事故が起こったらこうなるということを、常に意識出来る体制でなければなりません
SPEEDIの計算結果は地方公共団体に提供され、住民の防護対策の検討に用いられているということなのですが、残念ながら住民がリアルタイムで知ることが出来ません
予測モデルを住民避難支援システムへと発展させ、迅速で的確な避難の助けにするべきでしょう
行政は、住民の不安感情を煽ると考えるに違いありませんが、その考えを180°転換しなければなりません

 また、それらの機能には、人を介さなくても機能する体制も必要です
「異常値が出る→警報が出る→3者全てが同時に知る→住民が知る→予測モデルに基づいた避難」といった具合に、ヒューマンエラーを排除したシステムが必要
人を介在させる事は、今までの不祥事の多さを考えると、許容出来ないリスクです
原発事故は1分1秒が生死を分けますから、人の判断ミスを排除出来る通報体制が必要です

 現在の原子力安全保安院の緊急時の体制と取組みについては以下の通り
************************************************
原子力事業所において異常事象が発生した場合には、迅速な対応を取ることが極めて重要です。このためあらかじめ、異常事象が発生した場合の対応の手順を定め るなど防災対策の備えをし、万一の事故の際には機敏に対応することにより、速やかに関係者問での情報の共有を図ります。
 
● 仮に原子力事業所の周辺において通常時よりも高い放射線(1時間当たり5マイクロシーベルト以上)が検出された場合や原子力施設において安全機能の一部が 働かないなどの通報基準に定める事象が発生し、原子力事業者により国や地方自治体へ通報(いわゆる「原災法第10条通報」)が行われると各原子力事業所の 所在地域の「原子力防災専門官」等は、事業者や自治体との間で迅速な情報収集、連絡を行います。また、あらかじめ指定された「オフサイトセンター(緊急事 態応急対策拠点施設)」において活動を開始し、情報交換や対策の検討の拠点とします。
● 1時間当たり500マイクロシーベルト(O.5ミリシーベルト) 以上の放射線量を検出したこと等、通報事象の中でも原災法第15条に定める大きな異常が発生した場合、主務大臣(原子力発電所の場合は、経済産業大臣) は、原子力緊急事態が発生したと認めるときは、直ちに、内閣総理大臣に報告します。報告を受けた内閣総理大臣は、直ちに「原子力緊急事態宣言」を行い、自 らを本部長とする「原子力災害対策本部」を設置します。また、現地のオフサイトセンターに「原子力災害現地対策本部」を設置します。
● 原子力災害対策本部長は、緊急事態応急対策の実施に関し、関係機関の長や原子力事業者に対し必要な指示をするほか、必要に応じ自衛隊にも派遣を要請します。
● 原子力の災害対策には、その特殊性から、専門的な知識や見解が重要となりますので、原子力災害対策本部長は、必要に応じ原子力安全委員会に対し技術的事項についての助言を求めることとしています。
************************************************


 「ミスは必ず起こる」(「人は必ずミスを犯す」に置き換えても良い)
これは、プラントや航空機設計に携わるものであれば、誰もが認識していることです
その意味からすると、”性善説”に立った原子力安全協定は、全く意味を成さないと気づきます
では、それを当事者たち3者にぶつけた結果は...
3者共に、「現在の原子力安全協定で良い」とのこと 「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故は機構の体制の問題であり、国と自治体の責任ではないとの見解

 この時私は、国や自治体との根本的な思想のギャップを感じた
私は、「誰が引き起こそうと、誰の責任であろうと、誰かがミスを犯そうとも、住民の安全の為の有効に機能する体制が必要」という考えなのですが、国や自治体は、「私達の責任ではない」という考えでした

 もし今、放射能汚染を引き起こす、重大な原発事故が起こったらどうなるのか
現行の原子力安全協定では、事業者次第で住民の生死が決まります
国と自治体は、事業者から連絡が来るか、監視データに異常値が現れた時点で事故を知るのですが、それ以外に知る術も無い(幸運にも、保安院の巡回中に、事故が起これば別ですが)
監視データに異常値が現れた時には、既に重大な事故に発展している可能性があります
今までのように、事業者がまた連絡遅れや隠蔽を試みる可能性があります
ヒューマンエラーによる連絡ミスが起こる可能性もあります


 結局、被害をこうむるのは何も知らされていなかった周辺住民であり、風向きや事故の規模によっては、遠方まで放射性物質が運ばれます
もし、何らかの連絡が住民に届いていれば、個人でも対処可能な事はあります
個人で防護服やマスク、核シェルターまで持つ人がいるかどうかは別として、個人で対処する余地があることは、非常に重要なことです
最悪なのは、何も知らされないこと
【引用ここまで】

Rengepapaさんのつぶやきも、一案かもしれない。

原発が本当に人々に受け入れられるものになるのを願うならば、原子炉の様子をさらけだしてほしい。最たるものは原子炉へのライブカメラの設置だろう。位置が知れ渡りしかも防護壁の中だ。テロを口実にはできまい。今の様子が知りたい。事故の認識が遅れたら子どもたちの喉が放射性ヨウ素で犯される。

最後に、ドイツの例として、以下の2つのサイトを紹介しておく。

○遠隔監視システム 
平成14年度 放射線監視に係る海外調査報告書 (スイス、ドイツ)  40頁目~
(「原子力施設等放射能調査機関連絡会議」という団体がわざわざ調査したようだが、報告内容は日本の現状ときちんと比較しておらず、わかりにくい。安全確保のための監視システムは「ドイツ人気質だから」徹底しているのではない! 結局この調査の結果、何がどう変わったのか。中央や地方行政から後を絶たない外国詣の例に漏れず海外視察をしただけで、おそらく何も変わっていないのではないか。)

○事故通報や警報は、事業者と州当局が行なう。
「フランス、ドイツ、スウェーデンの原子力防災対策」