夜空を見ないことにしている猫がいて、星さえも探さない。
小さなころ教えられた星の名前も忘れて、いつも文句ばかり言っている。
「一人ぽっちになったら、あの北の星を目指すんだよ」といつも言っていた
おじいさんがいなくなり、あてもなくさまよって何とか生きてきた猫。
長い間俯いてばかり歩いてきたから、自分がどこにいるかさえ分からなくなってしまった。最近は昔みたいに仲間も外にはいなくなって、ひとりぽっちである。そんな猫を僕はずっと見てきた。
「さあ、こっちへおいで」と手を伸ばすと「にゃ~」と甘えてきた。
「あれが、じいちゃんの星。そしてその隣がお前の星だよ」
ようやく迎えにこれたおじいちゃんが、優しく猫を抱きしめて、静かに空へと旅立った。
こんな風に、時は流れているのかもしれません。
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