先祖を大切にされている家でも、意外と盲点なのが傍系(ぼうけい)の御先祖様の事です。母方や祖母方の先祖のことで特に母方の先祖の影響力は非常に強いものです。父親がだらしなくても、しっかりものの母親のお陰でもっている家は案外多いものです。また俗に言うアゲマ○なんかも女性の力によって男性が出世するわけですが、その女性の努力は勿論ですが、背後から女性の生家の御先祖様がバックアップされているものです。直系先祖が陽とすると傍系は陰。
先祖の事を良く研究されている人の中には、母方の先祖の影響力が60%以上だと言う方もいます。まあパーセンテージははっきりわかりませんが、私も経験から、母方や祖母方からの影響や守護が強くあるのは間違いありません。
八方拝を考案された京都の安倍禎三郎先生も傍系先祖の重要性を常に説いていらっしゃったらしく、長男には直系先祖、次男や女の子には傍系先祖の影響が出やすいとされています。特に日本では男系社会で父親と長男が中心で、次男以下の子や女子がないがしろにされてきた歴史が長く、この点が日本国の弱点だと指摘されていました。先生は生前に傍系供養を国民運動にまで盛り上げようと努力なさっていらっしゃって、現在でも先生の意志を継いで11月3日文化の日に京都の大徳寺において傍系先祖法要の儀式が約半世紀の間、毎年続けられています。
傍系の中でも影響力のもっとも強いのは母方ですが、次に父方と母方それぞれの祖母の里の先祖となるわけです。私は御先祖3本柱と呼んでいますが、
未婚の場合は直系、母方、そして父方の祖母の里で3本、
結婚したら直系、母方、妻の里
嫁入りの場合は相手の直系、自分の里、自分の母方の里
が重要であると感じています。
傍系のお墓が近くにあればいいのですが、離れている場合でも、1年に1度はお参りしたいものです。また特殊な場合をのぞいてお仏壇は直系のものしか置いてはいけないので、なんとか感謝を挙げたいですが、直系の御先祖の仏壇に向かって傍系先祖の名前を唱えられている方がいらっしゃいますが、これはいかがなものでしょう?先祖といってもやはり別々の家ですし、御先祖にとっては常に親戚が出入りしている形で落ち着かないのではないでしょうか。八方拝や十一方拝の際に傍系先祖の墓のある方位で感謝の意を唱えられるのが一番だと思います。