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もし70歳から受け取り始めて100歳まで生きたとすると、受け取れる年金の額はだいたいそれまでに受け取った給料の50%くらいになります。(1)

2024-06-21 22:20:57 | 森羅万象

 

 

(2024/6/21)

 

 

『数字で話せ!』

「世界標準」のニュースの読み方

高橋洋一 エムディエヌコーポレーション  2023/11/17

 

 

 

はじめに ~「数字で話せ」が世界の常識

・私はいつも「世界標準」ということを頭において話をしています。

 

・世界標準とは、「世界の常識」ということです。

 

・「世界標準で物事を考える」とはどういうことでしょうか。政治、経済、安全保障といった局面それぞれに世界標準は各論としてありますが、その大元にはまず「数量化されていない議論は議論にならない」という前提があります。「数字で話せ」が世界の常識です

 

<●科学的根拠のない、中国からの「処理水」への批判

・農林水産省の発表データによれば、中国が輸入停止した水産物の、2022年の日本から中国への輸出総額は871億円。

 

・ただ、問題は、作為不作為はともかく、中国側が処理水を科学的に評価しない、つまり「数字で考えることをしない」ことにあります。

 

・生体濃縮による公害としては、水銀中毒の水俣病が知られています。基礎的な科学的知識として知っておくべき水銀とトリチウムの決定的な違いは、前者は金属だから溜まるのであり、後者は水に似ている性質を持っているので溜まらない、ということです。

 

<●日本復興のカギは“数量的な思考法”>

・これはつまり、福島第一原子力発電所の処理水放出というアクションが世界標準に即し、世界の常識に適っているということです。

 したがって中国政府が、世界標準から外れた常識知らずであるだけです。

 

・日本人は「世界標準」を甘く見ているか、あるいはそういったものについて無知と言わざるをえません。数量的に物事を考え判断することをせず、世界の常識に鈍感です。

 

・2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻で、第2次世界大戦後の国際秩序の枠組みは一挙に破壊されました。ロシアの暴挙をどのように抑えるか、今後の国際秩序はどのように組み立てられるのか。今は誰もその答えを見出せずにいます。

 

・そのような状況のなか、日本にますます必要となるのは、世界標準を押さえた上での国内問題への取り組みと対外的問題への取り組み、そして国民の、それを「正しく数量的に評価するセンス」です。

 

日本経済を“数字”で再確認する

景気回復の世界標準は「増税」ではなく「財政出動」

<●「国の借金1000兆円」を正しく理解する

・「日本にいま借金が1000兆円以上ある」などということは何の評価対象になるわけでもありません。問題は、この「日本の純資産はマイナス687兆306億5000万円」をどう見るかということです。

 

<●「統合バランスシート」で、国家財政を見るのが基本

・マイナスの約687兆円という数字はもちろん一般人にとっては途方もない数字ですが、政府の話として見ると実は問題のないレベルの数字です。さらに言えば、今まで見てきたのは政府のみの一般会計・特別会計です。ところが政府は、いろいろな「子会社」ともいうべき組織を持ち、いわゆるグループ企業となっています。つまり、政府のバランスシートにはこれらグループ企業のバランスシートを連結させなければならないのです。

 

・日銀の「資産」の中で際立って大きな数字は「国債」の526兆1736億9875万2394円です。そして、日銀の「負債」のなかで際立って大きな数字は「当座預金」の563兆1784億8687万9201円と「発行銀行券」の119兆8707億7589万8807円です。

 

・ポイントは、いずれにせよ「当座預金」は「発行銀行券」といつまでも代替でき、「発行銀行券」は日銀にとって「負債」ではあっても無利子・無償還である、つまり、「実質的な借金ではない」ということです。ですから、返す必要はありません。

 ということは、日銀のバランスシートについては、「負債」はほとんどゼロであると読むことができます。

 

・そして日銀のこの「資産」の数字は、日本政府のバランスシートに連結させることができます。日銀の「資産」約526兆円が、ほぼそのまま政府の「資産」に加わりますから、政府の「資産・負債差額」はマイナス約687兆円からマイナス161兆円まで下がります。

