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 タイトルのパイロットフィッシュとは、魚を飼う前に水槽に放し環境を整えるための魚。水槽の水が仕上がったら捨てられる(殺される)のだという。
 『アジアンタムブルー』『パイロットフィッシュ』といった同系統のタイトル、主人公が同じ、といったことから分かるように、これらの小説は連作なのだろう。また、現在と過去を行ったり来たりという構造も同じである。
 この小説の冒頭にこうある。
「人は、一度巡り合った人と二度と別れることはできない。なぜなら人間には記憶という能力があり、そして否が応にも記憶とともに現在を生きているからである。」
 『アジアンタムブルー』で葉子を失った山崎のことが脳裏に浮かぶ。年齢的にはあれから10年ほど後の物語だ。(葉子への言及はない)
 この言い回し自体は、ありふれていてすぐに納得できるから、読者をどこかへ連れて行くだけの力を宿してはいない。が、19年ぶりの電話の声を聞いた瞬間、相手が昔の彼女だと察してしまう人間の言葉だとしたら・・・その重みが違ってくるのではないだろうか。
 大崎善生の描く登場人物は優しい。時に読んでいて痛々しくなるほど。だから、冒頭の言葉は本当はもっと心の深みに届く質量を持っているに違いない。
 筋立てを追う小説ではない。雰囲気に浸る小説である。だから筋については書かない。一度手にとって読んで欲しい。自分も近いうちに再読する予定。
 ちなみに『アジアンタム~』と『パイロット~』の間には約10年の時間差があるからmそのすきまを埋める話を書いて欲しい(もう書いているのか?)
 タイトルは『バタフライエフェクト』。タイトルどおり、何処かで起きた些細な出来事が、大きなうねり(愛?)となって山崎隆二に襲い掛かるという物語(^^;)

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