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【映画感想・ラ行】 ロード・オブ・ウォー ★★★

2006-01-19 | 【映画感想・ラ行】
ストーリー:
ソビエト連邦崩壊前夜のウクライナに生まれたユーリー・オルロフは、
少年時代に家族とニューヨークへ渡り、
両親が営むレストランを手伝いながら育った。
ある日ロシア人ギャングの銃撃戦を目撃したユーリーは、
レストランが食事を提供するように、
戦場に武器を供給する仕事をしようと決心する
。弟のヴィタリーとパートナーを組み、
闇の世界に足を踏み入れたユーリーは、混沌とした世界情勢を追い風に、
瞬く間に世界有数の武器商人へと上り詰めていく。
だが、その動向を嗅ぎつけた
インターポールのバレンタイン刑事が背後に迫っていた。
(goo映画より引用)

出演:
ニコラス・ケイジ、イーサン・ホーク、ジャレッド・レト、
ブリジット・モイナハン、イアン・ホルム

監督:
アンドリュー・ニコル

「世界には、12人に1丁の計算で銃がある。目指すは「1人1丁」の世界」。
主人公であるユーリ・オルロフが、空の薬莢が道一面に散りばめる中で突然話し出す。
語るのは、ユーリの人生そのもの。「武器商人」としてどう生きてきたかの履歴だ。
その内容は、ブラックで血生臭いのであるが、全編がユーモアに満ち溢れている。

ニューヨークの「リトル・オデッサ」で育ったユーリーは、
両親の営む飲食店と同様に、殺すための武器の売買は儲けになると踏んだ。
彼が、「食すること」と「人を殺す機器」をイコールと結びつける思考も凄いのだが、
その思考がなければ、ユーリーは財をなすことはできなかったに違いない。
ビジネスチャンスと言うのは、未開の土地に踏み込んでこそ勝機があると言える。
生活環境が劣悪だからこそ閃いたとしか思えないこともあるが、
そんな閃きだけではビジネスは成功するものではない。

ユーリーには、世渡り上手の姿勢があった。喜怒哀楽を表に出さないと言うか・・・。
彼がロシア軍高官に知り合いがいるという偶然はあるものの、
冷戦崩壊で不要となった戦車、大砲、ヘリコプター、カラシニコフなんかを大量に買い付ける。
(軍用品の数々が、並んでいる光景は唖然としつつ、おぞましさを感じる。)
しかしながら、ユーリーと同類の武器商人達もそれらを狙っている。
弱小勢力のユーリーは、他の高官にもスマイルを絶やさない。
そして、欲しいものを与え続ける。おかげで、知り合いは命を落としてしまうのだが。
大量の武器を仕入れた彼は、アフリカの独立戦線の兵士達へそれらを供給。
彼のスマイルな心は、残虐な武装集団のリーダー、
血も涙もない人殺しが美学のような国家元首を相手にしても変わらない。
殺しある所に武器あり。リスクある所に勝機あり。
ユーリーは、究極の心配りでもって、更に巨万の富を築いていく。

そして、監督のブラックさが炸裂するのがラスト近辺。
「必要悪」であることを認識させられる場面だ。
ユーリーは、財産を武器の不正売買によるものとして、捕まってしまうのだが、
取り調べも中途半端なまま、釈放されてしまう。
彼のバックには巨大な武器市場を牛耳る国家が控えているのだ。
ユーリーの姿は、絵空事のように思いながら眺めていたはずが、
このシーンで一気に現実に戻されてしまう感覚を憶えるに違いない。

結局、彼は必要悪であり続けることを選ぶ。家族も捨ててしまった。
ユーリーはお金を選択したのではない。武器供給の1コマにならざるを得なかった。
即ち、そうしなければ、彼は生き残ることはできないからである。
武器を供給するのは、国連の常任理事国5ヵ国が武器輸出でも上位5位となっていて、
ただのユーモアが、最後の最後で笑えないユーモアでクローズするあたりが見事な作品だ。


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2 コメント

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Unknown (pathos_mie)
2006-02-05 19:47:23
はじめまして。多くの映画を見てられて凄いですね。

お気に入りさせてください。
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コメントありがとうございます。 (kazuki-kt)
2006-02-09 23:13:30
pathos mieさん、はじめまして。



お気に入りに入れて頂いてありがとうございます。

私のようなショボいブログを楽しんでもらえたら嬉しいです。



今後とも宜しくお願い致します。
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