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 昨年末、氏の講演会を聴く機会を得ました。
 「キュレーション」がテーマで、今回の本の内容をかなり紹介してもらったと記憶してます(^^;

 さて、本書でもテーマになっている「キュレーション」。
 氏の定義はこうです。

『情報のノイズの海の中から、特定のコンテキストを付与することによって新たな情報を生み出す。』

 確かに、膨大な情報が身の回りに溢れている、アンビエントに存在している現在、情報そのものと同じくらいコンテキストを付与できるキュレーションというフィルタリングが重要になってきているという主張には説得力があります。

 このことを述べるために、佐々木氏は辛抱強く多くの例を挙げながら話を進めます。ジョゼフ・ヨアキム、エグベルト・ジスモンチ、ビオトープ、HMV渋谷店、4square、マルコヴィッチの穴、千利休、「視座」へのチェックイン、エンゲージメント、シャガール、アウトサイダーアート、セレンディピティ・・・
 特に、アート論のくだりは圧巻でこれでもか!というほどコンテキストの重要性を説いてくれます。いわく、コンテキストなくしてコンテンツなし。その例証としてのアウトサイダーアートの紹介なんですね。

 また、このあたりまでは上述の講演会で惜しげもなく披露されていたんですが、本書の最後の方でバイオホロニクス(生命関係学)で有名だという清水博東大名誉教授の著書を引き合いに出し、セマンティックボーダー(意味の壁)によるインサイダーとアウトサイダーのボーダーの組み換えにまで話が及びます。
 眩暈がするほど知的な話、貪り読みました。→続きはWeb本書で(笑)。

 ところで前のエントリで紹介した『GIGAZINE 未来への暴言』でも「旧世代と新世代の激突」という話が出てきますが、本書でも「古い人たちと新しい人たち」という表現が出てきます。もはや旧世代と新世代が対決し、根本的なところから破壊的創造をなさなければこの国は改革できないのかもしれない、そういう思いがよぎりました。

 例えば年金一つとってもそう。年金の制度設計がされた時点と現在では、諸条件が違いすぎます。だから、○○歳以下は損、というようなしわ寄せが下の世代ほどひどいことになっている。
 そういう意味では、パラダイム転換の境界線上にいる現政権は、最大公約数を掬いきれないという意味において、民主だろうが自民だろうが大差ないのかもしれませんね。

 佐々木氏自身の周辺知識の豊かさもさることながら、氏がIT界における優秀なキュレーターであることを再認識した次第。
 オススメの力作、分厚い新書です(^^)
 

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
佐々木 俊尚
筑摩書房


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