 なお、政府のバランスシートはマイナス、つまり負債が少し多いくらいであれば、まったく問題ありません

 

・このように、政府と日銀のような中央銀行のバランスシートを連結したものを「統合バランスシート」と呼びます。政府の財務状況は統合バランスシートで見るのが現在の世界標準です。

 

<●「政府の借金」と「個人の借金」はまったく違う

・そして国債については、知っておいた方がいいポイントが2つあります。日銀が国債を買い取ると政府の借金は消えるということがまず1つ。もう1つは、政府が日銀に払った国債の利払い費は納付金というかたちで日銀から戻ってくるということです。

 

・日銀はお札を刷り、そのお金で国債を買います。国債を買ったことで生じる利払いとの差額がまるまる日銀の収益となります。そして、政府はその収益を100%受け取ります。これがいわゆる「日銀納付金」と呼ばれるもので、「日銀は政府の子会社」という言い方の根拠となるものです

 

・元金については現金で償還するのが普通ですが、国債を持っているのは日銀ですから現金を使う必要はありません。どうするかというと、償還期限がきたら国債を渡します。いわば100%の借り換えをずっと繰り返すわけです。

 

・残る約587兆円の国債は確かに事実上民間からの借金ですが、一方で政府は500兆円を超える金融資産を保有しています。この金融資産で入ってくる利息は、国債の実際の利払いとトントンまたは黒字が出るくらいのものになります。つまり、政府の借金というのはたいした問題ではないということができるのです。

 

<●消費増税による景気悪化は実証済み

・現・岸田文雄政権はアベノミクスを潰して、財務省主導型の増税路線に舵を切ったように見えます。昨今、「ステルス増税」という言葉がよく使われるようになりました。

 

・日本にはこれまでインボイス制度がありませんでした。消費税非課税業者は、消費税を取りつつ、それを納税せずに自分の利益とすることが認められていました。いわゆる「益税」です。インボイス制度は、各取引において消費税を明記し、益税、いわば税のゴマカシを一掃しようという制度です。

 

インボイス制度のような、税の公平性が確保される制度は世界の常識です。公平性の確保によって増収になるのであればなお良いということになるでしょう。

消費増税で景気が悪化することは、2014年に消費税が5%から8%に、2019年に8%から10%に引き上げられたときの景気動向から実証済みです。

 

・消費増税は、「消費が落ちる」と「政府需要が上がる」の2点に対して大きな影響力を持ちます。

 

したがって、問題は「消費が落ちる」です。とにかく税金は強制ですから、消費マインドというものに大きく影響します。そこから波及するのは悪影響でしかありません。

詳しい説明は省きますがこの影響を経済の基本である需要と供給の関係図に落としこんでみると、明らかに「物価が下がり」「実質GDPが下がる」のです。これが消費増税で景気が悪化するメカニズムです。

 

・「長期的には、われわれはみな死んでいる」という名言を残したのはイギリスの経済学者・ケインズです。「長期的」とばかり言う経済学者や評論家の言説はまず疑ってかかった方がいいでしょう。

 

・世代間格差に限りませんが、格差を是正するのであれば所得税を増税するのが適当です。

 

<●まったく問題がない、日本の国家財政

・矢野氏、そして財務省もまた、この「ワニの口」と称される一般会計収支の不均衡と債務残高の大きさだけを財政危機ないし財政破綻の根拠としているわけですが、これはデータとしては欠陥品です。

 

いずれにせよ、先にお話しした通り、日銀を連結したバランスシートで評価すれば日本政府の財政は危機ではありません

金融工学の立場で見てみましょう。企業や国などの破綻リスクを売買するデリバティブを「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」といいますが、日本国債の5年CDSの評価から換算すると、日本の5年以内の破綻確率は1%にも届きません。

 

<●財務省が脅しをかけ続ける理由

・その兆しさえないにもかかわらず、財務省はいまだに「財政破綻」を唱え続けています。

 

・そもそも国家財政を借金の側面だけで考えるのは、会計学、金融工学から見ておかしな話です。世界標準の一般常識が財務省には通じないのです。

 

