働く本屋には、無数の封書が送られてきて、その9割以上は捨てられて、もったいないなーと思っていますが、その中の一つにこの展覧会の招待券が1枚だけ入っていて、これは、と感じて取っておきました。
行きました。やはりすばらしかった。
観たことない絵ばかり。しかもよりすぐり。さすがスイス、永世中立国、ふところの深さを思い知らされました。
私、脱稿して、少し気が抜けていたのですが、新たな創作意欲がわいてきました。
平面に絵具で描かれた絵が、絵だけに留まらないふしぎ。絵を観たがる人たちのふしぎ。
絵が見える人ばかりではない。絵が見えるような文章を書きたいと思った。
絵は、いつも見ている景色の一部が凝縮されたもの。景色は外部だけに限らない。抽象画はこころの感触を描いている。
ムンクといえば叫びだけだったのに、肖像画、造船所のなまなましさ。
ゴッホの「サント=マリーの白い小屋」は、配色や構図が完璧だ。
「難民」というバルラハの木彫は思わず触りたくなる慈しみにあふれている。
ココシュカの「モンタナの風景」は苦しみの乗り越えた明るさに輝いている。
イッテンの「出会い」は出会いを抽象表現したものだがよくわかる。
モネの「陽のあたる積み藁」の影は黒じゃない、白も青も入っている。
ホドラーの「遠方からの歌」はわざと背景が塗り潰されそこからもれる模様、歌が人を後押ししている。
やっぱり大好きなシャガール。「戦争」に描かれる山羊は生命の象徴なのだろう。
描く人、それぞれに独自の線、色、図、対象があり、だからこそおもしろい。
どこで作家たちは描くのを止めるのだろう、完成したと感じるのだろう。それも人それぞれなのかもしれない。
どれも力作ばかり。行って損はないと思います。コーヒー飲むのに延々並ばされたのだけ不満でしたが。
帰りに50枚原稿用紙×5とインク1瓶買ってきました。
さ、また創ろう。回復しました。画家たちに感謝。封書の雨あられにも、ちょっと感謝。
国立新美術館にて/2014・12月15日まで
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