Keith Masuda Blog 増田清のページ

毎月の一言 インターネットやPCに関する話題を毎月お送りします。 1996年からの情報があります。

2018年 元旦 あけまして、おめでとうございます

2017-12-31 16:58:20 | Weblog




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2018年元旦 明けましておめでとうございます。





昨年はトランプ騒ぎに北朝鮮挑発、日経平均株価の高騰、モリカケ騒ぎ、安倍政権の一強棚ぼた勝利、それとAIやEVの話題沸騰など「申酉騒ぐ」の格言通りでしたが、今年は「戌笑い」で良いことが多そうです。

米国は、すでに金融緩和を緩めて利上げ段階に入っているのですが、日本経済は景気は良いものの、物価水準が未だに目標の2%に到達しないまま、今年は日銀総裁の任期も来てしまいます。

物価もさることながら、あれだけ現金預金の内部留保があるにも関わらず、賃金が上昇しません。 政府が音頭を取って賃上げを推進するのは、若い頃に賃上げを圧縮しようとしていた時代を知るものにとっては隔世の感があります。 ここしばらくは金利も上がらないでしょう。 金利は政策的な事が大きいので、しょうが無いですが、これだけの人手不足のなかで賃金が上昇しないのは現経済の最大の不思議です。

賃金が上昇しないことは、思い出してみると20年以上前にアメリカで感じました。景気は良いのにレイオフが連日新聞に出ていて、賃金も思ったほどは上がっていませんでした。 アメリカはベンチャーが多いので、ベンチャーの立ち上げ時の給与は極めて低いのが当たり前なので、そうかとは思っていましたが、今になって思うと、賃金問題の要因は当時からあったように感じます。

本の賃金は支払賃金では増えていないが、雇用者負担の社会保険は増えているので、経営側から見た支払い賃金総額は増えていると言う議論もあるようです。 しかし全体の労働分配率は増えていないし、労働生産性は2000年以降下がってきていると言うことなので、その原因はともかく、経済理論的には不思議では無いようです。

それにしても労組の非力さは目を覆うばかりです。 企業内労組が多いからと言う理屈もついているようですが、バブル前でも企業内労組は多かったですが、スト権を含めて「闘う労組」だったと思います。 最近は非正規労働者の問題とかを連合が言い出していて、以前は組織労働者しか対応しないと批判されていましたので、進歩したと思いますが、本尊の組織労働者の労働条件の最大の要素である賃金を上げると言う任務を遂行できない労組は存在意味がないと思います。 どちらが原因か結果か分かりませんが、連合が支援する野党はガタガタになっています。

この中で本来リベラルの売り物である福祉の充実とか賃金の上昇とかの政策を与党が採用してしまうので、野党としては打ち出す政策が無くなってきてることが、与党がうまいのか、野党がだらしないのか、どっちにしても日本国の政治には余り良くない状況になって来ています。 中途半端な野党連合を言うより、寄り合い所帯の連合も半分に分かれ、既に分裂している野党も2つぐらいにまとまるべきだと思います。

安倍政権は内政では、いろいろ有りますが、外交は大成功ですね。 やはり長期政権で無いと外交は出来ないと言う証明です。 ただ安倍首相は少し内弁慶。 あの国会のやりとりを外国でも発揮して欲しい。 トランプや習近平との写真を見ていると、何か頼りないと言うかおもねている印象があります。 また、国会も何も無い中国に比べて、国会に出ないといけないのも足を取られる一因でしょう。 それにしてもこれだけ行くと政府専用機も使い甲斐があるというものです。 一方で外務大臣は民間機を使ってると初めて知りました。

外務大臣の「おねだり」と言って批判を浴びた右派新聞がありましたが、スケジュールが決まっている民間機では仕事にならないでしょう。 アメリカのちょっとした大手企業のトップはみんなプライベートジェットを使っています。 もっともアメリカではハブ式なので、地方から地方に行こうとすると丸1日がかりの旅程になってしまいます。 トランプなんか自分で飛行機会社を持っているくらいですので、外務大臣にはエアバスとは言わないまでも、ビジネスジェットは必須ではないでしょうか? 国益を考えると安いものだと思います。 政府専用機なみに空自の運行にすると大変なので、日航か全日空へ業務委託したら良いのではないでしょうか? それも一機運行で。