・財務官僚のなかには、国の財政状況は会計的な財務諸表ではわからない、と高を括っている人もいますが、企業会計から派生した「公会計」、つまり国や地方公共団体に特化した会計処理理論があり、そこでこそ会計原理がフルに機能しているのが世界の標準なのだ、ということを知るべきでしょう。

財務省はどうして財政破綻論を唱え続けるのでしょうか。それは、財務省が隙があれば増税に踏み切りたい人たちの集団だからです。財政破綻論は増税のために存在します。

 

・増税にはほぼ必ず「例外措置」が設けられます。

 

・この例外措置がどこにどのようにとられるか、それは財務省のさじ加減で決まります。もちろん、そこにはもっともらしい理屈がつけられるわけですが、裏で働いているのは、特別扱いすることによって得られるその業界の利益計算です。目的は、その業界における“天下り先の確保”です。

 

<経済の基礎を学び、個人資産の運用を>

<●「借金」=「悪」ではない>

・中国の恒大集団は国営企業で、国営銀行があるからなんとか資金繰りされているのでしょうが、この負債はいつか誰かが負担しなくてはなりません。

 

・帳簿価格と実質価格に差があると損になる可能性があります。その差額のことを「不良債権損失額」といいます。「不良債権額」と「不良債権損失額」は違います。

 

・同様に、返済の方も現在価値化することができます。収入と返済の両方を現在価値化してバランスシートに足し算していくと、収入の現在価値の方が負債の現在価値よりも大きいということがわかるはずです。

世の中の多くの人は、資産とは何かということがよくわかっていません。したがって負債あるいは借金を問答無用でよろしくないものとして考えてしまいます。

 

<●そもそも「投資」とは何か

・2023年の9月頃、投資に関連して、よからぬ出来事がありました。私の名を騙って投資勧誘する、FacebookやLINE上でのSNS広告が出回ったのです。

 もちろん、これらは私に無断で行われたものです。

 

・また、そもそも私が投資のアドバイスをするはずがないことを知っていたので、これは詐欺広告だと判断した人もいたようです。私は日頃から、「本当に有利な投資情報を知っているなら、わずかな助言報酬で他人に教えるよりも自分が投資する方が合理的である」と公言しています。

 

・ただし、「貯蓄から投資へ」というのは、私に言わせれば、「何を言っているの?」という話です。多くの人は、おそらくは「貯蓄」と「投資」は違うものだと思っているはずですが、ここに誤解があるのです。

 

・これは経済学上の有名な原理です。「所得から消費を引いた数字が貯蓄であり、それは投資と同じ額である」という言い方をします。

 そういう意味において、貯蓄は投資と同じです。貯蓄はすべて投資となるわけです。したがって「貯蓄から投資へ」というのはわけがわかりません。経済学を勉強したことのある人はまずそう考えるでしょう。

要は、政府は、銀行に預金するよりも株式を直接買った方がいいと言っているわけですが、預金というかたちで銀行を経由して行う投資ではなく、銀行ではなく証券会社を経由して行う投資を勧めているわけです。これははっきりいって証券会社の回し者に近い言い方です。

 

・所得を増やせば、所得から消費を引いた数字が貯蓄ですから、自動的に貯蓄が増える、つまりは投資が増えるということになります。所得を増やすために一番最初にやらなければならないことは失業率の改善であり、失業率が下がれば賃金も上がって所得も増える、という話をしたのです

 

・本当は所得全体の倍増を目指すべきであるところが、結果的に証券会社の肩を持つだけの話になってしまっているといえるでしょう。これは、株式になじみのない官僚だからこそ陥りやすい間違いの典型例でもあります。

 

<●「おすすめ資産運用」の真実

・私は、私とまったく関係のない会社の社員を私のお金で養うような慈善事業をやるつもりはありませんから、基本的に、いわゆる投資はやりません。

 

・どうしても投資をやりたい人に対しては、私は国債を勧めることにしています。

 

国債の利回りが預金金利より高いという状況は他国ではありえないことです。世界のどの国を見ても、たいていは国債の金利が一番低く、銀行預金の金利がそれより少しだけ高くなっています

