Keith Masuda Blog 増田清のページ

毎月の一言 インターネットやPCに関する話題を毎月お送りします。 1996年からの情報があります。

今月のひとこと2006年4月号

2006-04-01 12:23:51 | Weblog

「今月のひとこと」の目次 毎月一回はその時々のトピックスをお送りしています。

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4月1日
やっと株価も17000円を超えて、年明けからの低迷を脱したようです。 しかしハイテク関連はミニバブルの後遺症か、まだ低迷している銘柄も多くあります。 物価も4ヶ月連続のアップですが、市場にはまだまだ慎重な見方が根強い様子です。 日銀の量的緩和策の縮小にもあんまり影響は受けなかったようで、この調子ですと秋口には公定歩合の0%政策も変更になるでしょう。 アメリカにはインフレ懸念が出てきて、利上げになっていますし、そのために円レートはまた下げに転じました。 これも株価に好影響を与えています。

政局は迷走に迷走を重ねて、民主党の一人相撲と自責点で勝手に倒れてしまいました。 前回の本欄でも紹介しましたが、あまりにも情けない結果です。 危機管理能力と言うより、議員としての資質、日本の政治を任せるための資質に大いに欠けると言って良いでしょう。 若いから、と言う話もありますが、ケネディは43歳で大統領になって、あのキューバ危機を乗り切ったというか、フルシチョフに勝ったのです。 単なる比較は出来ないと思いますが、あまりにも頼りない。 ちなみに、ケネディの暗殺に使われた教科書ビルが取り壊しと言う話があったが、結局取り壊しになったそうです。

以前の本欄でも取り上げたことがありますが、ケネディ暗殺の場所は今でも当時のままで、以前に行った事がありますが、本当にあの報道で流される風景がそのまま残っている感じです。 発砲があったと噂されるグラシノールの上の木の塀までそのまま残っていました。 また、映像で見るよりも意外に狭くて、グラシノールの上から、パレードの車までは目の前と言う感じです。 オズワルドが撃ったとされる教科書ビルからケネディまでも80mしかありません。 また、ちょうど坂になっているので教科書ビルから狙うと目標はほとんど動かないような位置になります。 かといってほとんどの人が信じているように種々の状況から、犯人は複数で、オズワルドは身代わりにされたと言う事でしょう。

最近のWinny騒ぎは大変なものですね。 それも機密が最重要視される警察とか自衛隊とかから情報が漏れていると言うことは大問題です。 特にそう言う組織からの情報は興味を引くので情報漏洩が問題となるのでしょうが、それにしても多すぎます。 特に、実質的な軍隊である自衛隊からの情報漏洩は大問題でしょう。 海上自衛隊からは暗号表まで流失したと言うことです。 未だに暗号表を使っていることも問題ですが、自衛隊全体の情報管理が杜撰なのでしょう。 少なくとも私物のPCを持ち込ませることは厳に禁止しないといけません。 また、最近では大容量のUSBメモリが入手できますので、これにコピーして持ち出せばいくらでも持ち出せます。

もっと基本的な問題は、情報の詰まったPCの持ち出しや盗難です。 日本の企業などの組織は何でノートPCが好きなんでしょう? 元々書き物をするための高さに作ってある机の上にさらにノートブックを置いて、高さの高くなったキーボードを不自然な姿勢で使っているのでしょう。 画面も小さい。 価格も相対的に高い。 問題はデスクトップと異なり、いつでもカバンに入れてでも持ち出せると言うことです。 デスクトップはいくら小型のものでも人目に触れずに持ち出しは出来ないでしょう。 安いデスクトップのUSB機能を殺したものを推薦します。 導入コストも安くなります。

さらにもっと基本的な問題は、私物のPCを業務で使っていると言うことです。 予算が無いとかいろんな理由があるのでしょうが、マネジメント不足と言うか放棄に近いと思います。 ノートブックにこだわらなければ、5万円以下、3万円ぐらいで立派なPCがありますので、それを導入すべきでしょう。 こうなってくると問題はソフトのコストです。 OSはともかく、マイクロソフトのOffice一式が高すぎます。 ここは組織で統一して、フリーのOpen Officeなどを導入すべきでしょう。 また政府もこう言う取り組みを支援すべきです。 OSも高いXPはやめてLinuxを使えば最近はほとんどWindowsと変わらないGUIになっています。

それともっと重要なのは、管理職です。 私は何年も前から、管理職のIT能力が必須と言い続けてきました。 ITやPCは強力なツールです。 強力であればあるほど使い方によって副作用が多く出てきます。 少なくとも小さくとも組織の長であれば、その知識は専門家はだしであるべきです。 労務管理の知識の無い人は管理職になれません。 管理職登用の段階で何らかの試験があって、フィルタリングされます。 しかし現在ではITの知識が無くても管理職になれます。 むしろ誇らしげに私はITオンチですから、と言って憚らない人が多すぎると思います。 少なくとも一定の数の部下を持つ組織の責任者は、ある程度のIT知識の試験や資格を課すべきでしょう。 IT環境がどんどん高度化する中で、組織の責任者の、何の責任があるのか分かりませんが、責任を果たすためにも、必須であると思います。 このような時代では、少なくともITオンチの人は責任者になる資格はありませんし、勉強も必要です。

