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川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

私が聞いた北朝鮮の暮らし⑧ 《主婦の仕事》 鈴木倫子

2011-01-27 17:40:05 | 韓国・北朝鮮
1月27日(木)晴れ
 夕方、4時前に伊豆高原での休養から帰ってきました。明日から「川越だより」も通常の発行に戻ります。


《主婦の仕事》
 ねえ、日本ではお店でバラ肉の薄切りとか、ロースのステーキ用とか用途別に

スライスされてトレイに並べられたものを買っているでしょ。北朝鮮ではお肉な

んかどんな風にして売られているの?
 
 あたしのこんな初歩的というか至って素朴な疑問にミサキさんが答えてくれた
こと。
 
 「豚肉はね、たまあに職場に一頭とか半頭とか送られてくると、みんなでそれ

を切り分けて持って帰るの。鶏肉は市場へ行くと丸ごと一羽売っているから、そ

れを買ってくる。鶏肉は、頼めばそこで捌いてくれるけどそれだと余計にお金を

払わなければならないから、そのまま買ってきて、うちで捌いてたわ。」
 
 「薬として使うときには、生きたままのを買ってくるの」と、おばあちゃんが

補足説明してくれた。市場というのは闇市のこと。
 
 お粥にするトウモロコシは、配給でも闇でも手に入るのは乾燥した粒々の物だ

。引き割りにしなければ使えない。人に頼んでやってもらうこともできるが、手

間賃を取られるから、ミサキさんは自分で石臼をひいていたという。石臼をごろ

ごろまわして粉にしたトウモロコシをお粥にするのには水が要る。生活に必要な

水はすべて、毎日外から運ばなければならなかったという。住んでいたのはアパ

ートの5階。極度の電力不足のために、水道の水を5階まで汲み上げてもらえない

。だから、ミサキさんは日に何度も、外の水道と家の台所の間を往復しなければ

ならなかったのだ。水を汲んだ水がめを頭に載せてアパートの階段を5階まで上

がる。エレベーターはない。たとえあっても電気が来なくて動かないのだから、

無いのと同じこと。それでミサキさんは、頚椎を痛めてしまった。いまだに体調

が優れないのには、そんなわけもあったのだ。5階建てのアパート生活に石臼と

水がめという取り合わせだ。なんともいやはやと言うほか無い。