 両者が逆転している日本は異例です。銀行は高い利回りの国債を買う一方、国債より金利の低い預金を受け入れて、その利ざやで儲けています。こんなやり方がまかり通っているのは日本くらいのものです。

 この話をするたびに各方面から抗議や脅しの類がくるのですが、私は誰が見ても明らかな事実を言っているだけです

 

<●企業の本当の顔を知る「PL」の読み方

・お金が余っているからという理由で株式市場に手を出すのはやめておいた方がいいでしょう。「割引率」といった用語の意味もよくわからない人であればなおさらです。

 

・日本の株価は、アメリカの株価と為替の動きでだいたい決まります。為替の変動がない限り、アメリカの株価の動きのみで決まるのです。

為替の変動は、ドルと円の関係であれば、アメリカと日本の金融政策の差で決まります。アメリカが金融緩和すれば円高傾向となります

 

・有価証券報告書のなかで、ある企業が「いま起こっていること」に関連する企業であるのかどうかを調べるのに使えるのが「損益計算書(PL)」です。

 

<●「持ち家」と「賃貸」はどちらが得か

・「持ち家と賃貸はどちらが得か」という議論をよく聞きます。

 

・経済学的に考えた場合、どちらが明らかにお得なのであれば大多数はそちらを選びますから、「どちらが得か」に対する答えは、「大差がない」が正解です。「持ち家か、賃貸か」というのは、どちらが得かということではなく、最終的にはその人の生き方、リスクに対してどう考えて生きるのかによって決まる問題です。

 

私は、どちらかといえばそういうリスクは持たない方が楽であるというタイプです。借金をしてまでも資産を持つことはありません。

 

・固定金利と変動金利とどちらがお得かという話であれば、デフレムードにあって短期金利も低くコントロールされていた時期に定められた金利がそのまま続く固定金利の方が今後はお得になる確率が高いでしょう。

 

<●「保険商品」というものの考え方

・「年金は死亡保険と真逆の保険制度である」と言うと、ああそうか、とピンとくる人が多くいらっしゃるかもしれません。

 

・健康であればあるほど得で、早く死んでしまうのは絶対的に損であるのが年金という保険です。もし70歳から受け取り始めて100歳まで生きたとすると、受け取れる年金の額はだいたいそれまでに受け取った給料の50%くらいになります。

数式にすると、「30年×50%=1500%」となります。国民年金の保険料率は18.3%ですから、20歳から70歳まで50年間働いたとすれば、支払った年金額は「50年×18.3%=915%」ですから、受け取る年金の額の方がずっと多いことになります。

 これが年金の原理で、きわめて単純に設計されていますから、計算の間違いも少なく制度として破綻しにくいという性質を持っています。

 

・年金は法律で義務付けられていますから、現状では加入するほかありませんが、死亡保険をはじめとする保険商品は金融機関の販売商品であって、加入は個人の判断によります。

 

・そして、これは今でも変わることはありませんが、銀行をはじめとする金融会社が勧めてくる保険のほとんどは「変額保険」です。変額保険とは、生命保険のうち、支払われた保険料を金融機関が投資信託などで運用し、運用結果に応じて死亡保険金額や解約返戻金、満期保険金の額が変わってくる保険です

厳密にいえば、これは保険とはいえません。保険とは原則、「補償」と「投資信託」の2つを組み合わせてつくられる商品です。補償性が強くあってこその保険であって、「老後の備えになりますよ」というような貯蓄性をうたう背後で投資リスクを背負わせるようなものは保険ではありません。

変額保険には最低限の補償機能がありますが、これは投資信託とほぼ変わりません。それも、手数料の高いあくどい投資信託とたいして変わりがありません。

保険と言いながらお金を集めておいて、投資のリスクそのものは保険契約者が負うということになります。投資信託は当然上がり下がりもあり、損することも珍しくない世界です。

 

・私は保険には入っていません。「備え」ということであれば、自分の銀行口座に地道に積み立てていった方がリスクを負わずにすむからです。

 補償性があってこその保険であって、保険料の安い掛け捨ての死亡保険や損害保険に入るということは“アリ”だろうとは思います。

 

