ホンモノ

今週の仕事は土曜日までユネスコの無形文化遺産（日本では無形文化財っていう）保護条約関係。日本の伝統芸能や伝統工芸、それを保護・保存するための制度などの研修の仕事。

日本の文化財保護法はまだ戦争の爪痕が残る1950年施行。衣食住にも困っていた時代に、自分たちが辛くても次の世代に先人の知恵や日本人のアイデンティティの源を残そうした法律。無形文化財を保護対象とする法としては、世界に先駆けたものらしい。半世紀を経た今、外国から行政担当者や学者が学びにくる存在になった。当時立法に携わった人たちの先見の明と気概に改めて敬服だ。

それに比べて、「世界同時株安なんでしょ？」と、日本発でないから何もしないでいいとでも言いたげな首相では、将来の世代に残してあげられるものは先細りじゃ。特に日本という国の評判に関してね。

写真は、世襲や弟子入りでしか伝えられて来なかった伝統の技を、国立劇場の伝統芸能後継者養成研修で教えているところ。一線級の講師が研修生を指導している。今日のホンモノに直接教わって、明日のホンモノになる卵たち。

結局この国の政治にないのは、ホンモノの政治家なのかなぁと思った。