我生まれいづるは汝の中に
洸輝の背中、首筋、手をあてていた場所が熱を持つ。
自分が放つ儚くて禍々しい炎の熱とは違う。しっとりとした優しい熱が
身を焦がす。堪らず握り締めた洸輝のシャツの布の柔らかい感触とは
別に硬いすべすべとした何かが手の中に現れた。手を握り締めたまま
目前へと持ってくる。洸輝も郷の手を見つめる。こわごわと開いた
手の平には透明な少し大きめの水晶の珠。
中に浮かんでいたのは『仁』の文字。
「それは俺の珠」
「え?」
「持ってたけど、俺の身体の中のあちこちに粉々に砕けて埋まってた」
元の珠に戻して身体の外に出すには、もう一つの珠の力が必要だった。
だから今取り出すことが出来た。
「その時が来るまでずっと待ってた」
「でも、俺はこんな珠持ってへんよ」
「だから、今度は郷の珠を取り出そう」
郷は珠と洸輝の顔を交互に眺めた。洸輝の身体を支えていた、珠を持って
いない方の郷の手を離すと、洸輝は指を絡めるようにしてその手を繋いだ。
「その珠を俺に返して。それで、郷はそのままさっきみたいに手を俺の胸
にあてていて」
郷は座り込んだまま、洸輝の身体を向かい合わせとなったまま、手のひらを
心臓の辺りに当てる。洸輝は受け取った珠を握り締めた。じわりと体温が上がる。
身体のあちこちを焦がされていくような部分的な熱さが痛みとなって流れ込んで
くる。
洸輝の背中、首筋、手をあてていた場所が熱を持つ。
自分が放つ儚くて禍々しい炎の熱とは違う。しっとりとした優しい熱が
身を焦がす。堪らず握り締めた洸輝のシャツの布の柔らかい感触とは
別に硬いすべすべとした何かが手の中に現れた。手を握り締めたまま
目前へと持ってくる。洸輝も郷の手を見つめる。こわごわと開いた
手の平には透明な少し大きめの水晶の珠。
中に浮かんでいたのは『仁』の文字。
「それは俺の珠」
「え?」
「持ってたけど、俺の身体の中のあちこちに粉々に砕けて埋まってた」
元の珠に戻して身体の外に出すには、もう一つの珠の力が必要だった。
だから今取り出すことが出来た。
「その時が来るまでずっと待ってた」
「でも、俺はこんな珠持ってへんよ」
「だから、今度は郷の珠を取り出そう」
郷は珠と洸輝の顔を交互に眺めた。洸輝の身体を支えていた、珠を持って
いない方の郷の手を離すと、洸輝は指を絡めるようにしてその手を繋いだ。
「その珠を俺に返して。それで、郷はそのままさっきみたいに手を俺の胸
にあてていて」
郷は座り込んだまま、洸輝の身体を向かい合わせとなったまま、手のひらを
心臓の辺りに当てる。洸輝は受け取った珠を握り締めた。じわりと体温が上がる。
身体のあちこちを焦がされていくような部分的な熱さが痛みとなって流れ込んで
くる。