平和のために防衛力を強化する

戦争と平和は「確率」で考える

<●戦争には「起こる確率」がある

・2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻によって、第2次世界大戦後の国際秩序の枠組みが一挙に破壊されました。

 

・ウクライナ戦争はすでに「数年間にわたる」という言葉が使えるくらいの長期なものとなっていますが、いまだにロシアの暴挙をどのように抑え、落とし所をどこに置くのか世界の誰も答えが見いだせていない状況にあります。

 

ラセットとオニールは分析結果を計算して、戦争が起こる確率、つまり戦争のリスクについて次のように整理しました

「有効な同盟関係を結ぶこと」で戦争のリスクは40%減る。

「相対的な軍事力が一定割合(標準偏差分)増すこと」で戦争のリスクは36%減る。

「民主主義の程度が一定割合増すこと」で戦争のリスクは33%減る。

「経済的依存関係が一定割合増すこと」で戦争のリスクは43%減る。

「国際的組織への加入が一定割合増すこと」で戦争のリスクは24%減る。

 この5つは現在の国際社会において、「平和の5要件」とも呼ばれています。

 

・ウクライナは、よく知られているようにNATOには加盟していませんでした。ソ連崩壊時に独立へと向かうなかで非核化し、独立後は軍縮を行いました。

隣国のロシアは連邦共和制を採っているとはいえ事実上プーチン大統領の独立国家です。ウクライナの貿易相手はトップが中国で輸出入ともに全体の15%程度、ドイツ、ポーランドなどの後にロシアがあり、輸出6%、輸入8%程度でした。

 そして、安保理常任理事国のロシアが戦争を仕掛けてくるのですから国連は機能しません。つまり、ウクライナは、対ロシアということでは「平和の5要件」のことごとくが存在しないに等しい状態にあったわけです。

 

・こうして見てくると、2016年に集団的自衛権の行使容認を含む安保法制がなぜ施行されたのか、ということがわかってきます。アメリカとの同盟関係を強化することで、「有効な同盟関係を結ぶこと」を充実させ、戦争のリスクを減らそうとしているということです。

 

<●正しく使いたい、「リスク」という言葉

・リスクという言葉は、辞書的には、危険そのものを指す意味もあります。しかし、経済学や数量政治学で「リスクがある」と言った場合には確率の数字があるだけであって、そこに「危険や失敗の可能性がある」という意味はありません。

リスクという言葉には必ず確率の数値が伴います。そしてそこには、「危険か安全か」「良いか悪いか」といった価値観は存在しません。

 

・「リスクがある」と言った場合、そこには確率計算された数字が存在していることが必要です。

 

・政府・与党の「集団的自衛権は他国からの侵略のリスクを減らす」は、数字で話せば「個別的自衛権のみの場合において不測の事態に陥らないリスクは98/100=98%だが、集団的自衛権を加えた場合には96/100=96%となる。集団的自衛権を加えることで不測の事態に陥らないリスクは98%から96%に減る」ということになります。

 一方、一部野党側の「集団的自衛権の行使で自衛隊のリスクが高まる」は、数字で話せば「集団的自衛権を加えた場合に不満の事態に陥るリスクは、個別的自衛権の場合の2/100=2%から4/100=4%に増えてしまう」ということになるでしょう。

 

・専門家によってリスクは「あるかないか」ではなく確率であって、必ず0と1の間の数字になります。

 

<●なぜ非民主主義国は危険なのか

・独裁国家は、選挙をはじめとする権力の相互抑制機能がありませんから、戦争という極端な行動も採用されやすい状況にあります。独裁者あるいは独裁政党が戦争の開始を決めてしまえば、それを止める仕組みはありません。

 

・なお、ロシアによるウクライナ侵攻の事実を見てもわかる通り、民主主義を採用しているからといって安心であるというわけではありません。

 

・ロシアはこの図からわかるように2013年時点で「Open Anocracy」に分類されていました。「Anocracy」は、完全な民主主義でも独裁主義でもない中間的な政治体制を指す言葉です。

 

・ロシアの民主主義指数は2.28で、「独裁政治体制」(指数4.00~0)に分類されます。ウクライナ侵攻はまさにこれが実体化したものといえるでしょう。

 

