映画を見終わると、
自分の見解の無さがいささか情けなくなる。
無知を恥じる。
『永遠の0』もそうでした。
太平洋戦争。
日本国軍へ命を捧げることが指名、第一義という空気。
政府と民衆に宿った目に見えぬ狂気。
その戦乱の最中で、目の前の一つ一つの命はかけがえのないものであることを、
自分の命をもって尊重し通した宮部(岡田准一)。
その姿勢を、ある者は臆病者と評価した。
ある者は強い人間と評価した。
そしてある者は、宮部の守りたいものを自らの命をなげうって守った。
強い人間とは…
どのような判断を下せる人間か。
威勢のいい人間か。
死をも辞さぬ覚悟が出来る人間か。
強い人間でありたいと思うことは立派なことである。
しかし、宮部は、そういった概念で自らを律してはいなかった。
それ故、他者からの評価は分かれる。
しかし、ぶれない。
ここで疑問。
生きて帰ることに対してぶれなかった宮部が何故特攻隊を志願したのか。
私の思う答えを挙げる。
『生き抜く努力をしろ』
おそらく、そう教えてきた教え子達の死を食い止めることができなくなったとき、
生きることを問うてきた宮部だからこそ、ここで足を止めた。
私はそう想像している。
特攻に向かう時の涙が、その思いの結晶ではないだろうか。
そして、その決断によって覚醒したもの。
突撃の瞬間の薄い笑み。
自分以外のものを守ることから解放された、
いち天才パイロット、軍人としての血潮に突き動かされた狂気。
この映画は、零戦映画である。
特攻隊をヒロイズムしていないか、歴史概念でことをかたかづけてはならぬ、生きて残った者の使命、
メッセージは盛り沢山だが、
私はひとりの男の生きざまを観たと思っています。
岡田くんかっこよかった~!