野口英世が51歳で亡くなった時、多くの人がその早すぎる死を惜しみました。しかし当時1928年の日本人の平均寿命は50歳に達していません。つまり野口英世は平均寿命よりは長生きしていたのです。
数字だけみると日本人の平均寿命は大幅に延びています。終戦後間もない1947年の平均寿命は男性が50.06歳、女性は53.96歳でした。それが2005年には男性が73.53歳、女性が85.49歳になっているのですから、この60年間で約30歳も寿命が延びたことになります。
しかし、この数字は必ずしも以前は50歳で亡くなった人が80歳まで生きられるようになったということではありません。ここに平均寿命のカラクリがあります。
平均寿命というのは別の言い方をすれば現在0歳の人の平均寿命のことです。もう少し詳しく言うと、その年に生まれた0歳児があと何年生きられるかをその年の年齢別死亡率をもとに算出した平均余命なのです。
厚生労働省が毎年発表する簡易生命表は平均寿命とともにおもな年齢の平均寿命が記載されていまがそれを詳しく見るととても面白いことが分かります。
1947年と2005年の0歳児の平均寿命の差は男性が28.47歳、女性では31.53歳もあるのですが同じ条件で80歳の人の平均寿命を比べてみると男性が3.1歳、女性でも6.02歳の差しかないのです。つまり日本人の平均寿命を大きく延ばした要因は乳幼児の死亡率が低下したことであり、高齢者の平均寿命はそれほどは大きくは延びていないということです。
一方、昔の80歳と今の80歳、病院通いをしている人の割合は今の80歳の方が多いのです。日本の60歳以上の人のうち何らかの病気を持ち、入院したり、定期的に病院に通院している人の割合は60%も超えています。たしかに長生きになったが、その分、病院のベッドの上で過ごす時間も増えています。
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