徒然なるままに・・・

映画よりJAZZにシフトチェンジ中・・・。

【映画感想・英、数字】 PTU ★★★ 

2005-05-02 | 【映画感想・英、数字】
ストーリー:
香港九龍半島、尖沙咀。
未明に発生した強盗事件のニュースが警官の殉職を伝えている。
同僚の訃報を背に、ホー隊長率いる機動隊=PTUのメンバーは、
夜の繁華街のパトロールへと繰り出した。
同じ頃、マフィアの大親分の息子と組織犯罪課の荒くれ刑事サァが食堂で鉢合わせ、
乱闘騒ぎが勃発。
PTUが現場へ急行すると、サァは乱闘中に拳銃を紛失してしまったことを打ち明ける。
ホーはサァの失態の報告を留保し、夜明けまでに協力して拳銃を発見しようとするが、
この一件を発端に、さまざまな思惑が真夜中の路地を迷走し始めるのだった。
(goo映画より引用)

出演:
サイモン・ヤム、ラム・シュー、ルビー・ウォン、
マギー・シュウ、レイモンド・ウォン

監督:
ジョニー・トー

ガイ・リッチーの『ロック、ストック&トゥースモーキング・バレルズ』や、『スナッチ』、
先月末に観た『ダブリン上等!』と同じように、
バラバラであったストーリーが、ある地点で1つになるというタイプの映画であります。
こういうジャンルの映画というのは、緻密な構成力がなければ難しいと思うのです。

今回監督したのは、香港の鬼才と呼ばれていながら、次々と作品をリリースしている、
ジョニー・トー。昨年秋公開『ターンレフト、ターンライト』なんて恋愛映画も撮るくらい。
でも、本来はバリバリのハードボイルドが大得意な監督さんなんです。
最大の傑作は、『ザ・ミッション/非情の掟』という映画で、
マフィアのボスを守るために雇われた用心棒達の男臭い友情に涙させられました。

で、『PTU』もハードボイルド系の作品であります。
PTU(香港警察の機動隊みたいな組織)の夜警風景、
サァ刑事の拳銃探し、サァ刑事の不信な動きを追うCID(香港の特捜警察)、
マフィア幹部の殺人事件、対立するマフィアボスの駆け引き、
麻薬取引、警官殺しの犯人とこれらのパーツが徐々に1つへ導かれる訳です。

それぞれのストーリーが、徐々に詰め寄ってくる緻密な構成は当然なのですが、
集約される各ストーリー群の盛り上げ方がカッコいい!!
PTUは、サァ刑事が失くした拳銃を同組織の男を失職させないために探そうとする姿、
サァ刑事が、マフィアの連中と対峙する食堂シーンの緊張感、
PTU、CID、サァ刑事が対峙する深夜のラーメン店での微妙な空気、
これらシーンは、会話シーンは全くなく、空気だけで相手関係を掴ませる描写に終始。
ストーリーだけでなく、突如沸き起こるド派手な撃ち合いシーンもあり、
緊張感の中に沸き起こる笑い(その笑いも、コメディ映画並!)の場面もあり、
描き方が実に絶妙で、関心させられるばかりであります。

サァ刑事がバナナの皮で滑りコケることから、複雑なドラマが始まり、
同じようにサァ刑事がバナナの皮で滑りコケることでドラマが終わる。
緊張感と脱力系笑いの紙一重の映画として、実に完成度の高い映画なのです。


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6 コメント

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TBありがとうござました (shito)
2005-05-09 21:24:56
はじめまして。TB、こちらも返させて頂きました。

なるほど、kazuki-ktさんの『PTU』及びジョニー・トー評を拝読して、彼の作品の味わい方が少しわかったような気がしました(笑)。当方も香港映画/昔の日本映画における男の絆とか仁義とかには弱いほうなのですが、ジョニー・トーはその描写がサラッとしてるというか、クールなんで、そのへんがもしかしたら個人的にのりずらい要因なのかもしれません。(「暗花」は本当に大好きなんですけどね~)

とりあえず新作『大事件』の日本公開も楽しみにしたいです。では。
コメントありがとうございます。 (kazuki-kt)
2005-05-12 07:19:36
TBありがとうございました。

ジョニー・トーは男の絆という描写は、

私的には非常に熱いものと思っていますよ。



新作『大事件』はいつ頃公開なのでしょうか?

楽しみですね。
Unknown (culty)
2005-06-08 19:25:26
こんにちわ。

TBありがとうございます。

突然で恐縮ですが、お願いがあります。

TB再度いたしますので、現在ある方を削除していただけましたら幸です。



この映画の適度の緊張感はほんとに娯楽として満足しました。

ラストタランティーノ系ドタバタ劇は最高ですね。
Unknown (kazuki-kt)
2005-06-08 19:38:57
こんにちは。TB消しましたが、これでOKですか?



ギャグとサスペンスのギリギリのラインであるのが、

いい塩梅になっていて、面白いですよね。



東京で見たのですが、

地元名古屋で公開されたら、また観たい1本です。
TBありがとうございました。 (健太郎)
2005-09-04 14:50:28
ジョニー・トウは『暗戦』『ザ・ミッション』で好きな監督なのですが、『フルタイムキラー』『マッスルモンク』で株を下げてしまったので「今度こそは」と少し甘くなっていたので、「オチがねえ」と厳しい方も居ますが私は楽しめました。

相変わらず綺麗な映像と、切れのある話だったと思います。

画像のCIDのお姉さんも良かったです。
私も楽しめました。 (kazuki-kt)
2005-09-06 23:10:59
健太郎さん、コメントありがとうございます。



『暗戦』、『ザ・ミッション』は傑作。

今回はそれより落ちる出来栄えではありますが、

緊張感と脱力感が渾然一体となってて、

メリハリがあり、それはそれで面白かったですね。



10月にDVDが出るらしいので、

もう一度観てみたいと思っています。