花粉のせいか、ここ2・3日元気が出ません。昨夜、東京都の生活福祉部から「支援・相談員」の募集要項がFAXで送られてきてから、我に返りました。応募を希望している残留孤児2世の卒業生に連絡しなければならないからです。法改正に伴い、残留孤児やその配偶者に新たな給付金が支給されるのは4月1日からです。支援相談員の仕事の一つはこの支援給付金事務を円滑にすすめることです。その募集要項が今頃になって発表されるのですから驚きです。応募締めきりは26日です。いくら新制度とはいえ、お粗末すぎます。どこに原因があるのか、僕にはわかりませんが、法改正の精神が生きてないことはたしかです。都庁を訪ねた私たちに、忘れず連絡をしてくださった担当者に感謝しながら、あちこち電話やFAXで知らせました。
17日に明治大学でシン・ドンヒョクさんの話を聞きました。終了後の懇親会で申さんに個人的なメッセージを送ることも出来、心に残る一日となりました。
申さんの本『収容所に生まれた僕は愛を知らない』(李洋秀訳・KKベストセラーズ・¥1600)がこの日全国の書店で発売されたということです。お話の大半はこの本に書かれていることですから、皆さんも是非読んでみてください。この日感じたことのメモ。
◎この日の集まりは明治大学情報コミュニケーション学部・川島高峰准教授のゼミを公開する形で行われた。僕は川島さんの申さんに対する深い愛情と北朝鮮民主化への強い意志を垣間見て感動した。参加者のために作ってくれた資料の表紙部分を紹介する。
人間・申東赫さんに寄せる
『収容所に生まれた僕は愛を知らない』 この本を読んだ人は誰もが、「人間とは何か」、この問いに直面することだろう。
北朝鮮の強制収容所「完全統制区」という地獄で政治犯の子として生まれ、罪人として強制労働のためだけに育てられてきた、人間・申東赫さんの体験は、私たちに人間とは何かを真に訴えかける、人類史上、かつてない心の叫びです。
私たちは二つのことに驚く。
一つは、これほどまでに非人間的で、魂の尊厳に反した社会での体験記録に、である。人がどれほど残虐で、醜い悪魔のようになってしまうのか、そして、人が冷酷なことに智恵を絞り、様々な工夫をしてしまう生き物なのか、ということに、である。
もう一つは、これほどにまで過酷で、抑圧を抑圧とも感じずに普通に生きることを余儀なくされた空間においても、やはり、自由はかけがえのないものであり、ほんのわずかではあるが互いを助けようとする心があった、ということである。
この「ほんのわずか」が奇跡のようにつながることで、今日、私たちは申東赫さんと出会うことが出来た。私たちは、この奇跡を信じよう。
この世の地獄から奇跡のように脱出し、人が人であることを証明し、日本に会いに来てくれた申東赫さんの言葉に、心から耳を傾け、考えよう。
そして、考えることはただ一つ。
北朝鮮に存在する強制収容所が史上最悪の非人間的な空間であることを世界に訴え、その廃絶と北朝鮮の民主化を強く求めることである。
私たちが考えることはただ一つ。
北朝鮮による人権侵害を止め、北朝鮮を民主化することである。
2008年3月17日
このようなメッセージを発することが出来る先生がこの学校にいて、僕らは出会うことが出来た。申さんの講演会の企画は訳者の李さんに発するが、自己のゼミの主催事業として学生達と汗を流したのは川島さんである。日本の大学でもやろうとする強い意志があればこういう授業が出来るのである。李洋秀さん、申さん、川島さんのつながりは奇跡とはいえないかも知れないが、私たちにこの上ない学びの場を作ってくれた。
川島高峰さんという方を僕は全く知らなかった。会場で久闊を叙したIさんの甥に当たるというが、どういう仕事をしてきた方か、どういうふうにしてこんな頼もしい人格が形成されたか知りたいと思った。講演のあと、学生達から次々と質問があったが、感想や意見を聞くまでのことはできなかった。それが残念だった。
川島高峰政治学研究室
http://www.isc.meiji.ac.jp/~takane/whoetc/whoetc.htm (つづく)
17日に明治大学でシン・ドンヒョクさんの話を聞きました。終了後の懇親会で申さんに個人的なメッセージを送ることも出来、心に残る一日となりました。
申さんの本『収容所に生まれた僕は愛を知らない』(李洋秀訳・KKベストセラーズ・¥1600)がこの日全国の書店で発売されたということです。お話の大半はこの本に書かれていることですから、皆さんも是非読んでみてください。この日感じたことのメモ。
◎この日の集まりは明治大学情報コミュニケーション学部・川島高峰准教授のゼミを公開する形で行われた。僕は川島さんの申さんに対する深い愛情と北朝鮮民主化への強い意志を垣間見て感動した。参加者のために作ってくれた資料の表紙部分を紹介する。
人間・申東赫さんに寄せる
『収容所に生まれた僕は愛を知らない』 この本を読んだ人は誰もが、「人間とは何か」、この問いに直面することだろう。
北朝鮮の強制収容所「完全統制区」という地獄で政治犯の子として生まれ、罪人として強制労働のためだけに育てられてきた、人間・申東赫さんの体験は、私たちに人間とは何かを真に訴えかける、人類史上、かつてない心の叫びです。
私たちは二つのことに驚く。
一つは、これほどまでに非人間的で、魂の尊厳に反した社会での体験記録に、である。人がどれほど残虐で、醜い悪魔のようになってしまうのか、そして、人が冷酷なことに智恵を絞り、様々な工夫をしてしまう生き物なのか、ということに、である。
もう一つは、これほどにまで過酷で、抑圧を抑圧とも感じずに普通に生きることを余儀なくされた空間においても、やはり、自由はかけがえのないものであり、ほんのわずかではあるが互いを助けようとする心があった、ということである。
この「ほんのわずか」が奇跡のようにつながることで、今日、私たちは申東赫さんと出会うことが出来た。私たちは、この奇跡を信じよう。
この世の地獄から奇跡のように脱出し、人が人であることを証明し、日本に会いに来てくれた申東赫さんの言葉に、心から耳を傾け、考えよう。
そして、考えることはただ一つ。
北朝鮮に存在する強制収容所が史上最悪の非人間的な空間であることを世界に訴え、その廃絶と北朝鮮の民主化を強く求めることである。
私たちが考えることはただ一つ。
北朝鮮による人権侵害を止め、北朝鮮を民主化することである。
2008年3月17日
このようなメッセージを発することが出来る先生がこの学校にいて、僕らは出会うことが出来た。申さんの講演会の企画は訳者の李さんに発するが、自己のゼミの主催事業として学生達と汗を流したのは川島さんである。日本の大学でもやろうとする強い意志があればこういう授業が出来るのである。李洋秀さん、申さん、川島さんのつながりは奇跡とはいえないかも知れないが、私たちにこの上ない学びの場を作ってくれた。
川島高峰さんという方を僕は全く知らなかった。会場で久闊を叙したIさんの甥に当たるというが、どういう仕事をしてきた方か、どういうふうにしてこんな頼もしい人格が形成されたか知りたいと思った。講演のあと、学生達から次々と質問があったが、感想や意見を聞くまでのことはできなかった。それが残念だった。
川島高峰政治学研究室
http://www.isc.meiji.ac.jp/~takane/whoetc/whoetc.htm (つづく)