《間もなく着陸》の旨を告げる機内アナウンスとともに機体の軽い揺れを感じ、はっと目を覚ます。朝が早かったせいで、少しうとうとしていたらしい。
窓の外を見やると、大地に細く長く延びて交差する灰色の線と、赤や青や灰色の固まり、濃緑で縁取られたきらきらひかる水たまりがいくつも見えた。陸地は見る間に近づき、線やごちゃごちゃした固まりに見えていたものが道路や建物の姿を取っていく。
水たまりに見えたものは、ため池だった。植物が密に池の縁を覆って、なだらかな緑の線を描いていた。そうと知って驚いたのは、日本でコンクリ護岸で灰色に縁取られ、直線的なフォルムを描くため池を多く見てきたからだ。ため池の周囲にはこれもまた緑に縁取られた、大小さまざまな形の水田がパズルのように組み合って広がり、それぞれの水田には青々としたイネが植わっている。あまりにも日本とは違う田園風景に思わず見とれている間に、機体は徐々に高度を下げ、建物をかすめるように着陸した。
機内から出た途端、10月末とは思えないほどのむっとした熱気と、香辛料のような匂いがかすかに鼻を打つ。台湾に到着したのだ。
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滞在2日目の朝は、やや曇り気味だった。ホテルでおかゆと魚の唐揚げ、青菜のおひたし、漬け物、ニラ入り炒り卵の朝食を摂った後、雨に降られないことを祈りつつ、いざ関渡自然公園へ。
ホテルから目的地までは、MRTとバスを乗り継いで約1時間。ちなみにMRTは台北市内を網羅する電車で、市内中心部は地下化されている。タクシーに比べて安くて早い上に、4-5分おきのダイヤで殆ど待たずに乗れる。シートはプラスチックだが乗り心地は快適。駅構内は近代的で、全線喫煙・飲食禁止(違反すると重い罰金刑が科される)ということもあり、びっくりするほどきれい。
MRTの駅近くで、胡椒餅などの台湾名物のパンを並べる売店を見つけた。市内の至る所に、こういった軽食を売る小さな店がひしめき合っている。どれにしようか迷っていると、親切な女性客が日本語でパンの種類を教えてくれた。お礼を言って、干し果実と香辛料で味付けされた甘い肉入りパイと餡抜きで堅めに焼いた、ほんのり甘いパンを買った。適当な食堂が無ければ、これをお昼にするつもり。
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中国のお寺に似た外観のMRT関渡駅の改札を抜け、関渡自然公園行きのバスに乗り込む。行き先を書いたメモを運転手さんに見せ、下車場所を教えて貰って無事到着。漢字文化圏で良かった(笑
続く(ぇ
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