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日々のメモ

事業や企業、経済の動きについて分析していくブログ

地球儀制作事業

2020-08-28 23:54:00 | 分析・観察
最近の地球儀はしゃべるらしい。
これがあったら、遊びながら世界に目を向ける育ち方をするのだろう。国と首都と国旗が分かったら、何となく地理が得意だと感じ出し、そうするともっと地理を学ぼうと思い、世に出た後も海外に親近感を持ち関わる機会をつかもうとするだろう。

そういうわけで、この地球儀の主要な顧客層は子供を持つ家庭である。競合にくもんが存在することからも明らかだろう。

しゃべるのは日本語なので、潜在顧客の数は子供を持つ世帯のうち、教育に力を入れる世帯の数だ。
厚生労働省の統計によれば、子どものいる世帯数はおおよそ1200万世帯である。
(公式サイト

日本の大学進学率は約半分なので、教育熱心な世帯も大体半分だと仮定すると、潜在顧客は600万の世帯であるということになる。
先ほどの公式サイトをみると、子どものいる世帯は横ばいになりつつあるので、この世帯数が続くと考えれば、毎年600万個の地球儀が売れるのが最大売上である。
市場規模は、600万✖️平均1万円で、約600億円となるだろう。

インターネットを少し見ていても、複数社が競合する市場であり、シェアは半分を取るのも厳しいと思われる。努力して3割程度とって、200億円程に育てば成功だろう。マイクロソフトなど売上数兆円規模の大企業が本気で参入するとは考えづらいが、一定の技術力ある企業が注目するはずだ。

今後のトレンドとして、地球儀メーカーは安定的なニーズの見込めるこの市場でシェアを高める工夫をするだろう。
ありえる方向性は、
『高品質化』方針…価格を上げたり維持したりで、
・教科書と連動させる
・スマホからも操作出来るようにする
・しゃべる機能をアップデートできるようにして充実させる

『品質横ばい低価格化』方針…
・同じ機能で格安化を図る

という大きく2つが考えられるものの、低価格化は既に海外での製造など努力は進んでおり、今後は前者がメインとなってくるだろう。特に顧客の立場からすれば、しゃべる内容を人口・国家元首名などまで広げたり、毎年更新するなどすると嬉しい。
ケビン・ケリーのテクノロジー予測からしても、リアルタイム化が進むだろう。

以上から、地球儀制作事業では、高品質化が追求され、その内容はしゃべる内容のリアルタイム化と考えられる。

石油化学工場など大型工事をこなすエンジニアリング業界の経営分析。

ゴールドマンサックスやモルガン・スタンレーを含め証券業界の経営分析。



巨大インフラのビジネス

2020-08-22 12:11:00 | 分析・観察
街中を歩いていると、工事を様々な所で見かける。住宅を改修していたり、道路を掘り返して水道管などを改修していたり、都会に行けばオフィスビルを建てていたり、ステイホームの合間に散歩すれば、工事を見かけないことはないのではないか。

様々な規模の工事があるが、最も巨大な工事はどんなものだろう。沿岸部を歩くと見かける、大きな発電所や石油精製施設などが一番巨大そうに思える。(エネオスの製油所の公式HP。「京葉臨海工業地帯」を代表する施設らしい。小学校で習ったような日本を代表する工業地帯の一つだ。)

これらを手掛けているのは一体どんな人たちだろうか?調べてみると、それは総合エンジニアリングという業種に属する会社であり、日本で言えばみなとみらいに本社の集まる日揮ホールディングスや千代田化工建設、東洋エンジニアリングといった会社だ。(例えば、日揮ホールディングスの公式HP
これらの会社は数千人を雇って世界で工事を受注している。ロシアでは2兆円程のプロジェクトにも関わったらしい。また、この業種のアメリカの会社には、従業員が5万人を超える巨大企業もあった。(Fluorの公式HP

公式情報を読み進めると、これらの企業が手掛ける大型工事は世界のエネルギー消費量や内訳に密接に関わるため、経営の報告書でもそれらに言及し、これからの経営戦略をそれに合わせて策定している。
例えば海外のエネルギー消費量が増えそうだからグローバル経営を進める、環境を考えたエネルギー設備が増えそうだからそれらの案件獲得に力を入れる、などだ。

現在は、世界のエネルギー消費量は横ばい〜増加が見込まれていて、業界各社は公表資料を見る限り活気があるように思えた。日本の企業はコスト管理に課題があったらしく、企業によってはオペレーション改善に向けた取組みを経営者を外部から招いて行なっている。ダイナミックな変革の最中なのだ。(千代田化工建設は三菱商事から、東洋エンジニアリングはインテグラルと三井物産から協力を得ている)

巨大工事のビジネスは、投資したり働いている人にとって、視野が国際的で、内容も変化に富んだ面白い領域と思う。

総合エンジニアリング業界の市場動向と各社比較をしたレポート。用いられるデータに出典をつけつつ市場動向や各社経営状況に一定の結論を出しており、基礎知識が身につく。

金融サイクルと社会

2020-08-15 23:59:00 | 分析・観察
終戦記念日にあたって、社会の平和と関連する経済プロセスの話を一つ記載したい。それは、過去に戦争が起きてきた要因の中には金融環境のなかの「バブル崩壊」の影響があり、且つ現在は対策が開発されつつあるという話だ。

