Keith Masuda Blog 増田清のページ

毎月の一言 インターネットやPCに関する話題を毎月お送りします。 1996年からの情報があります。

今月のひとこと2007年10月号

2007-09-29 22:29:14 | Weblog
「今月のひとこと」の目次 毎月一回はその時々のトピックスをお送りしています。

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10月1日
やっと暑い夏も少しはマシになってきて、お盆から始まったサブプライム問題に端を発した株価の下落も、ここで2番底を打ったのではないでしょうか。 あのように大きく下落した後は少しあがり、その後に2番底が来ると言うのが一般的な傾向で、これには3-5ヶ月と言うのが常識。 ところが最近はだんだん早くなってきて、1ヶ月程度になっているとすれば、この9月末がそうだと言うことになります。 過去の例がそのまま通用しないと言うのが面白く、いつまでも本屋で株式チャートや必勝法の本が売れるのでしょう。

最近、江戸時代にハマっているとお伝えしましたが、先日何気なくTVを見ていたら、日本で始めて反射望遠鏡を作った国友一貫斎の話題が放映されていました。 1836年には精密な、現代でも通用するような、月面のスケッチが残されています。 ガリレオガリレイが月面を観測したり、木星の衛星を発見したのは、1600年ぐらいですから、100-200年ぐらいの差で日本でも本格的な天体観測が行われていたことになります。 1700年ごろには国産の望遠鏡が作られています。

数学の問題と回答を描いた算額が各地の神社に残されているように、江戸時代の庶民のレベルは非常に高いものがあるようです。 まあ一種の暇つぶしですが、その暇つぶしを、何とか道とか、高尚な趣味まで持ち上げてしまう量と質の高さがすばらしいと思います。

国友一貫斎の望遠鏡がすごいと思うのは、グレゴリー式と言う、いわゆる望遠鏡の形をしていて、筒の反対側から上を覗くのですが、これが反射鏡を2つ使ったものを言います。 従って、主鏡には真ん中に穴が空いています。 この鏡を金属で作ってあって、ビックリするのは、200年経った今でも光り輝いていることです。 現物は長野県の上田市立博物館に収蔵されているようです。 7cmの直径で40cmの長さがあるそうです。

何故200年も曇りが出ないか、と言うと鏡は銅と錫の合金つまり青銅とかブロンズとか言われるものですが、通常の合金に比べて、錫の含有量が多いそうで、単に多くすると、ひび割れが出て作れないそうです。 これを作ってしまったのは、恐らく日本古来の和鏡の技術であろうと思います。 京都には和鏡の一種の魔鏡を作るところがあって、TVでも紹介されていましたので、ご覧になった方も居られると思います。 鏡には何の模様も無いのですが、光を反射させて、白壁などに映すと像が浮かび上がると言うものです。

国友一寛斎でもっとビックリしたのは、鏡が単に曲面ではなくてキチンと放物面になっていることです。 外国の望遠鏡や文献を参考にしたのでしょうが、放物面が必要と言う事と、それを実現する方法などを自ら工夫して完成させたと言うのは驚くほかはありません。 単なる曲面の鏡でも一応の像は見ることは出来ますので、そこからの試行錯誤なんでしょうが、現代の望遠鏡と同じモノが出来ていると言うのはビックリします。

今月の読み物は、いつかご紹介した、輪違屋の当主が書いた本。 京の花街「輪違屋」物語 (PHP新書 477)高橋 利樹著。 先日TVで2週間に渡って、新田次郎作輪違屋糸里が上戸彩主演で放映されました。 京都守護職の松平容保がひょこひょこ出てきたりするのは、ご愛嬌で全体にお話ですが、輪違屋と八木邸のセットはキチンと出来ていました。 芹沢鴨が暗殺される直前に宴会を開いていた角屋は、何故か登場せずに、蓬莱屋とかなっていて、角屋はもっと立派です。 また、最後の宴会の場面も、角屋の2階の座敷はもっと広大ですし、1階の松の間は松が有名ですが、全く登場しない。 予算がなくなってしまったのか、なんなのか。

本書は、輪違屋当主の本音が出ていてなかなか面白い。 花代が高いと思うのは京都人、東京人は安いと言う、大阪人は何も言わないとか、祝儀が常識以上に多いのは馬鹿にされるとか、渡す時はさり気なく渡すとか、京都お座敷のお約束事もあります。 花街間の芸子のトレードを防止するために踊りの流儀がそれぞれ異なるとか、西陣に近い上七軒の芸子の帯は立派だとか、なるほどと言う話が満載。

出版社/著者からの内容紹介
京都・島原といえば、かつて興隆をきわめた、日本でいちばん古い廓(ルビ:くるわ)。幕末の時代、新選組が闊歩したことでも有名である。その地でたった一軒、現在でも営業を続けるお茶屋が、輪違屋(ルビ:わちがいや)である。芸・教養・容姿のすべてにおいて極上の妓女(ルビ:ぎじよ)、太夫(ルビ:たゆう)を抱え、室町の公家文化に始まる三百年の伝統を脈々と受け継いできた。
古色なたたずまいを残す輪違屋の暖簾をくぐれば、古(ルビ:いにしえ)の美しい女たちの息づかいが聞こえてくる。太夫のくりひろげる絢爛な宴は、多くの客人たちを魅了し続けている。
本書では、輪違屋十代目当主が、幼き日々の思い出、太夫の歴史と文化、お座敷の話、跡継ぎとしての日常と想いを、京ことばを交えてつづる。あでやかでみやびな粋と艶の世界----これまでは語られることのなかった古都の姿が、ここにある。









