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 我ながら古い本をひっぱりだしてきたものだ。テレビドラマが先で、後から書かれたのがこの本だという。テレビドラマはほとんど見ないので、この人気(?)ドラマのことは何も知らなかった。つい先日の記事を読むまでは・・・。
 なんでも、メジャーリーガーのイチローが、イチロー本人の役で出るという。しかも犯人役として。イチローは「古畑」の大ファンだそうでDVD等すべて持っているらしい。ドラマの出演を打診された時、二つ返事で引き受けたそうだ。これはぜひ本番(正月)前に予習をして、正月のドラマを見なければと思いたち、早速BookOffで購入。105円なり(^^)。
 三谷幸喜の脱力文章が好きなので、一度エッセイ以外のものも読んでみようと思っていたから一石二鳥。
 これは短編集で寝る前に一話ずつ読むのにちょうどいい長さ(というか短さ)。全10話で、ちょうど10日で読破。
 普通のミステリと違うのは、いきなり犯人が分かるところ。その後で古畑が事件の真相にせまるのを観察者の視点で読み進める、という構成だ。犯人探しに頭を悩ませながら読み進めるミステリもいいが、この形式もなかなかだ。
 また、短編集と言う造りのせいか、古畑の内面を掘り下げる記述は無く、一種の「ゲーム感覚」で謎解きに没頭できる点も好感が持てる。(この対極が「検死官」シリーズのスカーペッタ。彼女の人間関係の理解なくしては、この大作には没頭できない。そろそろ次が出る。すごく楽しみだ。)ある種、贅肉をそぎ落としたミステリとしてシャーロックホームズシリーズを髣髴とさせる趣もある。
 ただ残念なのは、筆者が時間的制約の中で仕上げた点。トリックも含め、描写にアラが目立つのだ。
 もし、次の本が上梓されるとしたら、トリックにも本腰入れた作品を書いてもらいたい。それはそれでとても楽しみなものになるだろう。

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