カヤ日記

活動する研究者、かやちゅ。@カヤニストの行動記録
カヤネズミの研究&保護活動や野生生物の保全に関する話題をつれづれに

9.16洪水後の桂川

2013-09-19 | フィールドノート

2013年9月16日に近畿地方を直撃した台風18号は、各地に大きな爪跡を残した。
桂川も、数十年に一度の規模と言われる大規模な洪水が起こり、カヤネズミの生息地も壊滅的な被害を受けた。

台風の前の週に、調査地全体の営巣調査に入り、数十個の巣と1リターの子どもを確認していた。
酷暑を乗り越えて、いよいよ秋の繁殖シーズンに突入したね、と調査メンバーで話していた矢先のことだった。

翌日の17日、調査地の状況を見に行った。
まだ、川に下りられないかもとも思ったが、ともかく状況を確かめたかった。

調査地の様子は、洪水前と一変していた。
幾つかの巣は、2m以上の高さに作られていた。もしかしたら残っているかも知れない。
洪水前に取り付けた観察機材も、どこかに引っかかってくれていれば、とも思っていた。
そんな希望は、川を見た瞬間にあっさりと打ち砕かれた。


洪水4日前(9月12日)


洪水後(9月17日)

河川敷の植物は、全て泥をかぶって、茶色く変色していた。
草の色の変色から、堤防から1.5~2mほどまで、水位が上がっていたことがわかった。


河川敷に下りた状態。右手が右岸側の堤防。

全ての植物が、水流の勢いで上流から下流側へ一方向に倒されていた。
オギの高さは、高いところで3mを越えた場所もあったが、水位はそれよりも高く、完全に水没していた状態。


子どもを確認した場所は、水の勢いで、オギが根っこからめくれ上がっていた。


洪水前に確認した巣は、一つも見つからなかった。
かろうじて、巣の位置を示したテープが3カ所で確認できた。
一部の個体でも、堤防の上部に逃げ延びてくれていることを願っている。

今後、生息地の回復には年単位の時間がかかるだろう。
この場所で調査を継続されされている、モニ1000里地のカヤネズミ調査員の方々とも協力して、今後の回復過程を見て行きたい。



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