華宵の趣味の部屋

読書・美術…その他諸々の趣味を片寄った視点で♪

レインツリーの国

2012-11-21 12:59:06 | 読書
『レインツリーの国』有川浩・著/新潮文庫

最近、有川さんの本を読むことが多くなった。
何故かというと、会社の人が貸してくれるので。

元々とても好きな作家さんです。
今までも『植物図鑑』『クジラの彼』『阪急電車』『三匹のおっさん』『キケン』等々…
と、読んできました。

有川さんの本は、とても言葉の使い方というか、言葉の力が強い気がします。
私が見て見ぬ振りしているような感情が、目の前に降ってくるような…
それこそ表現できてませんが、そんな感じです。
それはある種の正直さなのかもしれません。

さて、『レインツリーの国』です。
主人公が10年以上前に読んだライトのベルの感想をネットで検索する所から物語が始まります。
そこで、ある女性のブログの感想に辿りつきます。

ネット上の交流という、直接ではないからこそ出来る大胆さで、主人公と女性のメールのやりとりで進んでいくのですが…

そのメールのやりとりがすごいテンションで、読んでいるこちらも同じ様な気持ちになりました。
なんでしょうね、普段なら絶対に言わない照れくさい言葉が出てくるんですよね。
本の中では「青春菌」と呼ばれてましたが。
あるマンガに言わせると、「恥ずかしい言葉禁止ーーー!!!」とか聞こえます。

男女がいれば恋愛に発展するもので。
元々良い感情を持っている同士だったら余計ですよね。
でも、そう素直にいかないのが有川作品であって。



ココからはネタばれになります。



会うことになった二人ですが、メールでのやりとりのように盛り上がりません。
それは、女性が聴覚障害者だったからです。
それも、女性は最後まで隠そうとしていたので、主人公は気づけませんでした。

女性の立場から見ると、とても切なかったです。
「普通の女の子として、普通のデートをしたかった」
そんな風に読めました。


私もこの本を読むまで無知でしたが、聴覚障害にも色々あるんですね。
この『レインツリーの国』は、決して厚い本ではありません。
文庫本なんて、とっても薄いです。
しかし、その内容で学べる事が沢山ありました。

読んでいて思ったのは、障害があろうとなかろうと、色々な人がいるという事。
それぞれ性格があって、色々な思いをしているという事。
ただ…
障害があるということは、それだけで何かが制限されてしまいます。

私が昔に読んだマンガで、
「健康だけが全てじゃないかもしれない。でも健康でなければ全てがない」
という台詞がありました。
今でも覚えています。衝撃でした。確かにそうだ、と。


障害のある方の気持ちは分かりません。
私の身内にもいますが、やっぱり分かりません。
辛いこともあるだろうし、哀しい思いもあると思います。
そう分かっているのに、分かっているはずなのに、私は優しくできていません。
面倒だと思ったり、イライラしたり。
「そのくらい当然でしょ」と思ってしまう。
とても嫌な部分です。
でも、その部分にまで気づかないようにはなりたくない。

そうしていくうちに、何か変われるでしょうか。
変われると思いたいです。


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