昨年はAIが大いに話題になって、AIによる自動運転が今にも実現して、AIによって仕事の大半がすぐにでも取って代わられると言うような報道がありましたが、なかなかすぐには進展しないと思います。 電気自動車EVも、ヨーロッパと中国がそれぞれの思惑で言い出していて、少し乗り損ねたトヨタが大慌てしていると言う図式でしょう。 トヨタは先の先で水素自動車を推進していましたが、急に電気自動車の機運が上がってきたので、あてが外れた格好です。 まあハイブリッドは、燃費向上のアイデアとして新入社員にやらせておいたのが棚ぼたでマーケットが出来たので、それはラッキーと思って、電気自動車もそれなりにやらないと行けないでしょう。

日産のゴーンさんはサスガにハイブリッドを飛ばして、最初から電気自動車を推進してミーブなどをだしていましたが、日本らしくグズグズしていたら、あっという間に中国勢にやられてしまいそうです。 勝手な想像ですが、中国では例えば電気自動車を半分に分けて、半分ずつ太陽光で充電して走らせれば、太陽光の不安定さも解消されるのでは無いでしょうか。 工場の操業も日中のしかも晴天時にしか許さないことにすれば、太陽光の不安定さも克服できるのではと、先日の中国大規模太陽光発電の番組を見て思った次第です。 APECの時の北京ブルーの空を見ていると、この国は多少の困難は指令一つで克服出来るのでしょう。


2018年は、インターネット2.0の始まりでは無いでしょうか。 インターネット2.0の最大の代表はブロックチェーンでしょう。 ビットコインなどで代表される仮想通貨で脚光を浴びましたが、これはこれで通貨とは何か?と言う問いを発する事と、新しい通貨の社会実験であると思いますが、これはブロックチェーンの応用の一つであって、本来の革命はブロックチェーンです。 基本的には、10年ほど前に大問題になり、制作者が裁判にかけられたWinnyに代表されるP2P技術がそのベースになっています。 P2Pはそれ以前から合ったのですが、使い道が分からず、最初の大きな応用が音楽の違法配信であったのが不幸の始まりで、その後は日陰者になっていましたが、ブロックチェーンで大きく花を咲かせた感じがします。

ビットコインで全てのトランザクションを各PCが持っているのも、いずれは限界に来ると思いますが、ちょっとしたデータベースであれば、極めて容易にサーバー不要でシステムを構築でききます。 その内にパッケージ化されたフリーソフトが出てくると思いますが、ビジネスにするには少し時間がかかるかも知れません。 元々フリーであったLinuxもサポートを付けて優良でビジネスになっていますので、うまく付加価値を付ければ良いと思います。





インターネット2.0で次に大きな役割を果たすのがAIです。 特に音声認識は目を見張るものがあります。 スマートスピーカーが話題になっていますが、普通のスマホでも同じ事が出来て、辞書に登録されていないと思われる語句を除いて、ほとんどの音声を聞き分けることが出来ます。

20年程まえに現在の使い方に似たような事を想定して、5年間ほど音声認識の開発をマネージしましたが、結局使い物にならずで終わりました。 話者の癖学習やマイクロフォンの選択や照合する辞書の効率化などをやりましたが徒労に終わってしまいました。 今回のディープラーニングで、性能は飛躍的に、それこそシンギュラリティ的に向上しました。 最初にスマホで音声認識したときは、あっけにとられました。 それまではまともに認識したシステムは見たことが無く、ジョブズが実演していた映像を見ても、半分ヤラセだと思っていたくらいです。

この音声認識は半分はディープラーニングですが、残りの半分はインターネットでしょう。 高性能のサーバーで認識してリアルタイムで応答するネット技術も非常に重要です。 ディープラーニングでテンプレート照合ではクオンタムジャンプしたのですが、次のジャンプはどうなるのでしょうか? 恐らく量子コンピューターがその鍵を握っているのではないでしょうか?

