わたしは、ネイチャーフォトとしての野鳥写真を中心に楽しんでいますが、もっと被写体を広げたいとはいつも思っています。これまでも、自然風景を撮ったり、花を撮ったりとはしているのですが、あまり納得がいくものが撮れたことはありません。それでも惹かれているのは、「野生の創造物」です。その中で何度か挑戦した被写体が「蜘蛛巣の巣・蜘蛛の網」です。そのなかでもマクロレンズを使っての、プリズム効果を撮ったものには魅力を感じ、何度かチャレンジしてきました。これはわたしの好きな写真家のひとりである江口愼一さんの写真集でも何度か見ているもので、野生の生き物が創造したものが、太陽の光によって見ているものとは違った世界を創る面白さがあります。
これが一番最近撮ったものです。このプリズム効果を撮れるのは、新しい網であることが条件の一つです。そして、できるだけ小さなものであることも必要です。接写するので、できれば部分ではなく全体か撮れねものの方がいいのではないかと思っているのです。この作品は、私の家の玄関で作られた網を見つけて撮ったものです。
しかし、まだわたしにはどう撮ることがいいのかが解っていません。ただキレイに撮ったものがいいとは思えないのです。ですから、自然の創り出す不思議さがどう撮れば表現できるのかが解らないのが現状なのです。真似のできない自然=野生の創り出す不思議な造形に、自然のなかで最も大切にしなければならない太陽の光によって現れる情景が少しでも表現できればとは思っているのですが。