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廃棄物彩生処

主にジムニーの廃品利用による改造、メンテ、及び4×4トライアル競技などを掲載する場として・・・・!

ジムニートランスファのレバーストローク短縮化加工

2013年08月21日 | トランスファ
 ジムニーJA11トランスファのワンレバーによる2駆Low切替改造では、レバーのストロークが1行程増して、ボディフロアに当たってしまい、その対策が容易でない。

 このレバーストロークを小さくする改善策として、レバーの支点となる球部を削り、下図のように支点先端長さを長くする改造を試作してみた。

 左が改造したレバー球部、右がノーマル品

・球部から先端までの長さを約5mmほど長くしてみたが、フロア部でのレバーストロークの短縮は20mm程度であった。
・この程度の短縮でも、フロア当たり対策としては”効果あり”である。
・球部先端を長くすると、シフトロッドの引っ掛かり部から突き出して、問題が生じると思われたが、この程度の延長では支障はなかった。
・球部の切削は、電動サンダーを使い、削り過ぎせぬよう根気よく作業した。

ジムニートランスファケース分割工具の製作

2013年07月11日 | トランスファ
 ジムニーSJ30用トランスファを改造するためケース分割・分解しようとしたが、どしてもケースが開かない。
 そこで、有り合わせのパーツを組み合わせて下図の、ケース分割工具を製作した。



これをケースの拡張用ヒレにセットして、内側のナットを回せばケースが難なく開いてくる。これを2個セットすれば作業が素早く進行する。



 これまで数多くのトランスファを分解したが、ケース分割にそれほど苦労をしなかった。どうしても開かないことはあるが、それは閉じボルトが残っている状態を見落としているときである。
 しかし、今回品は兎に角、固かった。上記の工具でもカツン、カツンと音を発しながら開いていった。

 材料はたまたま端切れ置き場にあった穴明き40×40×3山形鋼材と、M13ボルトを組み合わせたもので、加工は一切していない。
 今回ケースは固かったため、厚み3mmの鋼材端が少し変形したので、厚みを増すか、あるいは補強が必要と思われた。

ジムニートランスファのレバー確認治具製作

2013年05月25日 | トランスファ
 ジムニーJA11のトランスファを、1本レバーによる2駆Low切替加工をするとレバーがフロア枠に当たってしまう。

この対策としては、以下のようなものがある。
① フロア枠をカットする。
② レバーを曲げ加工する。
③ シフトフォークロッドの切り欠き部の位置を移動する。 

①の対策は比較的簡単だが、②と③はレバーがフロアに当たらないことの確認が、トランスファを車体にセットしなければならず、大変な作業となる。

このため、この確認作業を容易にするための、治具を製作してみた。 



 レバーは2駆Low状態

レバーとフロア枠の位置関係を正確に計測するのは難しいので、フロアに当たらないよう加工済みのトランスファを用いて、そのレバー位置から治具を製作した。

 このため、その精度について自信が持てないので、実機確認を重ねて精度向上を図ることとする。

なお、2駆Low加工後のフロア枠点でのレバーストロークが、約94mmほどに対して、フロア枠の前後方向巾は102mmと、余裕が少なく、また、フロア枠には蛇腹ブーツが取り付くため、これが障害となって極めて厳しい条件となっている。

 このため、1本レバーによるこの問題の抜本的改善方法について、以前から腹案を持っているのだが、自分としては特段の必要性がないので、未だ試していない。
 しかし、これの加工依頼が多々あるため、時間ができたら試作してみようかと思っている。


ジムニーJA11トランスファの2駆Low加工

2013年03月19日 | トランスファ
 ジムニーJA11トランスファを、1本レバーで”2駆での低速切替(2Low)”ができるよう改造するには、2本のシフトフォーク用ロッドを加工するが、それには以下のような問題がある。
①ロッドの切り込み加工位置を、単純に追加するだけでは、レバー半球支点部の上下付近がケース等に当たってしまう。 下図参照
②また、2駆Lowへのシフト時に、レバーがボディ床枠の前側に当たってシフトできない。
③これの解決策として、切り込み位置をフロント側へ5mmほど移動すると、①の問題は解決するが、反面、ボディ床枠の後ろ側に当たってしまう。

 レバー半球支点部が当たる位置(赤丸部分)