量子コンピューターも実用にはあと10年ほどかかると思いますが、その間に量子コンピューターに向いたAIアルゴリズムを考えないといけないでしょう。 ディープラーニングを開発した人も、ここまで行くとは思っていなかったようなので、ひょっとして次のステップでは、人間の思考能力に近いものが出てくるかも知れません。 ネットのお陰で、高価な量子コンピューターでも、携帯端末でその恩恵を受けることが出来るようになると思います。

技術的には余り高くないと思いますが、インターネット2.0の第3の要素はIoTです。20年くらい前にM2Mとして取り組んだ事があるので、大体のビジネスアイデアは当時考えたことと同じですが、これからは少しそれから発展したものが出てくるのでは無いかと期待しています。 NTTかドコモかのTVコマーシャルで、IoTの宣伝をしていましたが、ここで取り上げられている実例は、20年前にやったことそのもので、新しいアイデアはあまり出てこないのだと感じます。

一方で最近入手したのはエアコンのリモコンをIoT化したもので、AmazonのAWSで動作し、スマホから遠隔でエアコンなどの自宅の機器を操作したり、自動タイマー動作させることが出来ます。 これの優れた点は、いわゆるルーター越えを何の設定も無くやってしまうことです。 パナソニックのディスクレコーダーのDigaでも同じように、何の設定もなく、自宅のルーターの外でレコーダーの番組を視聴できます。 例えば、ネットと繋がっていれば、ワンセグ機能の無いスマホでも、TV番組緒をスマホで視聴できます。 しかもBSも視聴できるというおまけ付きです。

このIoTリモコンとスマートスピーカーをつなぐと、いろいろな設定は必要ですが音声で操作できるようになり、昔のSF映画のように、「電気を点けて」というだけで、照明を点灯させることが出来ます。 しかもこれが総額でスマートスピーカーを除いて1万円もせずに実現できると言うのが革命的です。

この様にインターネットそのものが大発明で、これだけ社会に大きなインパクトを与えているのにノーベル賞もしくはそれに匹敵する賞をを授与しないのは、単に受賞者がいないからでしょうか。 さらに日本人が発明者をされているビットコインやブロックチェーンには受賞の資格は十分あると思います。 受賞者が分からないと言うのも原因だと思いますが、この様な一種の数学であるコンピュータ科学は、素粒子や医学などの自然科学より一段落ちる応用科学だと言う認識があるようなので、ノーベル賞には数学部門がありません。

単に自然の法則を「発見」しているだけの自然科学と、基礎の前提から人間の頭脳が論理的に考える数学を比べると、数学の方がよりレベルが高いと思うのですが、こう言う論調は余り見たことがありません。 コンピューター科学の領域の末端に居たものとしては、もう少しコンピュータサイエンスの地位が上がってくれると、うれしいと思う初夢でした。

今月の読み物は正月休みです。












今月のひとこと2017年12月号

2017-12-01 11:12:52 | Weblog




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2017年12月1日
国会は北朝鮮のミサイル発射にも関わらず、相変わらずモリカケに固執する野党が居る反面、与党に質問時間を多く配分したので、いろいろな議論が国会中継で聞けるようになりました。 確かに安倍政権はには飽きが来たし、横暴なところもあるし、モリカケも納得できない点はあるものの、安定した政権が望ましいし、問題もたいした問題では無いと言うことでしょう。 支持率は余り大きく下がらないです。

ドイツのメルケルが怪しくなってきたので、ますます安倍さんの外交が光ってくるのでは無いでしょうか。 野党はことあるごとに外交解決を叫びますが、これも安定した長期政権と首相が居るためで、性急な政権交代は百害あって一利無しです。