今月のひとこと2007年9月号

2007-09-01 22:09:15 | Weblog
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9月1日

サブプライムショックにはビックリしました。 自分で前回の本欄で紹介しておきながら、茹で蛙の反対の冷え蛙になっていて、半分寝ていたら、叩き起こされた感じですね。 まあちょうど良い買場になったのではないでしょうか。 少し相場が上がってきたので、ここらで整理して軍資金を用意しておきましょう。 流石にアメリカの対応は素早くて、持ち直しているようですが、少なくとも9月いっぱいは凸凹でしょう。 9月の連休までは何が起きてもおかしくないと思います。



サブプライム問題は、みんなが認識したのでそんなに変動要素にはなりませんが、玉突き式に他の問題が出てくるのではないでしょうか。 アメリカのと言うか世界の景気を支えているアメリカの個人消費は、よく言われているように、綱渡りの自転車操業で、政府も消費者も借金漬けなのです。 日本は政府が大きな借金を背負っていますが、これは家庭内で夫婦で片方からお金を借りていて、それが偉く偏っているだけで、その家庭全体ではプラスマイナスゼロなんです。 日本で言えば、国内の預金や国債を一気にチャラにしたら、それで終わりです。 800兆円の借金があっても、国民一人平均800万払ったら、それで終わりです。 国外に払うのは少ない額です。 もっともあんまり大きくなると利払いだけで一般会計のほとんどを占めてしまうと言うことになります。 他に手をつけていない一般会計の何倍もの特別会計もあるので、それで何とかするのが先決だと思います。



アメリカ消費者の自転車操業の次の問題は、クレジットカードと言う説があります。 アメリカにサラ金はありません。 ヤミ金はあるのでしょうが良く分かりません。 サラ金の代わりにあるのが、クレジットカード。 よく借り換えを勧めるDMが来たことがあります。 サブプライム問題で返済を迫られた消費者は、生活費がなくなるので、クレジットカードを使って、最低限の支払だけして、後は20%近い高利の借金をするわけです。 ちなみにアメリカンエキスプレスはクレジットカードではありません。 使った分は全額期日までに支払う必要があります。



クレジットカード会社もリスクはとりたくないので、一般にクレジットカードの利用限度は、1000ドルぐらいです。 最近の高リスクの人のカードは200ドルとか300ドルとか言います。 勢い、複数のカードをトランプゲームのように出すことになります。 店のほうも心得たもので、このカード駄目だから他のは無い? と平気で聞いて来ます。



サブプライム問題の次はカード問題ではないでしょうか。 この後は、お金を使えなくなった消費者がギリギリまで消費を控える、もしくは極端には破産して債務をチャラにしてしまうこと。 アメリカの経済が冷え込む大きな原因となります。



暗い話はこれくらいにして、最近買ったポータブルデジタルTVのブルードット。 調べるまで全く知りませんでした。 ソニーのものが有名ですが、感度が低いと言う評判なので、これを購入しました。 実勢売価23000円ほど。 4インチの大画面で感度はワンセグケータイの方が少し良いのかも知れません。 3時間の充電で4時間視聴可能。 なにしろ薄いのですが、欠点はケースが無いこと。 やはり自分で用意しないといけないようです。 操作ボタンがセンサ式なので、慣れないとなかなか操作できません。 TVが受信できるポータブルラジオの代わりに買ったのですが、デジタルなので、電波が弱くなるとスパッと見えなくなります。 アナログの場合は雑音があっても受信できたのですが。 画面の表示を消せるので音声だけでも受信できますが、イチイチスイッチを切り替えないといけないので面倒です。



もう一つ買ったのは、ディスクレコーダー。 東芝のデジタルTVの出来が良かったので、以前から嫌いだった東芝を買いました。 しかしこれが失敗。 昔の機能は豊富にあるが使い勝手の極めて悪い性格がモロに出た製品でした。 1ヵ月後もまだ使いこなせていません。 しかしいろんな設定が出来たり、フォルダが使えたり、インターネットを経由して操作できたりします。 もっともネット経由は何故か物凄く遅い。 メールによる録画予約はよさそうに見えるが、チャンネルの設定をチャンネル番号で指定しないといけないので、余程緊急性が高くないと使う気になりません。 前回にご紹介した録画機能付きのデジタルTVは、高機能を少し引いて、ユーザインタフェースを少し改善したので、なかなか良いものに仕上がっていると思います。



今月の読み物は、「破獄 (新潮文庫)」 吉村 昭著 ¥ 580税込 逃亡不可能な網走刑務所を脱走した実在の人物 白鳥由栄 をモデルにした作品。 4回の脱獄を吉村昭らしく淡々と筆を進めていきます。 最後に捕まるシーンが印象的です。 タバコを勧められたから自ら進んで捕まったのですが、これ以上は実際の本をお読みください。 それにしても、日本の監獄のやわな事にはビックリ。 元々逃げることを前提にしていないのではと思えるほどです。 これを読んで、ハンニバル・レクター博士の拘禁の様子を思い出した人は多いと思います。 完全な石垣で作って、入り口は分厚いアクリルの板で、完全透明の監獄でしたね。 それでもハンニバル・レクターは脱獄してしまうのですが、これはお話。 本書は実録です。



昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭和23年札幌刑務所脱獄。犯罪史上未曽有の4度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。読売文学賞受賞作。 内容(「BOOK」データベースより)