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震度0

朝日新聞社

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 例によって人物描写の肌理(きめ)が細かい。くどくどと描かないのに、登場人物たちの息遣いまで聞こえてきそうだ。新聞記者だった経歴が、達意の文章の基盤となっていることは間違いない。
 蛇足だが、自分は下手な文章の作家を読むのが苦痛(^^;)。ま、下手でも内容がすごけりゃ辛抱して読むんだが。
 宮部みゆきも、10年位前、とあるサークルで「小説では何かを説明する時に、説明のための説明になってはいけない。宮部みゆきの『火車』を読んでみるとよい」というアドバイスを貰い読んでみた。アドバイスの件は参考になったが、文章が下手でツッコミを入れながら読んだ記憶がある(^^;)。ところが、去年読んだ『模倣犯』。いや~、文章が上手くなっているのに一番感心した。< コラ
おかげでスイスイ読み進めることができた。この人、物語の構築力はすごいと思う。いずれ機会をみて取り上げてみたい。
 さて・・・
 以前にも書いたが、横山秀夫の魅力は話を単なるきれい事には終わらせず、人間の欲望の暗部まで描ききって見せ、その上で胸を打つエピソードに昇華させること。『震度0』でも事件に取り組む警視正たちの、各々の思惑や欲望、セクト意識からなかなか捜査が進展しない状況が、ひとりの警視正の発言から回りだす。このあたり、意外な人物の告白もあって視界が急激に開けていくのは快感!
 それとタイトルとも関連するが、ここで語られる事件と同時に「阪神・淡路大震災」が起こるのだが、このできごとも重低音として物語の旋律を支えている。
 校正ミス発見。P371「若い女が車の助手席に……!」これ、意味が反対になってる。「若い女の車の助手席に……!」だと思うが。

 傑作である。この正月の一冊に強くオススメしたい。

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