さて、去る12月21日にマヤ暦の周期の区切りが暗黒の3日間とか何事もなく来たわけですが、21世紀に入ってから、この日を目標にずいぶんとアセンションのことを言われる方が多くなってきました。この日に地球や人類がアセンションすると唱えていた極端な人もいましたが、まあ期日が近づくにつれ、この日からアセンションに向けてのエネルギーが加速するという、なんだか曖昧な表現に変化してきたものです。
日本でアセンションが意識される大きなきっかけを作ったのが、もう亡くなられたホゼ・アグエイアスさんの13の月の暦でした。これはホゼさんがマヤ暦にヒントを得て独自の解釈のもと御自身で作りだされたものですが、当初はマヤ暦そのものとして誤解され紹介されていました。現在のグレゴリオ暦は非常に人工的で人々の潜在意識に作用して反自然な生き方になり、2012年の12月21日までに世界の暦を13の月の暦に変更したら地球はアセンションし、出来なければ地球は滅ぶというものです。
現在もアセンションを唱える方の主張の大半は、地球は5次元に入り、意識の変わらなかった人達は3次元の地球か星に転生するといったものです。私は果たしてこれが本当なのかどうか判断できませんが、一つはっきり言えるのは、13の月の暦にしてもアセンションにしても、バックにユダヤ・キリスト教的な一神教の思想が背後にあることです。いわば予言と選民です。
13の月の暦の場合、2012年までにこの暦を採用しないと地球は滅ぶと、はっきり宣言しており、また採用すればアセンション=地上天国になると言っているわけです。キリストを信じる人は救われるし、信じない人は罰せられるのとまったく同じ構造なのです。
またアセンションにしても意識が変わった人は新しい地球に行き、残りは3次元世界に囚われるか滅ぶというのです。私がこれに対していつも思うのが親子の縁なのです。他人やはたまた夫婦は別れることができても、親子の縁は切っても切れるものではありません。もし片方が、特に親が意識レベルが高くても、子供がいろいろ問題あるというのは一般にもよくある話ですが、アセンションの時、この親は子供を見捨ててアセンションするのか、そんな人間が果たして意識が高い人と言えるのか。アセンションがあるかないかというより、こんな人間の根本的な精神の問題を一切省みずにアセンションのことを言う人達が本当に人類の意識を高くしようとしているのか疑問です。
仏教には菩薩行と言って、苦しんだり悩んだりする人に寄り添って生きるというのがありますが、アセンションのように世界が二つに別れるなら、苦しんでいる人はほっぽりだして我先に新しい世界のボートに乗り遅れてはいけないことになります。
確かに人類の意識が良い方向に行くビジョンを持つのは大切なことですが、ややもするとアセンションを唱える方々が批判する既成の一神教の在り方と同じこととなるのです。