このため今回、ロッド切り込み位置移動量を”4mm”として加工したところ、上図赤丸部のうち、下側が僅かに(0.5mm程度)当たって完全なシフトができなかった。
 
この対応としては、以下の簡単な加工で解決する。
・レバー先端がケースと当たる部分を、深さ1mmほど削る。 下図参照 
・または、アルミケースの当たる部分を、1mmほど削る。

 切り込み部を溶接加工して4mm移動したロッド

 レバーの削る位置。 0.6mm削ったもの。

この改造でのレバー傾斜状態を、以下の画像ようにして確認した。

画像で
・左側 : JA11ノーマルのトランスファ 
・中  : 5mm移動加工品+若干レバー曲げ加工して、ボディ床枠に当たらないトランスファ
・右側 : 今回の4mm移動加工品を仮セットしたもの。

 「2駆Lowシフト」状態でのレバー傾斜比較

 「2駆Hiシフト」状態でのレバー傾斜比較

上図から、今回の4mm移動加工品のレバー傾斜角度が、中のトランスファと同等なので、レバーが床に当たらないものと思われる。

 なお、このトランスファ・レバーとボディ床枠との位置関係は、以下のような厳しい条件があるため、実際に搭載して確認・調整する必要がある。
・ボディ床枠の寸法に余裕がないこと。
・レバーのラバー蛇腹ブーツが取り付くため、これの形状によってはレバーを規制すること。
・車両によっては、高級な床マットが敷かれており、これがレバーを規制すること。
・トランスファ・ブラケットの仕様や変形によって、レバー位置が変動すること。

車両にセットして、レバーが僅か当たってシフトができない場合の対応方法例としては、
・蛇腹ブーツ押さえ枠の前後組み替え、または切削
・レバーと床枠との当たる部分のレバーを、僅か切削する。
・レバー根本付近での曲げ修正
など。


シフトレバーの曲げ方

2012年10月17日 | トランスファ
 ジムニー・トランスファの2駆Low切替加工を簡易な方法で行うと、レバーがフロア前部へのぶち当たりや、ミッションレバーと接近するなどの不具合が生じる。

 これの簡単な対処法として、レバーを曲げる方法がある。
今回、このブログを見て下さっている方から、簡単なレバー曲げ方についての質問を受けたため、実際に加工して再確認を行った。
 参考としてその一例を記載する。

曲げる位置は、
・フロア当たりを避けるには、できるだけ球部(支点)に近い位置で。 実際は最下曲げ点で。
曲げ方向は、
・球部の2つの溝の方向で、原型の曲げ角を戻す方向へ。
曲げ角度は、
・自分は数値的確認をしていないので不明。 実機にセットして確認を!

 曲げ易くするために、曲げる部分をサンダーで削る。

 削る量はこんな程度か?

 くの字曲りを戻す方向なので、このように据えて大ハンマーで!

 プレス利用もあり。 万力利用を試みたが、これは形状的に難しかった。

 曲げ戻し量の比較確認用として、原型図を描いておくと便利だ!

 原型図にて曲げ量確認

 原型レバーとの角度比較。 上:原型品、 下:加工品

 曲げ量、方向が確定したら、削った部分を溶接補強するのだが、上記程度の削り量では補強しなくても強度上の問題はないと思われるので、自分の車であればそのままで良いのでは!

【注】今回削った位置の下部が、ちょうどゴムブーツ上端となる(画像で帯状に白くなっている部分)ので、溶接補強をしない場合は、このブーツ封じ部分を余り削らないようにした方がよい。

 なお、このレバーは、先端部分を機械加工したものを、上部ロッドと圧接(ガス、摩擦?)一体化したものである。 よって今回の曲げ加工部分は良質の高強度鋼材である。

上記以外の曲げ方法として
 切断→溶接で角度修正する方法も行ったことがあるが、その場合の切断は、ロッド方向に対して斜めに切断し、
溶接部応力の分散、かつ溶接長延長をはかって、応力集中等による強度低下の軽減をするようにするとよい。


ジムニーSJ10トランスファの2Low加工

2012年05月16日 | トランスファ
 友達から2年ほど前にジムニーSJ10トランスファの2Low改造を頼まれていたものの、分解経験もないことから乗り気がせず放っておいたのだが、その依頼者所有車のトランスファが壊れたことから、待ったなしとなって実施し、苦戦しつつも以下のとおり満足な出来映えで完成した。

 なお、この型式トランスファ内部構造を見たことがないため、改造できるかどうかは、「分解してからのお楽しみ」であったが、結果はこれまでのJA11用と変わりなく、分解・組立を含めた加工手間は、むしろ簡単であった。

