『眼力―面白いほど、相手が見えてくる本! 』 齋藤 孝

	眼力―面白いほど、相手が見えてくる本! (知的生きかた文庫 さ 38-1) 齋藤 孝 三笠書房 このアイテムの詳細を見る
西郷隆盛から山口百恵まで、非常に多くの人をとりあげている解説は説得力十分。また、齋藤さんお得意の、根拠を上げて科学的に説明する語り口には納得させられる。特に「対立する２項をx軸、y軸（例えば専門性とコミュニケーション力）として座標で人物評価」する方法論はすぐに応用が効きそうでおもしろい。 　この手のハウツー本は底の浅い人間が書くと「知ってる」ことのオンパレードとなり、さらには自慢話まで聞かされ、つまらないこと甚だしく、読めたものではないものも少なからずある。が齋藤さんの場合、単なる知識の宝庫というだけでなく「知識を身につけ生かす」ことに軸足がある。読んでいてさわやかである。学問のための学問でないところがいい。 　もう１点付け加えよう。 　しばらく前からネット上では「ソーシャルブックマーク」の普及が著しい。ネット上の膨大な情報量は、個人の目利きをはるかに超えて広がっていて、他者とブックマークを共有することで効率よく有益な情報にアクセスするかということに重心が移ってきている。 　齋藤さんの著書はまさにソーシャルブックマーク。何冊もの本のいいとこどりなのだ。上手に活用すべし。