その金融サイクルは、シンプルな貸し借りのメカニズムで成り立つ。
①初期
お金を慎重に借りて、働き手が道具や機械を改善することで有効に借入金を活用し、きちんと返す循環が成り立つ。
②中期
貸したお金と金利が返ってくることで安心した貸し手は「もっと貸そう」と提案する。借入を行う働き手も、もっとお金を借りてたくさん稼ごうと考えて借入を増やす
③バブル期
借入を行う借り手は、やがて業務に関係ないような金融利益目的での土地などの売買にお金を使うようになり、価格はバブル状態となる。貸し手も金利で稼ごうと、信用状態をよく確認せずに貸出を増やす
④後期
返済に困った借り手が現れ始め、返済のために土地などを売り始め、価格は急落し始める。返済出来ない借り手がたくさん現れて、貸し手も事業を縮小したり閉鎖したりする

このサイクルは、ヘッジファンドの有力マネージャーであるレイ・ダリオの研究によれば世界史の多くの局面に現れていて、④の不安定な社会はマイノリティへの迫害や海外への戦争につながっていた。1920年代の世界恐慌による大日本帝国の始まりにも影響する話であろう。国が豊かで満ち足りていたら、「資源獲得のために侵略」という意見は多数派にならない。
2008年のリーマンショックは、FRBが銀行の民間救済を仲介したりAIGに資金を供給して流動性を保つなど、ダメージを軽減することに努めて社会不安を抑えた。確かに経済のダメージは一定あったが、争乱も起こさずに収めたことは快挙だった。
金融サイクルへの対策はグレードアップされているのだ。

現在はコロナショックで生活のメカニズムや経済の流れに変化が起こり、社会不安は増している。金融対策はとられているが、ニュースを日々見ていて、以前から各国で右派の台頭に見られた外部者への怒りは社会の中で強まっているように思う。
次の対策グレードアップが待たれている。

社会不安の原因を少しずつ解き明かし対策して、平和な世の中にし続ける動きが常に必要とされているのだと改めて思う。


年金の運用

2020-06-24 09:46:00 | 分析・観察
日本の年金の原資は独立行政法人によって運用されていて、この運用成績は大体アメリカの上場株式のリターン(S&P500)に近い。2001年から平均年3%で増やす運用が成されている。
かつてウォーレン・バフェットがほとんどのファンドはS&P500を上回るリターンを出さないと述べて実証したことからすれば彼らは優れた運用をしていると考えられるだろう。
この独立行政法人(年金積立金管理運用独立行政法人、略称GPIF)は、運用の原則としてESG投資を挙げていることで知られている。環境・社会・企業統治の観点から企業を評価して投資判断を行うという手法である。
これは世界の公共善のためにそうしているのではなく、百年などの長期かつ170兆円近い巨額運用という前提からすれば、最高のリターンをあげるのがESG投資だから、という見解からきている。
(公式サイト
これまでに良い成績をあげてきたファンドが、これからも良い成績をあげるために最高の戦略がESG投資であると判断していることの意味は大きい。
これからこの巨額の資産は、ESGの観点から優れた企業に投資されていき、マーケットで評価されることになる。裏を返せば、マーケットで評価され、効率的に多額の資金を集めてビジネスを拡大しようと思ったら、ESGの観点に着目したESG経営をすることが正解だという世界になっている。

ここまでくると、ではESGの評価を決めるトリガーは、環境・社会・企業統治で具体的に何なのかという問いを考える必要が出てくるのだが、これは他の経営要素とおなじで、何となく正解の方向性は分かるが曖昧な状態である。
温暖化ガスの削減努力、男女平等、多様性のある取締役会などの観点があり、その程度についてはどこまでやれば優秀とするかファンドごとの考えがあり…百家争鳴である。
今後の経済の在り方に大きな影響を与えるであろうESGについて、色々な企業が思い思いにレポートを出しているし、メディアもニュースを出している。日頃のビジネスの意思決定に広く影響してきそうなので、情報収集を続けようと思う次第である。


ESGのトレンドとしての価値

2020-05-09 00:50:00 | 分析・観察
今月に入って、業務の都合でESGに関与しておりその奥深さを学んでいたので、公表されている情報ではあるが整理して紹介させて頂きたい。

まず、これは進化し続けるガイドラインであり、その進化は単なる呼びかけに始まるが、それが経済大国で政権にとって意味をもつ基準と考えられた場合、法規制に変わるという性質をもつ。
アフリカの内戦につながる鉱物の売買をやめようという呼びかけは、2010年のドッド・フランク法(金融規制の文脈で知られる)により規制に格上げされた。
コンゴ民主共和国から産出される一定の鉱物を製品に扱う大企業は、そのサプライチェーンを監査しなければならないのだ。
また、児童労働および強制労働について、アメリカ労働省は問題が起きている国と製品をリストアップかつ公表しており、そこからの購入をアメリカの公的セクターではサプライチェーンから排除して改善への圧力をかけている。(公式サイト

ESGへの取組みは明らかに企業に負荷をかけるため、規制がなければ世間体だけできちんと取り組んでもらうことは難しい。
このような取組みが他の先進国にも広がることで、またESG関連情報がより詳しく世界中について出てきて先進国に把握されることで、社会は改善に向かうだろう。

法的規制のほかには金融セクターが公的年金基金など巨大ファンドを中心に動き出している。
日本の株式でも大株主一覧に出ることの多いノルウェー政府年金基金は、ESGを理由にして資金引き上げを実施する。(記事
日本でも石炭火力発電に対する融資を問題視するファンドがニュースになったりするが、巨大ファンドが実際に内部で規定を設けて資本を動かしているのだ。
今後の企業経営戦略や業務プロセス改善には、明らかにESGへの配慮が影響を持つだろう。
評判というだけでなく、やがて資金調達や法規制回避のために本当に考慮しなければならなくなる実態的な存在としてだ。企業はそこに早くから無理なく対処することを考えるはずである。

過去の収益変遷を10年以上のスパンで調べたレポート。ESGが本格的な意味を持つ前までの動きを今一度おさらいするのに役立つ。