 2/4駆切替ロッドの切り込みは、M12ナットのネジ穴をφ12mmにくり貫いてハメ込み、削り込んだ。

 加工完了のロッド。H/L切替ロッドにはインターロック用の凹みを追加している。

 加工ロッドを組み込んだ状態

 ところが問題発生!
 ハメ込んだナットの厚みが厚く、フロント側ケースがセットできないではないか・・・!
以前に、SJ30ミッションのリバースホーク補強加工でも同じような失敗をしたことを思い出した。 過去の失敗経験が生かされていない。 ということは元来、頭の回転が鈍いことに加えて、脳細胞の老化が予想以上に進行していることを改めて認識させられた。

 この不具合対応として、フロントケースとロッドとの関係寸法を測定した結果、追加切り込み端とケース内部とのすき間は2mmほどしかないことが判明。

以上から、以下のような加工を行った。
・フロントケースの2/4駆切替ロッド差し込み穴の入口を、リューターで皿状に削った。
・切り込み部にハメ組むナットをM12厚さ12mmとし、片側を円錐テーパー状に加工し、溶接セット→切り込みした。 

 改良加工した2/4駆切替ロッド。 下部の穴は最初にはめ込んだナット固定用の穴



 組込完成したトランスファ。 いつものことだが、外部清掃が一番大変な作業だぁ!

 以上のとおり、初めてのこともあって失敗をしたのだが、それ以外にも2本のロッドの分解・組立には、可成りの知恵が必要である。一度経験すれば簡単なことなのだが、それを知らずに始めると可成り苦戦するだろう!

 以下に今回、工夫加工した一例を紹介する。

 2本のロッドの移動防止用プレートが付いているが、これが厄介もので、ロッド引き抜き、セットが容易でない。
そこで、プレートを以下のように2ヶ所に凹み加工を施した。
 ロッドセット時には、先にプレートをセットし、この凹み部を使ってロッドを挿入し、その後にプレートをずらして固定すると非常にやりやすい。また、次回の分解時に便利。

 凹み加工したプレート

 今回は、もう一つの我ながらあっぱれ品の便利工具を考案し、組立の難題を克服したものがあるのだが、それの紹介は別の機会としたい。 
少し勿体振って、「乞うご期待・・・!」

【補修パーツについて】
 本品はオイルシール3個(2種類)とゴム蓋2個が要交換パーツだが、メーカー純正品が購入可能である。
 (ベアリングも用意されていると思われる。)

 このオイルシールは荒井工業製であるが、この会社製品はメーカー直納のみで一般市場へは出されていないようだ。
 類似品を調査した結果、武蔵オイルシール社製品(市販品)にセット可能なものはあるが、泥進入防止機能が純正品より劣るようである。



ジムニーJA11トランスファの2駆Low加工で問題発覚-2

2012年01月20日 | トランスファ
 今回実施したジムニーJA11用トランスファの2駆Low切替改造で、参考となりそうな事項を以下にまとめてみる

〔ケース分解〕
オーバーホールでなく、2Low改造だけを行う場合の分解は、次の方法が楽のようである。
・3個のフランジは取付けたままで。 スピードメーター用ドリブンギヤもそのままで。(これらの取り外しは、結構大変だぁ)

この状態で分割すると、下図のように分割され、分解-組立の手間がかからない。
ただし、カウンターシャフトは分割後に付け替えした。


〔組立時の注意事項〕
組立時にフロントシャフトのクラッチスリーブ(下図の矢印リング)を入れるのを忘れぬように!



これは意外に忘れ易く、自分は過去に度々忘れて苦労している。
入れ忘れた場合は、再度分解するか、あるいはハブを外す必要があり、このハブをスプラインシャフトから引き抜くには、簡単そうだが結構大変である。ギヤプーラーがかけられず、2丁のバール活用など工夫が必要だ。

 ハブを外した状態

〔スピードメータードライブギヤケースのオイル洩れ〕
この部分のオイル洩れ対策は、ギヤケースのOリングと内部の小さなオイルシールの確認・交換が必要。
ところが、この内部の小さなオイルシールの取り出しは容易でない。 
内径が小さいので使える工具がななく、引っ掛け工具で引きだそうとしたが引き出せず。細い鋼棒の先端をくの字に曲げたものを作って、下側からたたき出したのだが、悪戦苦闘した。

下図は、SJ30用である。


純正品番は
・オイルシール SJ30用:09282-08001、 JA11用:29973-80050  いずれも\160
・Oリング  30-11共通で:09280-19001 \110
       なお、JA11用は細いものがもう1本付いており 29977-80050 \120

〔シフトレバーボール・シートの交換〕
シフトレバー球部のプラスチックシートは硬化・劣化し、破損し易い材質である。 破損していなものでも、硬化して変形できないため取り外しできない。(他品からの流用ができない)           



JA11用純正品番:29541-80051 \500 高価だよ!