<●失われつつある、国際連合の存在意義

・ロシアを常任理事国から外す案も侵攻開始の当初から出ていました。1991年に崩壊したソ連から常任理事国を引き継ぐ際にロシアは正式な手続きを踏まなかった可能性があることを問題として地位を剥奪しようというものです。2022年の年末にウクライナの外務省が改めて同様の内容の声明を発表し、国連からのロシア追放を国連加盟各国に呼びかけましたが、その実効性はいまだに不透明なままです。

 

・国連安保理常任理事国の5カ国体制は、戦争のリスクの高い独裁政治体制の国を2つも含んでいる問題のある体制でした。この体制をもって調整されてきた戦後国際秩序が、ロシアのウクライナ侵攻によって現実として危機を迎えたわけですから、国連内外での変革が急務であることは間違いありません。

 

<●「同盟」によって左右される戦争のリスク

・同盟を組むことで、戦争に巻き込まれる確率、つまり戦争のリスクは間違いなく増えます。同時に、同盟を組むことによって戦争に巻き込まれない確率、つまり戦争のリスクは間違いなく減ります

 問題はどちらの確率が高くなるかということです。

 

<●自主独立防衛はハードルが高すぎる

いずれにせよ、戦争のリスクを減らすために一般人ができることは、平和の5要件のうち、特に「有効な同盟関係を結ぶこと」「相対的な軍事力が一定割合増すこと」「民主主義の程度が一定割合増すこと」に対して敏感で、何でもやるという意識を持った政治家を選挙で選ぶということです。

 

“ファクト”と“ロジック”で、国際社会を生き抜け

<●困った隣国・韓国との付き合い方

・2023年6月27日、岸田政権は韓国を、かつてはホワイト国と呼ばれていた「グループA」つまり輸出優遇国へ同年7月21日から復帰させることを発表しました。

 

・韓国はそう簡単には変わらない国です。

 

<●中国経済はもう発展しない ⁉

・経済で好ましくないのは、市場が疑心暗鬼になることです。崩壊や破綻というのはもちろん良いことではありませんが、瑕疵が明らかになり、その処理策・解決策が具体化されることで、市場は疑心暗鬼から解き放たれて次の段階へ進みます。民主主義先進国の場合にはそのシステムが確立されているわけです。

 ところが、中国にはそれがありません。ちゃんとした会計基準がないのです。

 

・債務のうちの債務超過の割合を債務超過率といいますが、通常、5%を超えれば経営再建は難しいとされています。10%を超えれば破産確定といったところですが、恒大集団の場合、12/48で、債務超過率25%であり、すぐにでも“死亡認定”してやらないとまずいことになるばかりといった状態です。

 

・中国の場合、消費ではなく投資が大きく、その内訳として不動産投資が多くを占めています。そして、GDPの30%が不動産関連で占められているとされています。

 

・そこでIMFが推計として発表した数字が2022年末時点で債務約1300兆円です。負債に対する資産はおそらくほとんどないでしょう。中国当局はもちろん反論を寄せていますが、IMFは、2027年には2000兆円の大台に乗るだろうとしています。

日本のバブル崩壊で発生した全銀行の不良債権の総額は、大雑把に言って約100兆円でした。今の中国の状態は桁が違います。

 

・ただし、中国において不動産およびその関連業界がダメになってくるということは、当然、中国の経済全体がダメになっていくということにつながります。不動産に限らず、中国を相手に取引している人は十分に考えて対策を取るべきでしょう。

 

<●ロシアに合理性を求めても無駄

・ウクライナにおける戦争状態を外交的に解決するのは簡単なことではありません。

 

・ウクライナへの軍事侵攻には、ロシアの正義、つまりロシアの言い分というものが当然あります。しかしロシアの行為は国際法違反であり、ウクライナが先制攻撃をしていない以上自衛にはあたらず、問答無用でロシアに非があるとするのが国際常識です

 

・また、「NATO加盟国は、われわれの話を聞く耳を持たなかった」あるいは「ドンバスでは、さらなる懲罰的な作戦の準備が公然と進められ、クリミアを含むわれわれの歴史的な土地への侵攻が画策されていた」というのは、NATOがロシアに攻め入る寸前だったから自衛権を行使したのだという主張ないし言い訳ですが、これもかなり苦しいものです。

 

<●アメリカとの健全な同盟関係とは?

