・ストーリー:
1945年8月8日の長崎。
一組の結婚式が行われようとしていた。
花嫁は看護婦のヤエ、花婿は工員の中川庄治。
祝いの席で、姉のツル子が陣痛を訴えた。
ツル子の家には産婆がやってきて、「産まれるのは夜になる」と告げた。
ヤエの妹・昭子は恋人の長崎医大生・英雄と会っていた。
英雄は赤紙が来たことを告げ、その現実に涙にくれていた。
庄治とヤエは初夜を迎え、ツル子は男児を出産した。
誰もが明日に向かって精いっぱい生きていた。
8月9日の朝、一機の飛行機が長崎上空から一発の爆弾が落とされ…。
(goo映画より引用)
出演:
桃井かおり、南果歩、仙道敦子、佐野史郎、田中邦衛、
黒田アーサー、長門裕之、なべおさみ、殿山泰司
監督:
黒木和雄
映画監督・黒木和雄。06年4月12日死去。享年75。
監督への追悼、そして、遺作『紙屋悦子の青春』の公開と相俟って、
名演小劇場にて、『追悼、黒木和雄監督特集』が上映された。
今回観たのは、88年製作の『TOMORROW 明日』。
キャストは今観ても豪華だし、みんな若い(当たり前)のであるが、
個人的には、愛知県出身でもある仙道敦子の顔が懐かしい。
この作品は『ユナイテッド93』同様、映画の結末は誰もが承知。
それは、長崎に原子爆弾が投下される前日を描いているからだ。
その瞬間が訪れるまで、妙な緊張感に襲われてしまったのである。
緊張感と書いたが、作品中にサスペンスフルな場面は存在しない。
描かれるのは、長崎に暮らしている市井の人々である。
本当に戦時中なのかと思えるほどのどかな風景が淡々と描かれる。
ある男女が結婚しようとしている。ある女性の子供が産まれようとしている。
ある娘は、妊娠したことを愛する人に伝えられないでいる。
また、ある娘は、愛する人が戦地に赴かんとする姿に涙している。
喜びも悲しみもある。貧しくも皆日々を生きようとしていた。
隣近所の人々が、力を合わせて生きようとする姿が印象的だ。
登場する人々が口々に「明日」という言葉を発する。
「明日になれば幸せになれる。」「明日会おう。」「明日あそこに行こう。」
ありふれた会話であるのに、とても切ない気持ちになってしまう。
明日が訪れる喜び、平和な日々に感謝したくなる。
黒木監督の狙いは、
罪のない市井の人々が戦禍に巻き込まれる悲惨さを描いている。
日本だのアメリカだの誰が悪い・誰の戦争ということは関係なく、
戦争に従事していない全ての人々こそ、最大の被害者である。
彼らの犠牲は理不尽であり、夢も希望も吹っ飛ばしてしまうのだから。
そんな戦争への苛立ちを黒木監督は描いたのだと思う。
繰り返しになるが、当たり前にやって来る明日。
その当たり前の暮らしに日々感謝するばかりである。
※余談
エンドロールの助監督に三池崇史の文字が。
この頃から、下積み修行をしていたんですね。
1945年8月8日の長崎。
一組の結婚式が行われようとしていた。
花嫁は看護婦のヤエ、花婿は工員の中川庄治。
祝いの席で、姉のツル子が陣痛を訴えた。
ツル子の家には産婆がやってきて、「産まれるのは夜になる」と告げた。
ヤエの妹・昭子は恋人の長崎医大生・英雄と会っていた。
英雄は赤紙が来たことを告げ、その現実に涙にくれていた。
庄治とヤエは初夜を迎え、ツル子は男児を出産した。
誰もが明日に向かって精いっぱい生きていた。
8月9日の朝、一機の飛行機が長崎上空から一発の爆弾が落とされ…。
(goo映画より引用)
出演:
桃井かおり、南果歩、仙道敦子、佐野史郎、田中邦衛、
黒田アーサー、長門裕之、なべおさみ、殿山泰司
監督:
黒木和雄
映画監督・黒木和雄。06年4月12日死去。享年75。
監督への追悼、そして、遺作『紙屋悦子の青春』の公開と相俟って、
名演小劇場にて、『追悼、黒木和雄監督特集』が上映された。
今回観たのは、88年製作の『TOMORROW 明日』。
キャストは今観ても豪華だし、みんな若い(当たり前)のであるが、
個人的には、愛知県出身でもある仙道敦子の顔が懐かしい。
この作品は『ユナイテッド93』同様、映画の結末は誰もが承知。
それは、長崎に原子爆弾が投下される前日を描いているからだ。
その瞬間が訪れるまで、妙な緊張感に襲われてしまったのである。
緊張感と書いたが、作品中にサスペンスフルな場面は存在しない。
描かれるのは、長崎に暮らしている市井の人々である。
本当に戦時中なのかと思えるほどのどかな風景が淡々と描かれる。
ある男女が結婚しようとしている。ある女性の子供が産まれようとしている。
ある娘は、妊娠したことを愛する人に伝えられないでいる。
また、ある娘は、愛する人が戦地に赴かんとする姿に涙している。
喜びも悲しみもある。貧しくも皆日々を生きようとしていた。
隣近所の人々が、力を合わせて生きようとする姿が印象的だ。
登場する人々が口々に「明日」という言葉を発する。
「明日になれば幸せになれる。」「明日会おう。」「明日あそこに行こう。」
ありふれた会話であるのに、とても切ない気持ちになってしまう。
明日が訪れる喜び、平和な日々に感謝したくなる。
黒木監督の狙いは、
罪のない市井の人々が戦禍に巻き込まれる悲惨さを描いている。
日本だのアメリカだの誰が悪い・誰の戦争ということは関係なく、
戦争に従事していない全ての人々こそ、最大の被害者である。
彼らの犠牲は理不尽であり、夢も希望も吹っ飛ばしてしまうのだから。
そんな戦争への苛立ちを黒木監督は描いたのだと思う。
繰り返しになるが、当たり前にやって来る明日。
その当たり前の暮らしに日々感謝するばかりである。
※余談
エンドロールの助監督に三池崇史の文字が。
この頃から、下積み修行をしていたんですね。