以上



ジムニーJA11トランスファの2駆Low加工で問題発覚

2012年01月19日 | トランスファ
 ジムニーJA11用トランスファを、低速側で2駆切替(2Low)ができるような改造加工を行ったところ、意外な問題が発覚した。
 
この改造には、シフト操作ロッドに切込み加工するのだが、これには以下の2つの方法がある。
①方式: 既存の切り込みをそのままに、2ヶ所の切り込みを追加する簡易な方式。 これは2Lowシフト時にレバーがフロアに当たるためフロアカットが必要。
②方式: フロアカットを避けるために、既存の切り込み位置を変更して、切込みを追加する方式。

今回、①の簡易な方法で加工したところ、トランスファ本体ケース内にレバーが当たってしまい、シフトできなかった。

 加工したJA11用のシフトロッド

 下図の赤丸印の部分が当たって、2駆Lowへのシフトができなかった。


対策として、当たる部分を少し削ればシフトできそうであるが、元々この方式はレバーがフロアに当たることから、②方式での加工に変更することとした。

②方式の加工は、以下により行った。
・パーツは①方式加工品を使い、切り込み部を溶接穴埋めして、新たに切込みした。
・穴埋め溶接材は、摩耗強度を考慮してジムニー用6mm厚板ばねを使った。
・切り込み位置は、これまでの経験から①方式位置から5mm移動した。
 
 2/4Wシフトロッド加工品とH/Lシフトロッド穴埋め品をセットした状態

 H/Lシフトロッド切込み位置をマーキング

 マーキングしたロッドをグラインダー+自作治具で加工

 ②方式の加工完了状態

〔確認試験〕
 ①方式の加工では、全て組み込んでしまってから不具合が判明し、無駄手間をかけた反省として、今回はシフト機構部分のみを仮組みしてシフト状態を確認した。 

 廃棄品のケースに仮組みした

 また、レバーの傾斜角度をノーマル品と対比したが、その対比状態は下画像のとおり。

 左がノーマル4駆Low、右が②方式の2駆Low状態---ほぼ同じ角度であり、フロアのカット不要

 左右とも4駆H---②方式が画面の左側(搭載車の後方)に若干傾斜している。

 今回は上記のとおり切り込み位置を5mm移動したのだが、この場合レバーの後方がフロアに当たる懸念がある。まだ実車に搭載していないので未確認である。
 上記の対比画像の状態から判断すると、レバー振れ角がもう少し前へ移動するように、切込み移動量を4mmとするのが良いと思われる。

 この2駆Low切替改造は、今から15年程前(H8年)に発案して加工した実績があるのだが、フロアカット防止上、②方式としたことから、①方式での加工は今回が初めてだった。このため、前記のようなシフト不能問題には気付かなかった。
 自分のホームページにこれらの加工方法を記載しているので、これを参考とした方にはこの場でお詫びさせて頂きたい。
 なお、旧タイプのSJ30用トランスファは、①方式で問題ない。


 ところで、この2駆Low切替はクラッチ装置の保護を主な目的として使われているようであるが、自分が当初の発案目的は、競技時の切替操作を素早く行うためであった。
 しかし、同時期に改造加工した超低速ギヤと組み合わせて、これを組み込んだものの、これらの必要性を余り感じなかったことから実車への搭載はしなかったのだが、最近、周りの皆さんが話題としていたことから、自分も必要性に気付き採用するようになったものである。(今回のものは、依頼品)




加熱によるベアリング抜き取り

2011年01月03日 | トランスファ
 ジムニーSJ30用トランスファの2駆Low切替改造段階で、これまで経験したことのないベアリング抜き取りが必要となった。