・核兵器に関する理論としてよく知られているものにMAD理論(相互確証破壊理論)があります。

 

・簡単にいえば、核を持つ国に対して核を持つ国が戦争を仕掛けることはない、というのがMAD理論で、実際、1970年代から冷戦崩壊までの20年間ほどは、米ソ間の軍事衝突はありませんでした。

 

・2009年の段階でベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコが核シェアリング政策の一環としてアメリカの核兵器を受け入れました。

 

G7のなかで、MAD理論が成立しないのは日本だけです。

 

強い同盟、つまり健全な日米同盟のために、日本は今、核の保有、少なくとも核シェアリングは考えざるをえない段階にあるといえるでしょう。

 

理系思考で日本社会を改革する

「AI化」に正しく対応せよ

<●文系アタマに多いAIへの誤解

・2020年に小学校、2021年に中学校でプログラミング教育が必修化されましたが、いいことだと思います。現代人は、スマートフォンをはじめ、大量のコンピュータ機器に取り囲まれる生活を送っています。

 

<●AIで変わること、変わらないこと

・AIに世界を乗っ取られることはありませんが、AIが人間の仕事の一部を奪ってしまうことはありえます。

 

・コンピュータの優れた計算能力を生かしやすいのは、ルーティン作業と呼ばれるような定型的な繰り返し作業です。これはたとえば、弁護士、公認会計士、税理士など、「士」の文字がつく、いわゆる仕業も含まれます。

 

日本の中央銀行である日銀の仕事も、かなり簡単に定義できます。ということは、AI化しやすいということです

日銀の仕事は、「失業率とインフレ率の関係を一番いい状態にする」ということです。失業率が最も低く、インフレ率が最も低い状態を目指すのが日銀の仕事です。

国によって違うのですが、これ以上失業率は下がらないという失業率の下限の値をNAIRU(ナイル)といいます。先にも述べましたが、失業率をNAIRU以下に下げようとするとインフレ率は加速度的に上がってしまいムダなインフレ率となります。

 

・NAIRUという数字があり、目標は「NAIRUまでは金融緩和・積極財政、NAIRUに達したら金融引き締め・緊縮財政」というシンプルさですから、AI化は簡単です。現在、金融政策は、日銀委員の多数決によって決められていますが、「経済政策は失業率とインフレ率のみ」と割り切って定義するべきだろうと思います。

 

・「NAIRUを目標に、失業率が最も低く、インフレ率が最も低い状態を目指す」というのが先進国の経済政策の常識です。失業率とインフレ率だけの単純プログラムのAI化は、世界標準の考え方でもあります。

 

・エンターテインメント分野においては、2023年の5月、アメリカの脚本家を中心に約1万1500人で構成される全米脚本家組合が、ウォルト・ディズニーやネットフリックスなどが加盟する業界団体「全米映画テレビ製作者協会」に対し、AIに脚本を書かせたり、過去の作品を学習させて新たな作品づくりに利用したりしないよう求めて大規模なストライキを行いたいへんな話題になりました

 

・要は、AIが作成したものであろうとなかろうと脚本には脚本家という人間が介在しなければならず報酬が発生しなければならないということです。

 

・一方、アメリカの俳優約16万人が加入する全米映画俳優組合も、2023年7月13日から、報酬引き上げとネット配信プラットフォームにおける報酬確保と並んで、AIを通じた画像の不正使用に対する保護策の設置を訴えてストライキに入っていましたが、こちらは2023年10月現在、スト続行中です。

 

<●ChatGPTで注意すべきこと

・ChatGPTは、簡単にいうと世の中に転がっている話を集めてきて回答しているだけですから、その答えは当然、平均的なものになります。

 

<●「少子高齢化」「人口減少」でも経済成長できる

・先進主要国の児童手当や税制支援を見てみると、たとえばイギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンには所得制限なしの第一子月額2万円程度の制度があります。アメリカにはこうした制度はありません。

