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廃棄物彩生処

主にジムニーの廃品利用による改造、メンテ、及び4×4トライアル競技などを掲載する場として・・・・!

キャリーミッションのSJ30仕様化奮闘記

2012年02月08日 | 駆動系
 スズキ・キャリーのトランスミッションを、ジムニーSJ30用に改造することを頼まれ、安請け合いしたんだが、意外にも難題にぶち当たり、以下はその悪戦苦闘記録だよ。

 持ち込まれたミッションは下画像のもので、キャリー用というだけで車種・年式など一切不明。ケース形状はSJ10(旧型)に似てるが、これよりは新しいようでSJ30に近しだ。
 キャリーミッション原型

 外観判定ではシフト機構が収まる後部ケースを、30用に組み替えれば良い、との見立てからいざ着手してみたら、ありゃ~!何と肝心のメーンシャフト長さが異なってんじゃねぇか。
 シャフト比較 上:SJ30、下:キャリー

 そこで、依頼者に単純改造ではないことを連絡後に、シャフトを30用に組み替えすることにしたんだが、念のため各ギヤの歯数をこまめに数えてみたら、一次減速比以外は30と全く同じゃねぇか。これなら簡単だぁ、と。
 ならばギヤの組み替えでなく、ギヤ機構がセットされた30メーンシャフトにそっくり入れ替えればよい。焦ることはねぇ。

 ところが、そうは問屋が卸さねぇ。
インプットシャフトとメーンシャフトを連結してケースに収めようとしたら、両端ベアリング間隔が1mmほど長くて、ベアリングの位置決め用止め輪に収まんない。
 試しにSJ10旧型シャフトを組んでみたら、ピッタリだぁ。でも、これもシャフトが短いんで使えねぇ。
 

 そこでひらめいた! 先般購入した止め輪付ベアリングに付いてきた止め輪の厚みが、ジムニー純正止め輪より薄かったのでこれを使えばいい。
 ベアリング止め輪 上:ベアリング付属品、下:ジムニー純正

 ・ジムニー純正止め輪厚み  :1.3mm
 ・ベアリング付属の止め輪厚み:1.0mm
これに取り替えれば、片側0.3mm、両側で0.6mmは補正できる。

 さらに薄くしようとしてベルトサンダーで研磨したが、小物で抑えようがなく、弾かれて吹っ飛び2個を紛失。やむなく研磨を断念だぁ!
 次善の策として、ベアリング側面(止め輪の反対側)をベルトサンダーで削って巾を若干縮小して、ようやく収まったぁ!

 どっこい、喜ぶのは未だ速い! シャフトがロックして回んない。その原因についてあれこれ考えた末に、インプットとメーンシャフト連結部のシンクロリングが締め込まれてロックしてことが判明した。
 この連結部は、ニュートラル状態で空転しなければ、カウンターギヤとの噛み合いでロックし、各シャフトは回ることができないんだ。

 取り敢えずここで、また一服!

 一服中に考えたことは、シンクロリング(真鍮製)はテーパー状のため、これの内面を削れば長さ方向の余裕が大きくとれる、と。
でも、このシンクロリング内面はオイル膜を切れるように刃物のように鋭敏に仕上げてあるので、これを削ることは御法度だぞぉ。
 しかし、やるしかねぇ! 「いずれは摩耗するパーツなんだから」、との苦しい言い訳をしながら、サンドペーパーで少~し研磨した。

 思惑どおり、これでやっと回るようになったのだが、回転抵抗が大きく、これではニュートラル状態でブレーキを踏んでないと車が走りだしてしまう。「オートマのクリーピングだと思えばいいんでねぇのか」、とも思ったが、自分のものでもないんで、やっぱりここは完全な状態にすべきだろうと、次なる策へ・・・・。

 再度、ベアリング側面を”削っては回転確認”を繰り返し、手で軽く空転する状態まで調整した。
これで、一件落着だぁ!

 つぎは、リバースアイドルギヤがギヤ巾いっぱいに噛み合わない。
 ギヤ全巾噛み合わない状態

 どうゆう訳なのかスズキ4速ミッションのこのアイドルギヤは、シフトスライド量からして全巾噛み合わせることができねぇ設計だ。
 加えて、シフトホークが変形しやすく、これまで分解したものは全て噛み合い巾が少なくなってる。これでギヤ抜けするようだ。

 今回は、それだけはねぇ。アイドルギヤ巾がSJ30より薄いんだよ。
 上:キャリー用(薄い)、下:SJ30用(厚い)

 対処法として、ホークを叩いて曲げて、噛み合い巾を増やした。
しかし、ホークの曲げ量が大きくなると、ホーク先端角度が変わってしまい、アイドルギヤ溝に噛み込んじまうんで、先端をサンダーで整形した。
 噛み合い改造後:ホーク先端に角度がついているのが分かる。

 後部ケースをセットし、ケース外面を清掃して難産改造を終了した。
この清掃は面形状が凹凸なんで大変な労力を要するし、また何の面白味もないんでやり甲斐のない作業なんだ。
 しかし、外観が汚ねぇと内部まで悪いようなイメージが湧くんで、また性分的にもボルト頭部1本毎ワイヤブラシをかけつつ締め込んでる。機能的には全く関係なき労力なんで効率化をかはるべきかとも思うんだが、これも趣味の内ちなのか?

 完成状態

 ところで、このキャリーミッションにつて依頼者は、SJ30の低速化を目論んだようだが、現実はその逆で高速仕様となってしまったんだ。 
 「5速ミッション不要だよ」、「街乗りで試してみます」と・・・苦笑いして持ち帰って行く姿を、複雑な想いで見送った。
 丸2日間の悪戦苦闘も、これにて一件落くちゃ~く!

【参考】 
 一次減速比 (ギヤ歯数比)
  SJ30:34/19=1.789
  キャリー:32/20=1.600 
 減速比較 1.600/1.789 = 0.89 ・・・・各段とも約10%高速となる。

【反省】シンクロリングのテーパー部内面をサンドペ^パーで研磨したが、これはやっぱりすべきでなかった。 ベアリング巾縮小は影響がないので、これにすべきだった、と後悔している。
 ただし、シンクロリング内面研磨は、指での感触で分からない程度のものであったのだが・・・!



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