 これは、ミッションからの入力シャフトに付く2個のベアリングのうち、フランジと反対側のベアリングが、シャフト抜けしてアルミケース側に残ってしまった。
 
 一番下の小さいベアリング
 
 このベアリングは、摩耗ガタツキが著しく、交換を要するのだが、
・この部分はケースを貫通していないので、外側からたたき出せない。
・スライディングハンマーで引き出したくも、穴径が小さくて引っ掛ける手持ち工具がない。
・削るなどの荒料理は、この場所、この状態ではできそうにない。

 はたと困って、休む余裕はないのだが取り敢えず一服するしかない

 一服途中でひらめいた。 アルミの熱膨張係数〔注〕は鉄より2倍大きいから、加熱すればアルミ穴が拡大して抜けるのではないか?・・・と。

 そこで、ベアリングに抜けたシャフトを差し込んで、アルミケースを裏側からガスバーナーで加熱し、スライディングハンマーで引き抜いたら、予想どおり一発でベアリングが抜けてきた。

 幸いに近くにはオイルシールなどのゴムやプラスチックが無かったので、気遣いせずに加熱することができた。

〔注〕熱膨張係数(熱膨張率)とは
・温度の上昇によって物体の長さ・体積が膨張する割合を、1℃当たりで示したもの。
・熱膨張率ともいう。
・単位は 〔1/ ℃〕である。
・温度の上昇に対応して長さが変化する割合を線膨張係数(線膨張率)といい、
 体積の変化する割合を体積膨張係数(体積膨張率)という。
・線膨張係数をα、体積膨張係数をβとすると β=3α の関係がある。
・特殊なものを除く通常の物質のこの係数値は、温度によって一定ではなく、高温ほど大きい。(0℃から1℃上昇する時の線膨張件数よりも、100℃から1℃上昇する時の線膨張係数の方が大きい。)
・アルミと鋼の線膨張係数は(20℃時)、単位:〔×10^−6/℃〕
  アルミ  23~24
  普通鋼  10~11
 (合金度合いにより変わる)

 外穴のアルミの線膨張係数はベアリング鋼の約2倍と差が大きいため、少し熱すれば外れるが、内外が同じ金属でも、加熱すると外穴が拡大して抜けやすくなる。
 
 今回は外側がアルミであったが、逆に外側が鉄で内側がアルミの場合は、これを熱すると内側のアルミの膨張が大きので、固く締まって抜け難くなってしまう。
 このような組合せの場合は冷やさなければ抜けないので、この線膨張係数の違いに注意を要する。

 

ジムニートランスファ・ブラケットの改良

2010年10月03日 | トランスファ
 ジムニー・トランスファを少し持ち上げるために、マウンチングブラケットを加工した。

 据付アップするには、ブッシングの高さを替える方法もあるが、適当な手持ちのブッシングが無いので、ブラケットを加工することにした。

 36mmアップとし、ついでに剛性を高めるよう補強した。

 上側が純正ブラケット。下側が今回加工品。



 これはP車用として加工したもので、これまで付いていたものが、ねじれ変形していたため、ねじれ剛性強化として角パイプを溶接した。
 角パイプの仕様は 40×40×1.5mm

 ねじれ変形したブラケット

塗装して、いざ取付ようとしたらボディ側3個の穴との寸法が合わずにセット不可。
以前にもキタガワ製を真似て同様品を製作したことがあり、問題がなかったので今回も寸法を気にせず安易に加工したのだが、浅はかだった。

 それから、36mmアップには無理があるようなので、30mmupにダウンし、仮溶接段階でブッシングボルト間隔を、純正品と同じくなることを確認してから本溶接を行った。

 作り直したブラケット

トランスファ2駆Low加工の治具製作

2010年08月06日 | トランスファ
 ジムニートランスファを低速側で2駆に切替できるにする改造するには、シフトシャフトを切削加工しるが、その加工する際の治具を製作した。

 この治具は以前から必要と思っていたのだが、最近これの加工依頼が多いことから、今回思い切って作ってみた。

 この切削加工は、ディスクグラインダーでもできるのだが、自分はグラインダーにサンダー用砥石(ディスク)を2~3枚セットして、これで切削しているので、このための治具を作ったのである。

 製作した治具


なんのことはない。 ただグラインダー軸と平行に切削するシャフトを保持するだけである。なお、軸と直角方向に倒れるようになっている。

 シャフトを固定する両側板の穴は、片方が開放穴のなっているため、簡単に着脱ができる。(作業中は切削状態、寸法を確認するため、頻繁に着脱をする)

