日々のメモ

事業や企業、経済の動きについて分析していくブログ

オーディオブック事業

2020-08-30 09:18:00 | 分析・観察
本を聴くという習慣はどこまで普及するのたろうか。そして収益を得る機会はあるのだろうか。

本を聴く習慣を、今体験できる最も簡単なツールはAmazonオーディブルだろう。
最初の30日間無料で1冊好きな本を聴くことが出来て、気に入ったら続けてもらうという普及戦略をとっており、多くの人がこの無料体験をしてみたはずだ。

事業戦略として見たとき、この市場は少なくとも日本について電子書籍より大幅に小さいことが見込まれる。
「音から情報を得る」という側面から親和性の高いラジオ事業は、総務省の情報通信白書によれば、6.5%の人だけが利用するメディアである(情報通信白書の「行為者率」から)。
在宅勤務の増加でリスナーが増えたというものの、増加後の人数は首都圏(人口は一都三県で3000万人近い)で100万人に満たない(ビデオリサーチの記事)。

つまり、1億人の6%〜7%程度、多くて700万人ほどが日本の潜在顧客であり、その中での「本を読む」人の比率をネット上の記事に合わせて半数とすると、350万人ほどである。
1億人の半数である「読書をする」人がどれほど電子書籍を読んでいるか全国出版協会のデータをみてみると、その売上は3000億円だ。電子書籍が世に出てから数年たち、もう「潜在」だった市場規模は顕在化していると見て良いだろう。
つまり、
5000万人の潜在顧客→3000億円から、350万人の潜在顧客→210億円というのがオーディオブックの潜在市場規模である。
今後の動向としては、市場規模があまり大きくなく強力な競合の参入はあまり予測されず、先のAmazonオーディブルが既に顧客体験としては完成されていると思うので、Amazonの占有市場となるだろう。

社会の大型インフラ整備のビジネスがどのような動向であるか分析したレポート

損害保険ビジネスの動向を分析したレポート


地球儀制作事業

2020-08-28 23:54:00 | 分析・観察
最近の地球儀はしゃべるらしい。
これがあったら、遊びながら世界に目を向ける育ち方をするのだろう。国と首都と国旗が分かったら、何となく地理が得意だと感じ出し、そうするともっと地理を学ぼうと思い、世に出た後も海外に親近感を持ち関わる機会をつかもうとするだろう。

そういうわけで、この地球儀の主要な顧客層は子供を持つ家庭である。競合にくもんが存在することからも明らかだろう。

しゃべるのは日本語なので、潜在顧客の数は子供を持つ世帯のうち、教育に力を入れる世帯の数だ。
厚生労働省の統計によれば、子どものいる世帯数はおおよそ1200万世帯である。
(公式サイト

日本の大学進学率は約半分なので、教育熱心な世帯も大体半分だと仮定すると、潜在顧客は600万の世帯であるということになる。
先ほどの公式サイトをみると、子どものいる世帯は横ばいになりつつあるので、この世帯数が続くと考えれば、毎年600万個の地球儀が売れるのが最大売上である。
市場規模は、600万✖️平均1万円で、約600億円となるだろう。

インターネットを少し見ていても、複数社が競合する市場であり、シェアは半分を取るのも厳しいと思われる。努力して3割程度とって、200億円程に育てば成功だろう。マイクロソフトなど売上数兆円規模の大企業が本気で参入するとは考えづらいが、一定の技術力ある企業が注目するはずだ。

今後のトレンドとして、地球儀メーカーは安定的なニーズの見込めるこの市場でシェアを高める工夫をするだろう。
ありえる方向性は、
『高品質化』方針…価格を上げたり維持したりで、
・教科書と連動させる
・スマホからも操作出来るようにする
・しゃべる機能をアップデートできるようにして充実させる

『品質横ばい低価格化』方針…
・同じ機能で格安化を図る

という大きく2つが考えられるものの、低価格化は既に海外での製造など努力は進んでおり、今後は前者がメインとなってくるだろう。特に顧客の立場からすれば、しゃべる内容を人口・国家元首名などまで広げたり、毎年更新するなどすると嬉しい。
ケビン・ケリーのテクノロジー予測からしても、リアルタイム化が進むだろう。

以上から、地球儀制作事業では、高品質化が追求され、その内容はしゃべる内容のリアルタイム化と考えられる。

石油化学工場など大型工事をこなすエンジニアリング業界の経営分析。

ゴールドマンサックスやモルガン・スタンレーを含め証券業界の経営分析。



株式投資で利益を得るチャンス

2020-08-23 15:18:00 | 投資・会計・ガバナンス
日本の株式市場をみたとき、そこには3600社程の銘柄があるが、2017年8月から2020年8月までの3年間で、株価を10倍超に伸ばした銘柄は4つである。
5倍超に伸ばした銘柄は23だ。

これらの株式は元は平均して時価総額500億円程度の銘柄で、市場に流通している株式はその一部であることを考えると、大会社のアセットマネジメント部門(いわゆる機関投資家。数兆円運用するようなイメージである)が扱うには小さい。
個人投資家ならば資産を急成長しうるが機関投資家はそうはいかない構造になっているのが今の株式市場である。