 ただし、アメリカには児童税額控除があり、イギリスにも児童税額控除、フランスには世帯単位で課税するN分N乗方式、ドイツには児童手当との選択制で児童扶養控除があります。スウェ-デンには児童税額控除はありません。

 先進諸国ではこのように、児童手当は児童税額控除と一体運営されるのが普通です。所得制限がないのはそのためです。一方、日本では、児童手当は第一子原則1万円で所得制限があり、税制支援は扶養控除が担います。つまり児童手当と税制支援は併存していて一元化されていません

 

・欧米で児童手当と税制支援が一体となっているのは、税と社会保障が一体運営で、税と社会保険料は一体化されて歳入庁で運営されているからです。児童手当は社会保障関連支出として解釈し、税と一体運用する方が合理的だから、こうした体制がとられていますちなみに先進国のなかで、税と社会保障を一体運営する歳入庁が存在しないのは日本だけです。

 

・いわゆる「異次元の少子化対策」は「異次元の消費増税」につながる可能性があるわけですが、私はそもそも少子化対策の必要性自体に疑問を持っています。

 

・人口が減少し続けないためには最低でも1.8の出生率が必要だとされていますが、この水準は、出産を希望する女性が全員出産できた場合に達成される数字で、現実的なものではありません。出産は自然の摂理で、1を割ることは珍しく、1.5くらいでも問題はないとされています。

 

その国の生産力を見るときには、その国のGDPを見るのが普通です。GDPは簡単にいうと「平均給与×総人口」です。

したがって、人口が減ればGDPが減るのは当たり前だと言うことができるのですが、重要なのは、厚労省の前提に従えば「予想通り2070年に8700万人に人口が減るとすれば、GDPは実際にどれくらい減るのか」ということです。

私が持っている計算式に従って先に結論を言ってしまうと、人口が8700万人に減少した場合に、それがGDP成長率に与える影響は最大で0.7%です。人口の増減と一人あたりGDPの増減はほとんど関係がありません。人口の増減はマクロ経済指標にはほとんど影響しません

 

・人口減少が経済にマイナスに作用する要因になるという理論は確かにあり、「人口オーナス」によるGDPの押し下げ効果がよく知られています。

 オーナスとは「負荷、重荷」といった意味ですが、これはたとえば、まだまだ働きたいという高齢者を積極的に登用すればいいし、それこそAIを利用して生産性を上げればいいだろうという話になります。

 

・人口減少が経済に影響するというのは単なる思い込みです。身近な生活にも影響はありません。経済の基本からすればそう結論せざるをえず、世界のなかで人口減少している国は20カ国程度ありますが、経済成長率を見たとき、日本はここ30年ほどのデフレ不況で最低の成長率にあるものの、他の国々はちゃんと経済成長しているのです。

 

<●外国人労働力は本当に必要か

・2023年9月28日に、日本商工会議所が7月に全国の中小企業3120社を対象に行ったアンケートの結果を発表しました。人手不足状態を確認するためのアンケートで、約7割、68%の中小企業が「人手不足である」と回答したのですが、これは2015年の調査開始以来最悪の数字であるとのことでした。

 

・移民に関するコストについては、企業の便益は安価な労働力、それにより経済成長のマクロ便益はありますが、日本人の労働を奪うのでマクロ便益は軽微になります。一方、安価な外国人を受け入れるので社会保障はかなりマイナスとなり、日本全体ではマイナスです

 

一般に人手不足は悪いことではありません。人手不足によって賃金アップがうまれるからです。また、「人口オーナス」という理論があるのと同時に、人口減少を「人口ボーナス」として捉える理論もあります。

 

簡単にいうと、人口減少が経済成長に影響があるとしたところで、それは人間の発想で克服することができるということです

 

・人口減少は数字で明らかなように確かに起こっていることですから、社会問題と関係づけて説明することで危機を煽り、一般人の興味を惹くことができます。しかしそれは、因果関係を科学的に説明することなどできない手前勝手な理屈にあるにすぎません。

 


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