FUNAGENノート

私の考えたことや、読書から学んだことを伝えます。
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活字文化を取り戻そう

2018-06-27 11:05:51 | コラム
活字文化を取り戻そう
 最近、政治家の失言がめだつ。安部政権のお膝元の政治家の品格のない発言が話題になり、しばらくして、世論の反応に驚き、まもなく撤回する事例が結構多い。そう書いていたら、二階氏が、「産まない幸せは、勝手な考え」と言ったそうだ。みんなが子どもを産めば少子化は解消されるといった、単純な考えしかもてないから困ったものである。少子化の問題はそう簡単なものではない。それは、以前の私のブログでも取り上げている。そのうち、撤回するはめになるだろう。あるいは、自民党の絶対多数にのっかって、このまま押し通すかもしれない。自民党にとって怖いのは、野党よりも世論である。世論の動向が鍵を握る。
 ただ、麻生氏だけは、麻生節ということで、言いたい放題言っているが、あまり撤回することはない。世論も、麻生節がまた始まったぐらいで片付けてしまっているところがある。麻生氏は新潟県新発田市の講演で、「はっきりしていることは10代、20代、30代前半、一番新聞を読まない世代だ。新聞読まない人たちは全部、自民党(支持)だ。新聞取るのに協力しない方がいいよ」と述べたという。彼が総理大臣の時、国会の演説で「未曾有」を「みぞう」と読むところを「みぞゆう」と読んだ話は有名である。彼も、案外活字に弱いのではないか。(そこまで言ってはいけないかもしれないが・・・。)
 確かに最近、新聞購読者は確実に減っている。だから、新聞社は電子新聞のような形にしての販売もやっている。その意味では、スマフォでも読むことができるし、私も実際にアイパット(Ipat)でよく読むこともある。現在の政権批判は何も、新聞社だけではない。TVも含めていろいろな人が、いろいろな形で、展開している。もちろん、政権寄りの発言もあることも事実だ。
 ただ、確かに今の若者は、あまり政治に興味がなく、今なんとなく、楽しいからそれで良いということのように思う。それが現状維持という願望となり、自民党支持となっているのではなかろうか。きちんとした考えを持っているわけではないようだ。そういう意味で、麻生氏の言う半分は当たっている。しかし、「新聞取るのに協力しない方がいいよ。」というのは言い過ぎであろう。これでは、文字文化に触れるなと言っているようなものだ。しかも、新聞購読者を冒涜していることにもなる。
 最近は、よくネットで、いろいろと考えを交換しているようだが、それが断片的な情報として流れ、ネットの上で結構、やりあっている。ただ、非常に無責任な発言がまかり通り、不確実な情報が飛び交っている。
 結構、政治家もこのネット空間で、自己主張している。それが時々世論の批判を受けて、消去をよぎなくさせられていることもよく見受けられる。ついついホンネが出てしまい、タテマエに訂正することとなることはよくある政治家の姿である。彼らの言動を見ていると、読書なんてしているのだろうかと疑問に思う。
 いま、私たちに求められているのは、活字文化の有用性を確認することであろう。そのためには、新聞はもちろん雑誌や書物を読む時間を確保することであろう。そして、じっくり向き合い、自分の考えを持つことではないだろうか。
 話は変わるが、今年も、沖縄戦の季節となり、続いて広島、長崎の原爆投下、そして8月になると15日、終戦の日を迎える。私は、1945年8月15日の終戦の時、9歳だった。その時はまだ樺太(現在のロシアのサハリン州)にいた。そのへんのことは、私の「戦中・戦中世代から現代を見つめる」(風詠社)にちょっと書いた。(3 恵須取(ウグレゴルスク)の思い出)
 考えてみると、もう戦争体験者は私たち80歳、90歳代しかいなくなってしまった。ほとんどの人は、あの戦争を知らない世代だ。たぶん、先ほど、麻生氏の述べた「10代、20代、30代前半」にとっては、まるで昔々の物語なのかもしれない。まるで、私たちの思う戦国時代のように、遠く遠くのお話になってしまっているのであろう。
 だから、ぜひ私のような戦中・戦後体験者の今考えていることを、是非わかっていただきたい。もちろん、戦争体験について書かれているのではなく、私のような世代は、今の世の中についてどう考えているかを述べたものだ。
 私たちは、過去から学び、現代を見つめ、未来への展望を持つように努力しなければならない。そのためには、読書が必要なのだ。私の本の帯に「本の世界へ飛び込もう!」と述べた後、次のように書きました。「私は読書にいそしんでいるが、それは、そこに存在する一冊の本と対話をかわすことによって、自分のコトバに翻訳しているのである。決して知識を得るためにではない。名文を暗記することでもない。・・・自分の考えをもつことに意義があるのだ。」(エッセイ・47抜粋)
 私から見れば、読書離れが、若い者だけでなく、幅広く広がっているように思う。危機的な状況である。ぜひ、読書の世界に旅立ってもらいたい。世間のリズムに合わせるのではなく、自分のリズムを取り戻すことが求められているように思う。
 
 私も本を出しました。是非皆様に紹介していただければと思います。今迎えようとしています「終戦の日」を機会に、もう一度「過去と未来をつなぐ架け橋」について考えていただきたいと思います。
「戦中・戦後世代から現代を見つめる」(船場幸二著・風詠社・1400円+税)です。
 


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