kebaneco日記

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いいぞICC〜

2024年05月02日 | 折々の話題

オランダのハーグにある国際刑事裁判所(International Criminal Court; ICC )。今年3月の投票の結果任期3年で所長となったのは、愛知県出身の検事で6年前からICCで裁判官を勤めていた赤根智子裁判官。ICCは写真の建物の中に入っている。

 

ICCは、これまでロシアが占領地からウクライナ人の子供たちをロシアに移送した戦争犯罪の疑いで、プーチン大統領に逮捕状を出した。締約国は逮捕状が出ている人間が自国領土に入った場合、ICCからの逮捕とか引き渡しの請求にもれなく応じねばならないので、120カ国くらいの国には行けなくなる。プーチンが昨年夏のBRICSサミットに出られなかったのは、南アがICCの締約国だから。ちなみに、ロシア、アメリカ、中国、それからイスラエルと北朝鮮も、ICC設立規定であるローマ規定を受諾していない。でもって、逮捕状を出された仕返しとして、ロシアはICCの裁判官や検察官を指名手配した。ま、どっちかゆ〜とそれは勲章みたいなもんやね。

 

そのICCが、今度はネタニヤフ首相、国防大臣、軍最高司令官に、戦争犯罪と人道に対する罪で逮捕状を出す準備をしているという報道があった。それを受けてイスラエルは、米国に泣きついた。ICCに対して逮捕状を出させないよう圧力をかけて欲しいんだと。アメリカも締約国じゃないから圧力かけられんっちゅ〜に。所長が日本人だからちょろいと思ったのかな(苦笑)?

 

イスラエル現地メディアの先月末の報道では、早ければ今週中にも逮捕状が出るのでは、とのこと。ロイターは、ICCがガザの報道機関のスタッフに対して、戦争犯罪で逮捕状が出るかもしれないと語った、と伝えている。ネタニヤフは「そんなことしたら歴史的スキャンダルだ」と声明を出したらしい。いやいや、あんたの行為の方が歴史的スキャンダルだってばさ。

 

ICCとイスラエルの攻防は今に始まった事ではないので、喜ぶのはまだ早い。

 

2014年以来の、ガザおよびヨルダン川西岸・東エルサレムにおけるイスラエルの行動に対して、2021年3月に捜査が開始され、2023年11月にはバングラデシュなど複数国が、その1ヶ月前からのガザにおけるイスラエルの行為もその捜査対象に含めることを求めた。その翌月ICCの判事がヨルダン川西岸とイスラエルを訪問して、2023年の10/7に始まったイスラエルとハマスの犯罪に対して、ICCが捜査を行う可能性に言及していた。

 

つまり、ICCは3年前からイスラエルの行動を問題視してきてはいた、でもなかなか結論には至っていなかった。でもなんで今回こんなに急展開?アルジャジーラがインタビューした専門家によると、イスラエルが食料を戦争の道具として使った(=食料供給を断ち飢餓を起こさせた)ことだという。武力攻撃で35,000人もの死ななくてもいい人がなくなり、200万人もの人が飢餓に瀕していて、墓から見つかった遺体には拷問の痕跡が見られる。誰の目から見てもイスラエルのいう「自衛のための戦争」説はどんどん説得力を失っているもんね。アメリカ人の大学生じゃなくても、機会があれば抗議運動起こしたくなるはずだ。

 

が、アメリカで抗議運動を抑え込もうとする体制側と同様に、イスラエルに甘い国際機関もある。

 

同じくハーグにある国際司法裁判所(International Court of Justice; ICJ)。ここに対して昨年12月に南アが、イスラエルがジェノサイド条約違反をしていると提訴した。それを受けてICJは、イスラエルに対してガザ地区のパレスチナ人をジェノサイドやその扇動から守る措置を取ること、人道支援が可能になる措置を取ることを求めた。イスラエルがジェノサイド条約に違反しているかどうかは判断せずの、ある意味イスラエルに対して「ICJの判断に従わないと、ジェノサイド条約違反かどうか判断しちゃうよ〜」というイエローカード的判断を下した(とその時は思った)。が、その後ニカラグアが提出した、ドイツによるイスラエル武器輸出を緊急に停止するよう求める請求は、先月末に却下している。ううむ、どっちの方向を向いとんじゃ。国連の司法機関としての限界を露呈した感じ。

 

なのでここは一つ、国連からも独立している国際刑事裁判所(ICC)に、死ぬほど頑張ってほしいのである。戦争前から判断に時間がかかってるから楽観はできないけど。日本政府が変な圧力かけてきても、わきまえずがんばれ〜


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