 グラインダーにセットした状態


試用した結果は、グラインダー軸とシャフトの平行が保たれることから、作業がし易く、また仕上がりも上々であった。

最近の傑作品であり、世界発明展なるものがあるなら出展してみようかと、迷うほどであった。



ジムニートランスファのオーバーホール

2010年07月20日 | トランスファ
 ジムニーSJ30用トランスファに水が入ったもののオーバーホールを、依頼により行った。

 このT/Fは2本レバー仕様品で、川に入った際にゴム手袋製レバーブーツの破れヶ所から水が浸入し、その状態で通勤走行を続けたことから、オイル潤滑不良により加熱し、パーツが破損したものである。

この症状は
・オイルがグリース状に
・ベアリングが全数ガタガタに
・スピードメーター用ドリブンギヤの歯が摩耗して機能不良に
・加熱によりオイルがカーボン化して内部各パーツに固着 

 グリース状のオイルの状態

 カーボン化して固着したオイル塊をワイヤブラシで除去した各パーツ。カーボンで黒色となっており、これ以上磨くのは大変なのでこのままとした!

 スピードメータードライブギヤと摩耗したドリブンギヤ。 上側は新品パーツ。

純正ドリブンを購入したが、ギヤケースの形状違いでセットできず、パーツリストで調べた結果、3種類あるようだ。

 実際は4種類あるようで、今回のものは右端でプラスチック製。オーリングは1個。 左から2番目が購入品。

 上段が購入したもので、ケース上端が段付きで太くなっていて入らないため、削ってストレートにした。 下段品は別なT/Fのもの。

 Oリング2個の内、上側(画像で右側)のリングは外部からワイヤへの水浸入防止用のようであり、旧型では無かったことから、今回は省くこととした。


 このほかベアリング8個とオイルシール4個、オーリング2個を交換して組み付けたのだが、車に搭載したところ、音がうるさい、とのことである。

 ベアリングを交換していることから、おそらくギヤ歯の摩耗によるものではないかと思われる。


 以上の水対策としては、2本レバーの場合はブーツを機能するものとするか、そこまで浸るような水場には入らぬこと。
 万一、水混入のおそれがある場合には、即オイル交換をする必要がある。


 なお、このオーバーホール作業は、特にグリース状オイルとそれのワイヤブラシ作業等によって、工具類、作業衣、そして顔面まで油まみれとなって、その後始末が大変であった。





ジムニートランスファ2駆Low切替加工で気付いたこと

2010年07月02日 | トランスファ
 現在、SJ30用トランスファの超低速化について試作し検討中である。

 これについては物はできたのだが、その有効性について未確認なため未だ公開はしないが、これに合わせて2駆Low切替加工をした際に気付いた点について記述する。

 フォークロッドの通常の加工状態。矢印部が加工ヶ所。

 レバー操作のフィーリングを良くするには、切り込み巾を10mmキッチリに加工する必要がある。
 しかし、キッチリ加工後はその操作性を確認する必要があり、その確実な確認方法は下図のようにセットして動かしてみるのが良い。
 レバー傾斜角度が大きいので、切り込み巾が狭いと動かない。



 上図のようにセットしても、内部の噛み合い状態が見難く、よく判らないのがだ、どうも角が当たっているような気がする。

 2駆Low切替時は、レバー角度がきつくなり角が当たるのでは?

 この対応として、下図のように切り込み部の角を若干切り落とす必要があるように思われる。
 これまでSJ30用を4例ほど加工したなかでは、特に問題はなかったようなのだが、良く確認して、もし当たっているのであれば当たりをとるべきである。
(角があたっても横に少しはじかれるだけで、切替には問題はない) 

 矢印部分をカットする。この画像状態は、角取りが過大であるが!




ジムニーSJ10用FF切替キット製作

2010年06月24日 | トランスファ
 知人からの要請でジムニーSJ10用のFF切替装置を製作した。 
 
 依頼に対して一度はお断りしたのだが、このSJ10用は市販されていないようであり、また依頼人が何かとお世話になっている方であったことから、引き受けしたものである。

 これまでにSJ30、JA11用は5例の製作実績があるが、このタイプ用は今回で2例目であり、記憶が薄れたことや若干改良したことなどから可成りの時間を費やした。

 4月上旬に依頼を受け、当初1ヶ月程での製作予定で引き受けたのだが、依頼した旋盤加工屋さんが多忙で2ヶ月経っても加工してもらえず、やむなく別な知り合いの金型屋さんに依頼し、ようやく完了することができた。