相撲界も大揺れ。 真相は相撲協会と貴乃花の対立の構図が見えてきました。 けど理事長の「すんませんでした」は無いと思いますよ。 「申し訳ありませんでした」とか言えないものでしょうかね。 一応は相撲界のトップなんですから、元力士とは言え、それなりの物言いがあっても良いと思います。 また白鵬も、勝手な振る舞いが目立ち、そもそもモンゴル人ばかりの相撲になってしまったのが、問題で、結局日本人力士が弱すぎるのが根本的な問題でしょう。

やっと春闘の前哨戦が始まりました。 そもそも政府が3%もの賃上げを要請するというのは、社会主義国ではあるまいし異常です。 一番の責任者は労組と財界。 労組はそもそも賃上げのためにあるはずで、労働者の労働環境の向上の最たるものは賃上げでしょう。 企業側には支払能力があるのですから、ここはストを打ってでも、賃上げを獲得すべきでしょう。 その労組と関連が深い野党にもそう言う声は余り聞こえてきません。

次に問題は財界、特に経団連。 経団連こそ、こう言う大局的な、政治的なテーマを扱うべきで、個々の企業は利益を追求するので、しょうが無いとしても、経団連ぐらいは、旗を強力に振るべきです。 どうも今の経団連の会長は、出身企業の問題もあり、早期に引いて頂いて、次の日立出身の会長に引き継ぐべきです。 東レの問題にしても、自分が社長時代だったにも関わらず、自分は知らなかったとか、サラリーマン社長丸出しのコメントで、その時の責任を痛感すると言うような文言は無かったです。 本当にこの人は心の底から社長をやっていたんだろうかと感じました。 現会長は就任したときからイマイチだと感じていましたが、その通りになりました。

株価は23,000円が壁になって、その前で一進一退を繰り返しています。 北朝鮮のミサイルには、もうあまり反応しなくなりましたが、全体の動きが鈍いです。 単元株単位の売買も結構多くて、乗り損ねた個人が細々と売買している感じです。 いずれには3万円に到達すると言う話もありますが、時期はいつか分からない、いずれ、と言う話です。 オリンピックまではこの様な調子だと思いますが、オリンピック後がまったく想定できないですね。

今月のITの話題は、IoTとChromecastです 冷温室は元々エアコンがあり、メインの温室にも石油ストーブの代わりにエアコンを付けました。 最近はエアコンの効率がドンドン上がって、灯油を炊くより安くなったと言うことです。 それともっと面白いのは温度の制御が容易になったことです。 最近のエアコンには遠隔制御の機能の付いた物もあるようです。

温室の夜温を下げたいので何とか制御できる方法はないかと思って探したら、赤外線リモコンを遠隔で動かすものがたくさんネットの上にありました。 大分迷いましたが、eRemote と言うのがあったので、買ってみました。 温度制御が面倒だと思いましたが、どうもエアコンの赤外線リモコンはTVと異なって、1ボタンが1機能に対応していなくて、例えば暖房のボタンを押すと、電源オンと設定温度情報が一気に送られるようです。 つまりリモコン自体がそれなりの自立性を持っていると言うことが分かりました。

この端末とAmazonの AWS IoT の組み合わせで遠隔で制御できるようです。 NAT越えも容易で、LAN/WAN問わずにアクセスできるし、毎日の定期動作の様なタイマー機能もこのAWSで行え、スマホとは関係なく動くようです。 いま流行のスマートスピーカーとの連携もあり、仕様はあまり固まっていないようで、少し前の端末はいずれは動作しなくなるようです。

Chromecastは以前からありましたが、少し高いので、安い Anycast を買ってみましたが、最初は動作したのですが、最近は動作しなくなって、当初はこちらにも知識が不足していた事もあり、うまく使えませんでしたが、Chromecast は作り込みもしっかりしていて、容易に使いこなせます。 これでスマホやタブレットの画面を大きなTV画面で見ることが出来ます。

これに関連してPanasonicの Digaも キャストに対応しており、Diga自体でもネットアクセス可能なので、Youtube などはTV放送と同じ感覚で、TVのリモコンを使いながら視聴できます。 しかし、もともとスマホ用に作られているので、Chromecastを使ってスマホでコントロールしながらTVに映し出すのがやりやすいです。 またDigaは、外部でのスマホのアクセスも可能なので、ワンセグが付いていないスマホでも自宅のDigaをアクセすることで視聴できます。 おまけに録画したものやBS放送も視聴できるので、ヘタにワンセグが付いているより便利です。

