川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

 ぼくの朝鮮認識 1960年(18歳)(続)

2013-04-23 06:45:19 | 韓国・北朝鮮

1960年4月21日の日記の続きです。

大学に入ってマルクス主義の洗礼を受ける前の僕の社会認識がつづられています。韓国の4・19学生革命と日本の安保闘争の最中です。


中産階級の勃興がイギリスで話題になっているなど、マルクスの考えた資本主義の自滅は現在まだ考えられない。しかし、資本主義は次第に社会主義に変わりつつあることは事実だ。社会保障制度の進歩などは両社会の接近を示すものだろう。

 共産主義の社会には自由の制限があるという。国家がある程度の個人の自由の提供によって成立する以上当然ではあろうが、社会主義の国ではそれが資本主義国より強いことは事実だろう。しかし、生産の向上と国力の充実とともに解消されるだろう。

 資本主義社会には大幅な自由が許されている。しかし、無茶な自由競争によって、労働者の労働条件は悪化し、生産品の販路を失う。そして多数の貧民を出す。

 自由が与えられていてもそれを生かすことができない。これはまた大きな自由の束縛ではないだろうか。資本主義社会はそこも是正しなければならない。どうやって是正するのか。

 岸政府は貧乏の追放を言い出したが貧乏は少なくなったか。かえって多くなったかも知れないだろう。資本主義の仕組みでは貧乏はなくならないことは明白だ。歴史が証明している。そこには計画経済など社会主義的な方法が必要になる。

 資本主義は社会主義に接近していくことになろう。そして社会主義も資本主義を放逐することはできまい。どちらもの利点をとりあって新しい世界を作り上げなければなるまい。社会主義も資本主義もないのである。

 アメリカににも強くそれを望む。共産圏敵視をやめること。韓国や日本に米軍がいる必要はない。(略)

 この事件の解決はしたがって李政府の即時退陣、正副大統領選挙のやり直しはもちろんであるが、結局は、在韓米軍の撤退、朝鮮の統一よりほかにあるまいと思う。

もし、韓国政府が国民の目をそらそうとして、北進や李ライン強化の無茶をやれば、この傷はますます深くなっていくだろうし、北進の前に韓国はより大規模な内乱になろう。軍隊が李承晩の命令に反するかもしれないからだ。

 韓国国民は北鮮国民と同胞である。平和的統一を願っていることだろう。それを一部の者たちが阻止している。李政府はそれであり、そのもとはアメリカであるかもしれない。自分たちの利益のために韓国や朝鮮の人びとを欺いているのだろう。

 今、韓国と北鮮と、どちらが好きかと問われたら、恐らく、北と答えるに違いない。民主主義国韓国には民主主義がないし、共産主義社会主義国北鮮には夢や希望があるのだから。そして、恐らく朝鮮は金日成によって統一されたほうがずっといい国になろう。朝鮮人民の大半がそう念じているように思えてならない。(略)

 民主党政権ができれば北鮮との話し合いも可能かも知れない。そして一日も早く、朝鮮の人たちが手に手を取って祖国の創建に立ち上がってほしい。隣人として特に強く朝鮮の人たちを知っている自分は強く希求する。

 日本はかつて朝鮮の国土を踏みにじった。それは自分たちがしたことではなく、一世代前の大人たちがしたことだ。しかし、自分たちはその子孫である。その責任は回避すべきではない。強く立ち上がって成立した統一朝鮮には物心両面の協力を申し出て前科を償うべきである。

 それまでには日本にも真の民主主義が育成されねばならぬ。岸政府ではだめだ。朝鮮の二の舞を演じぬように日本こそデモクラシーのルールに沿った革命を成就すべきだ。

 道は遠いかもしれない。しかし、幸福追求は自分たちの権利だ。朝鮮の事件を単によそ事と見るだけでなく、日本の国にてらしてもかんがえてみるべきである。

 今ごろ岸さんは首をちぢこめているかもしれない。あるいはまた、これだからこそ、自衛隊を強化し、警職法を改定し、安保強化をしなければならないと考えているのかもしれない。

願わくば日本のために第二の李承晩にならぬように。(以下略)


 

高校を終えたばかりの僕の朝鮮認識・世界認識はこんな感じだったことがわかった。

同じ時代を生きた読者はどう感じられただろうか。


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