 簡単な装置であるが意外に部品点数が多く、駆動部の旋盤加工品5品目、溶接加工等のケース&レバー関係6品目、ボルト類7種類、その他2品目の組み合わせ品である。





今回、以下の改良を行った。
① ケースのコンパクト化 : ケース下部の打撃防止として底上げした。このためT/Fへの取付ボルトを4本→3本に。
② レバーの角度調整式 : このキットはフロアにレバー用穴加工を要することから、これの便を考慮してレバー角度を調整できるようにした。5度刻み5段階。なお横方向位置は5mm刻み5段階。


4個の穴の組合せで角度を変える。

③ プロペラシャフトとの連結ボルト : 従来はボルト埋め込み式としたが、フランジにねじタップを切って、ナットなし方式とし取付し易いようにした。
 これは今回の機械加工が金型屋さんであったことから、焼入れされた硬い鋼材でもタップが切れることからこの方式ととした。 タップ切りは放電加工機で行った。


左が従来のスタッドボルト式、右が今回のねじ穴式

④ ケース4隅に丸みを : 四隅を溶接接続から折り曲げ加工にして丸みを付けた。

⑤ レバーフィーリング向上化 : レバー爪部の形状の改良によりレバー遊びを減じた。


ジムニートランスファ超低速ギヤ製作

2009年12月28日 | トランスファ
 以前にジムニートランスファの超低速化するギアを試作したことがあるが、知人に譲ってしまって自分で使っていない。
 今回、大阪在住の○○さんからの依頼で、十数年振りにカウンタギヤの本格製作を行った。

 旋盤加工後のパーツ。溶接のための十分な面取りを!

 溶接に自信がないので、空転防止のロックピンを打ち込んだ。
ロックピンはバネ鋼線材のΦ4mmを、Φ3.9mmのドリル穴に3本打ち込んだ。

 焼き嵌め組立後にロックピン打込んだ状態

 裏と表を溶接して完了

 溶接は自分で行ったが画像の通り、満足な出来映えであった。(製作依頼者は不満かもしれないが・・・!)
 

 溶接ビート巾が均一でなく仕上がり外観がイマイチだが、母材溶込みがされて溶接強度は十分である。この溶接状態であればロックピンは不要である。

 下図が以前に試作した溶接状態である。溶け込みが全くなく、これでは強度は期待できない。このためロックピンが施されているので、これでも機能的には問題ない。

 以前の不完全溶接状態

 以上のとおり溶接もうまくなって、順調に完成したかと思いきや、確認としてシャフトに組み込もうとしたら、軸穴が収縮していてローラベアリング付きシャフトが入らない。

 その原因は、
 このギヤ組み付けは焼き嵌め+ロックピンが打ち込んであり、これにより内部応力が生じている。 その状態で溶接したことからその熱により軸穴側へ歪みが出たものと想定される。溶接が上手すぎたからかも知れない

 1/100mmまで表示のデジタルノギスで計測したが、内径の正確な計測は難しく、正確な収縮量が判らなかったが、推測2/100mm程度かと・・・!

 対応としては、内面研磨すれば良いのだが、旋盤がない。加工屋さんに持ち込めば費用がかかるので、やむなく自分でやることに・・・!

 しかし、この内面は表面焼き入れがされており、ヤスリは受け付けない。やむなくサンドパーパーで・・・!
 手持ちの240番ぺーパーを小さく切って、指を差し込んでの研磨に何と丸1日半を要した。

 均一にかつ慎重に研磨する必要があり、このため、シャフトが挿入できる状態になったら、ハンマーでシャフトを叩き込み(叩き込んでもベアリングなので、軽く回転する)
回転させて、”当たり面を見て研磨” これを繰り返して所定の寸法まで手(指ですが)作業で行った。

 研磨に用いたシャフト+ベアリングとサンドパーパーの残骸

 なお、今回ついでに自分ものを含めて2組み製作したが、自分のものは少々荒治療することで、ドリル先に付ける研磨ローラ(Φ20mm程度かな)を買ってきてこれで荒削りを施し、仕上げ段階でサンドペーパー研磨とした。
 この方法は効率が良く、2時間程で完了した。 この荒作業は自分のものだからできるのであって、他人様のものではやれなかった。削り過ぎの心配や、過ぎなくとも削り面が荒く仕上がる懸念があるので・・・・!