この23銘柄、例えば弁護士ドットコムなだがあるが、新たに世に出て多く使われる便利なサービスと考えたら、探してみようと思うのではないだろうか。最近使ったサービスは何か、思い返してみたら良いのではないか。
また、色々な業界をみれば、企業の立て直しなどで急速に株価を戻す例もある(リーマンショック後のアメリカの投資銀行など)。
多くの業界に興味を持ち、調べてみるステイホーム期間にするのも楽しいのではないかと思う。

発電所や大規模工場を作る会社の業界についてのレポート

損害保険業界についてのレポート

都市銀行についてのレポート



巨大インフラのビジネス

2020-08-22 12:11:00 | 分析・観察
街中を歩いていると、工事を様々な所で見かける。住宅を改修していたり、道路を掘り返して水道管などを改修していたり、都会に行けばオフィスビルを建てていたり、ステイホームの合間に散歩すれば、工事を見かけないことはないのではないか。

様々な規模の工事があるが、最も巨大な工事はどんなものだろう。沿岸部を歩くと見かける、大きな発電所や石油精製施設などが一番巨大そうに思える。(エネオスの製油所の公式HP。「京葉臨海工業地帯」を代表する施設らしい。小学校で習ったような日本を代表する工業地帯の一つだ。)

これらを手掛けているのは一体どんな人たちだろうか?調べてみると、それは総合エンジニアリングという業種に属する会社であり、日本で言えばみなとみらいに本社の集まる日揮ホールディングスや千代田化工建設、東洋エンジニアリングといった会社だ。(例えば、日揮ホールディングスの公式HP
これらの会社は数千人を雇って世界で工事を受注している。ロシアでは2兆円程のプロジェクトにも関わったらしい。また、この業種のアメリカの会社には、従業員が5万人を超える巨大企業もあった。(Fluorの公式HP

公式情報を読み進めると、これらの企業が手掛ける大型工事は世界のエネルギー消費量や内訳に密接に関わるため、経営の報告書でもそれらに言及し、これからの経営戦略をそれに合わせて策定している。
例えば海外のエネルギー消費量が増えそうだからグローバル経営を進める、環境を考えたエネルギー設備が増えそうだからそれらの案件獲得に力を入れる、などだ。

現在は、世界のエネルギー消費量は横ばい〜増加が見込まれていて、業界各社は公表資料を見る限り活気があるように思えた。日本の企業はコスト管理に課題があったらしく、企業によってはオペレーション改善に向けた取組みを経営者を外部から招いて行なっている。ダイナミックな変革の最中なのだ。(千代田化工建設は三菱商事から、東洋エンジニアリングはインテグラルと三井物産から協力を得ている)

巨大工事のビジネスは、投資したり働いている人にとって、視野が国際的で、内容も変化に富んだ面白い領域と思う。

総合エンジニアリング業界の市場動向と各社比較をしたレポート。用いられるデータに出典をつけつつ市場動向や各社経営状況に一定の結論を出しており、基礎知識が身につく。

金融サイクルと社会

2020-08-15 23:59:00 | 分析・観察
終戦記念日にあたって、社会の平和と関連する経済プロセスの話を一つ記載したい。それは、過去に戦争が起きてきた要因の中には金融環境のなかの「バブル崩壊」の影響があり、且つ現在は対策が開発されつつあるという話だ。

その金融サイクルは、シンプルな貸し借りのメカニズムで成り立つ。
①初期
お金を慎重に借りて、働き手が道具や機械を改善することで有効に借入金を活用し、きちんと返す循環が成り立つ。
②中期
貸したお金と金利が返ってくることで安心した貸し手は「もっと貸そう」と提案する。借入を行う働き手も、もっとお金を借りてたくさん稼ごうと考えて借入を増やす
③バブル期
借入を行う借り手は、やがて業務に関係ないような金融利益目的での土地などの売買にお金を使うようになり、価格はバブル状態となる。貸し手も金利で稼ごうと、信用状態をよく確認せずに貸出を増やす
④後期
返済に困った借り手が現れ始め、返済のために土地などを売り始め、価格は急落し始める。返済出来ない借り手がたくさん現れて、貸し手も事業を縮小したり閉鎖したりする

このサイクルは、ヘッジファンドの有力マネージャーであるレイ・ダリオの研究によれば世界史の多くの局面に現れていて、④の不安定な社会はマイノリティへの迫害や海外への戦争につながっていた。1920年代の世界恐慌による大日本帝国の始まりにも影響する話であろう。国が豊かで満ち足りていたら、「資源獲得のために侵略」という意見は多数派にならない。
2008年のリーマンショックは、FRBが銀行の民間救済を仲介したりAIGに資金を供給して流動性を保つなど、ダメージを軽減することに努めて社会不安を抑えた。確かに経済のダメージは一定あったが、争乱も起こさずに収めたことは快挙だった。
金融サイクルへの対策はグレードアップされているのだ。

現在はコロナショックで生活のメカニズムや経済の流れに変化が起こり、社会不安は増している。金融対策はとられているが、ニュースを日々見ていて、以前から各国で右派の台頭に見られた外部者への怒りは社会の中で強まっているように思う。
次の対策グレードアップが待たれている。

社会不安の原因を少しずつ解き明かし対策して、平和な世の中にし続ける動きが常に必要とされているのだと改めて思う。