珈琲ひらり

熱い珈琲、もしくは冷珈なんかを飲む片手間に読めるようなそんな文章をお楽しみください。

赤 睡眠 名簿

2009年01月07日 | 短編


 ぽたぽたぽた、そんな音が聴こえてくる。
 それは耳慣れた音。
 きっとまた赤い血が零れ落ちている。
 僕のそばにある死体から。
 いつのまにか僕は睡眠していた事に気がつく。夢の中で。
 起きる?
 起きない?
 どっち?
 起きてるのと眠っているの、その境界線上で僕の意識はぷかぷかと浮いている。
 それはまるで昼間の海に泳ぐ海月のような白い月。
 絵になるくせにひどく理不尽な風景。
 それは嫌になるぐらいにわからせるから。
 星はいつもそこにあるって。
 全てを光りで覆い尽くしても夜の片鱗はいつも其処に居る。
 僕らを見下ろしている。
 そう。それと同じ。
 僕はこの、微熱に浮かされてるような睡眠の境界線上で君たちと出会う。
 僕の中に何時からか生まれた違う僕。
 僕は僕の中に居る僕たちの名前が載っている名簿を開いた。
 

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