どこかの県警の捜査課長のPCから捜査資料がWinnyを介して流失したと言う報道がありましたが、知らない間にWinnyがウイスルの如く入り込んだような印象をもたれている方が多いと思いますが、Winnyは、ある程度のIT知識が無いとインストールできません。 ワンクリックでインストール出来るものではありません。ネットワークの設定もそれなりにいじらないといけないので結構大変です。

ここからは推定ですが、この課長さんは何をしたかったかと言うと、AV見たかったのです。 仕事ではITオンチなんでしょうが、こう言う話になると俄然元気が出てくる人も多くて、Winnyを勉強して、一応のネットワーク設定を行ったのです。 そうでないとWinnyには接続できません。 さらにこのWinnyにウイルスが感染して、他のPCから丸見えになり、それで誰かがコピーしたのです。 流出と言うと勝手に情報がどこかに出たのか、と言う感じがありますが、そう言うウイルスやスパイウエアはありますが、Winnyの場合は誰かがコピーしないと流失しません。 そう言う意味では、非常に話題性のある、警察や自衛隊関連の情報が狙われたのでしょう。 普通の人のファイルの中身が見えていても、それをコピーしてどこかの掲示板にアップするようなことはしないでしょう。

最近はスパムメールが物凄く多いです。 スパムを削除するのは良いのですが、ついでに正規のメールまで削除されてしまう場合があります。 スパムの疑いのあるメールは削除せずに一つのフォルダに集めておいて、時間のあるときに一応見てみるのですが、この時に正規のメールを見つけることが多くなりました。 要するにメールは確実に届くと言う確率が減ってきたと言うことです。 ネットワークやシステムが貧弱な時代にはメールは必ず届くものではありませんでしたが、最近はこのSpamによってメールの配送確率が落ちてきています。 やはり受け取ったメールには返事を出すようにしましょう。 返事がなけれがもう一度出します。 メールをもらったら変事を返すのは、こう言うSpam対策ではなくて礼儀の問題でもあるのではないでしょうか。

今月の読み物は、ITの話題が多かったので、私の知り合いが書いていた本を紹介します。ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる ちくま新書 梅田 望夫 (著) ¥777(税込)。 まあ少し見方が一面的かな、とは思いますが、これからの5年を考える点では面白いと思います。 バラバラとある情報を少しまとめたと言う感じ。 筆者が元居たコンサルタント会社を辞めてアメリカのスタンフォードに事務所を構えた時に一度行った事があります。 またコンサルタント時代にはいろいろやりあった仲でした。

確かに、決着が付いたと思っていた検索エンジンの分野でこのようなやり方があったのかと、Googleが出てきた時には思いました。 30万台のPCを繋いで処理していると言うことは下手なグリッドコンピューティング顔負けです。 自前でサーバーを持つのはダサい、みたいな雰囲気がありますが、Googleを見ていると自前で持つことの重要性が良く分かります。 私も人には、レンタルサーバーにしろと助言しますが、自分ではこっそりサーバーを自前で持っていました。 何か心苦しかったのですが、これで心が晴れました。

5年前に、現状のIP電話やFTTHの隆盛やGoogleを予言した人は居たでしょうか? これからの5年はどうなるのでしょう? ちょうど5年後にはアナログTV放送が停止します。 しかしそれまでにはいろんなことが起きるでしょう。 5年後にはまた世の中が変わっているのではないでしょうか。

序章 ウェブ社会―本当の大変化はこれから始まる
第1章 「革命」であることの真の意味
第2章 グーグル―知の世界を再編成する
第3章 ロングテールとWeb2.0
第4章 ブログと総表現社会
第5章 オープンソース現象とマス・コラボレーション
第6章 ウェブ進化は世代交代によって
終章 脱エスタブリッシュメントへの旅立ち

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
誰もがパソコンを自由に使えるようになり、ブログなど情報発信を容易にする手段が普及、Googleの検索エンジンなど情報を取捨選択する方法が広まったことで、Webの世界が変わりつつある。いわゆる「Web2.0」だ。

著者は、ネットの「あちら側」と「こちら側」というユニークな視点で、Webの進化がもたらす影響を解説する。あちら側とはGoogle、Amazonなどがネット上でサービスを展開する世界。こちら側とは、企業内で閉じた情報システムなどのローカル環境を指す。

「あちら側」では、Googleなどの圧倒的な資金力と知の集積により、高品質なサービスが無料で提供されるようになった。一方の「こちら側」は、依然として高いコストを投じて、閉じたシステムを開発し続けている。著者は今後10年間で、システムや情報をこちら側に持つ時代から、あちら側のサービス、情報を利用する時代へシフトすると予想する。

実際、Googleのサービスを利用して、従来なら開発に数億円かかったシステムを、数十万円で作った企業も出てきた。この流れは企業のIT環境に大きなインパクトを与えるものだ。ITにかかわる人なら必読の一冊と言える。
(日経コンピュータ 2006/03/20 Copyrightc2001 日経BP企画..All rights reserved.)