今月の読み物は【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ) 単行本 岩木 一麻 著 ¥1,490。

オススメ度 ★★☆ ガンに関心があれば一読を。

今年の初めの本で、少し古いですが、ガンの知識が少しでもあると、面白く読めます。 ネタが分かるとなーんだと言うことになりますが、その前のガンのいろいろな情報が面白いです。

がん消滅の罠ー完全寛解の謎 [著]岩木一麻
苦痛さえコントロールできるなら、がんが一番いい死に方だといわれる。余命を宣告されてから死ぬまでの間に、いろいろと準備できるからだ。もっとも、だからといって、発がん性物質をもりもり食べる気にはならない。やっぱり、がんにはなりたくない。

がんで余命宣告を受けた時点でお金が支払われる生命保険がある。では、余命宣告を受けた後で、がんが治ってしまったらどうなるのか。岩木一麻『がん消滅の罠』は、そんな「もしも」を題材にしたミステリーである。

余命半年と宣告された患者の病巣が、生前給付金を受け取った直後に消えてしまう。それだけなら喜ぶべきことだが、連続して4人もとなるとおかしい。たんなる偶然か、それとも新手の保険金詐欺なのか? 患者を担当した医師・夏目と、友人でがん研究者の羽島が謎に挑む。

浮かび上がってきたのは、政財官界のセレブたちが治療を受ける怪しい病院の存在だ。しかし、がんを治したり再発させたり、そんなことが自由にコントロールできるのか。誰が? 何のために? 謎は深まるばかりである。

本作の魅力は、がん治療とトリックとをうまく結びつけたところにある。医療ミステリーであると同時に、謎解きを楽しむ本格ミステリーでもある。がんとは何か、転移や治療法などについても、登場人物の会話というかたちで解説される。最後の最後まで読者を安心させない。

第15回「このミステリーがすごい! 」大賞受賞作。この賞からは、医療ミステリーの旗手、海堂尊がデビューしている。新たなスターの誕生を歓迎したい。 評者:永江朗 (週刊朝日 掲載)

内容紹介
選考委員絶賛、第15回『このミステリーがすごい! 』大賞・大賞受賞作!
・史上最高レベルの医療本格ミステリー。こんなとんでもない謎を正面に掲げるとは前代未聞、大胆不敵。(大森望)
・まったく見当のつかない真相。謎の設定がとにかく素晴らしい。(香山二三郎)
・最前線でがん治療に当たる医療現場が抱える今日的問題をテーマに、圧倒的ディテールで描く医学ミステリー。(茶木則雄)
・この小説の「売り」は「がん消失」の驚くべき企みとその真相だ。(吉野仁)

日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目は、生命保険会社に勤務する森川から、不正受給の可能性があると指摘を受けた。

夏目から余命半年の宣告を受けた肺腺がん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金3千万円を受け取った後も生存しており、それどころか、その後に病巣が綺麗に消え去っているというのだ。同様の保険支払いが4例立て続けに起きている。不審を抱いた夏目は、変わり者の友人で、同じくがんセンター勤務の羽島とともに、調査を始める。

一方、がんを患った有力者たちから支持を受けていたのは、夏目の恩師・西條が理事長を務める湾岸医療センター病院だった。その病院は、がんの早期発見・治療を得意とし、もし再発した場合もがんを完全寛解に導くという病院。がんが完全に消失完治するのか? いったい、がん治療の世界で何が起こっているのだろうか―。

内容(「BOOK」データベースより)
治るはずのないがんは、なぜ消滅したのか―余命半年の宣告を受けたがん患者が、生命保険の生前給付金を受け取ると、その直後、病巣がきれいに消え去ってしまう―。連続して起きるがん消失事件は奇跡か、陰謀か。医師・夏目とがん研究者・羽島が謎に挑む!医療本格ミステリー!2017年第15回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作。