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ESGのトレンドとしての価値

2020-05-09 00:50:00 | 分析・観察
今月に入って、業務の都合でESGに関与しておりその奥深さを学んでいたので、公表されている情報ではあるが整理して紹介させて頂きたい。

まず、これは進化し続けるガイドラインであり、その進化は単なる呼びかけに始まるが、それが経済大国で政権にとって意味をもつ基準と考えられた場合、法規制に変わるという性質をもつ。
アフリカの内戦につながる鉱物の売買をやめようという呼びかけは、2010年のドッド・フランク法(金融規制の文脈で知られる)により規制に格上げされた。
コンゴ民主共和国から産出される一定の鉱物を製品に扱う大企業は、そのサプライチェーンを監査しなければならないのだ。
また、児童労働および強制労働について、アメリカ労働省は問題が起きている国と製品をリストアップかつ公表しており、そこからの購入をアメリカの公的セクターではサプライチェーンから排除して改善への圧力をかけている。(公式サイト

ESGへの取組みは明らかに企業に負荷をかけるため、規制がなければ世間体だけできちんと取り組んでもらうことは難しい。
このような取組みが他の先進国にも広がることで、またESG関連情報がより詳しく世界中について出てきて先進国に把握されることで、社会は改善に向かうだろう。

法的規制のほかには金融セクターが公的年金基金など巨大ファンドを中心に動き出している。
日本の株式でも大株主一覧に出ることの多いノルウェー政府年金基金は、ESGを理由にして資金引き上げを実施する。(記事
日本でも石炭火力発電に対する融資を問題視するファンドがニュースになったりするが、巨大ファンドが実際に内部で規定を設けて資本を動かしているのだ。
今後の企業経営戦略や業務プロセス改善には、明らかにESGへの配慮が影響を持つだろう。
評判というだけでなく、やがて資金調達や法規制回避のために本当に考慮しなければならなくなる実態的な存在としてだ。企業はそこに早くから無理なく対処することを考えるはずである。

過去の収益変遷を10年以上のスパンで調べたレポート。ESGが本格的な意味を持つ前までの動きを今一度おさらいするのに役立つ。


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